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その33・化粧品売り場の男

とある都会の高級百貨店の地下に、その男の姿はあった。


この百貨店は、創業百年の老舗であり、地上四階建てと地下二階に店舗を構える、この界隈では知らない人はいないくらいの有名店である。


地下一階は、主に女性が使う化粧品が売られており、休日は若い人からご年配の女性などが賑わうほどだ。


そんな売り場に、少し場違いであろうサラリーマンの男は物色をしていた。


確かに今の時間は、仕事帰りのサラリーマンが多くいるため、恐らく上の階にある本屋には多くのサラリーマンが立ち読みをしているのだろう。


だが、その男性は先ほどから、口紅・パウダー・メイク道具など、様々な商品を物色しているため、店員からは冷たい視線を送られていた。


店員の一人は、もしかすると奥さんからのおつかいや、娘さんへのプレゼント選びに来ているかもと、憶測だがそう推理していた。


しかし、何十分経ってもその男は会計に足を運ばない。


迷っているのかと店員たちは思っていた。


この時は声をかけた方がいいのだろうか。女性のお客さんだった場合は、気軽に声をかけられるし、迷っていたらおすすめの商品を出すことだってできる。


だが、男性でそれも迷っているとなると、完全にお手上げ状態だ。


だが、男性が化粧品売り場にいてはいけないというルールもこの世には存在しない。


この世には様々な人間がいる。そんな偏見だけで人を見ていたら、この世は差別だらけになってしまう。それはある意味危ないことだ。


ここは一つ声をかけようと思ったのか。一人の女性店員が近づいて、男性に優しく声をかけた。


すると男性はまるで中尾彬のように、手にあごを乗せてから


「この口紅、ちょっと高いよね」


その店員は、男性が言っていることが理解できずに聞き返すと、男性はため息をしながらも


「この口紅、周りの口紅と比べて、かなり高い。比較しても1,000円差のものもある。これはお客さんから見ても、高いと思うし、それにこの口紅の原材料は、1000円差の口紅と同じところだ。どう見てもプレミア感はないし、これはちょっと、やりすぎると思うんだけどね」


長い口調で何を言ってるんだこの人は。


てか偉そうに何を店の方針に口を出しているのかと思い、少し不機嫌になりながらも、店員はつい反論してしまった。


すると、男性の口から出たのは、この先その店員が忘れないであろう一言であった。


「私、この百貨店のオーナーなんだけど」


店員はその時、こう思ったのだと言う。


〈終わった〉


~終~

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