その41・バイトの元カノ
今日はなんだかお腹が空いている。
バイトをしている職場から近いハンバーガーショップに立ち寄った。
今日は夏休み期間もあってか、物凄い人混みに溢れていた。
やはりこの時期にファーストフード店はどこもそうかと、俺は内心ため息をしながらも帰ろうとすると、なんだか違和感を覚えた。
このハンバーガーショップは、元々レストランであったのだが、経営難で閉店してからは、つい先月にオープンしたばかりだ。
俺も初めて来るところだったが、なんだか見覚えのある人物がいる気がした。
俺はゆっくりとレジの方向に目線をやると、そこには大学時代の元恋人の姿があった。
俺は目を見開きながらも、一旦はレジから目線をそらした。
これは見間違えか。それともそっくりさんなのか。
俺はもう一度目線をレジにやると、やはりそこには元カノの姿がある。
それもかなり笑顔で接客をしている。あの頃のまんまだ。
俺は思わず心臓の鼓動が増していた。
これはまだ未練があり、好意があってのものではない。
かなり気まずいからだ。
今からこっそりと出ればいいのか。いや出た方が良い。
しかし、後ろを振り向くと、そこにはいつの間にか長蛇の列が出来ていた。
それも店の中はごった返しているため、変に空気を悪くするよりかは、元カノと何年ぶりの会話をするしかない。
俺の感情としては最悪だったが・・・
しばらく待っていると、来てほしくもない列の順番が来た。
俺は顔を少しひきつらせながらも
「久しぶり」
すると元カノも気づいたのか、微笑みながらも
「あら、久しぶりね」
「元気してた?」
「うん、まぁね。バイトだらけの人生になっちゃったけどね」
元カノは笑みを崩さずにそう言った。
俺は頷いてから
「そっかぁ」
「何にする?」
確かにこの場所で長話するわけにもいかないため、俺はメニュー表を見続けながらも
「えっと、ダブルチーズバーガーセットを一つ」
「かしこまりました」
まるで今まで経験して来たかのような手さばきで、レジを打ち込んでいく。
「七百円になります」
俺は震える手で小銭を渡した。
「七百円ちょうどお預かりいたします。そこの脇で待ってて、すぐに準備するから」
「分かった。ありがとう」
そう言ってから、すぐに列から外れた。
レシートをふと見ると、そこにはアイスコーヒー1個が記載されていた。
こんなの頼んだ覚えもない。
俺はすぐに元カノの方を見ると、俺に向かってウィンクをしてきた。
そんなことをするなよ。
また好きになっちゃうだろ・・・
~終~




