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その29・官房副長官の目線

俺は官房副長官を担当している男だ。


十年前の総選挙で初当選をして以来、与党「自由平和党」の副幹事長や、政調会長代理など、重要な職務を全うして来た。


三年前に現政権が発足してから、一貫して内閣官房副長官を担当して来た。


俺の仕事は、内閣官房長官を支えるだけではなく、不在時の代理の会見や、総理大臣が外交のために海外に渡航される際は、同席して行動したりと意外と忙しい毎日を送っているのだ。


普段は、首相官邸にある執務室で仕事をするのだが、今日は何故だか官房長官に呼ばれて、記者会見室の裏に姿があった。


官房長官から呼ばれることはほとんどないため、一体どうしたのだろうと思い、官房長官が来るのを不安を感じた表情で待っていた。


しばらく待っていると、官房長官が笑顔になりながらも現れた。


俺は一礼をしてから


「どうされたんですか? いきなり来てほしいって」


「最近、俺の会見とか見てないだろ」


「えぇ、まぁ」


「ちょっとな、色々と腕上げて来たんだ。見ていってくれよ」


「え? そのために呼んだのですか?」


官房長官は、微笑みながらも


「当たり前だろ」


こいつ正気か。


今でさえ、新しい国防法案や、財政改革法案などの作成や、連立与党である「公共党」の幹事長らとの調整などに忙しいのに、こんなことでまさかの見せつけだと思うと、なんだか腹立たしく思えて来た。


すると、官房長官が一瞬ドヤ顔をして


「最近週刊誌になんて呼ばれているか知っているか?」


「いえ」


「イライラ長官だよ。なんかそう思われてるらしい」


「はぁ・・・」


確かにそれは週刊誌通りだ。


最近では、予算委員会での答弁にて、野党の質疑者に向かって暴言吐いたこともあり、かなり与野党の中でも、官房長官でいいのかという声も多数上がってきているほどだ。


官房長官は微笑みながらも


「俺は、そうじゃないところを見ててくれよ」


時間になったため、官房長官は会見場に向かって行った。


うざいという言葉がこんなにも似合う人物を俺は初めて会った。


だが、少しイライラ長官から変わっている官房長官を見たかったため、袖から見ていると、会見の途中、国防の質問になった際「この国を守るためなら、それもやむを得ないと考えております」とイラつきながらも言ってしまった。


やはり「イライラ長官」と呼ばれることもあってか、少し記者に睨みを利かせていた。


こんなのが「内閣の要」となると、とても背筋が凍り始めていた。


「ダメだこりゃ」


俺はつい言葉が漏れてしまった。


しばらくして怒りの表情をした官房長官が帰ってきて


「あいつらうるせぇな」


「仕方ないです」


「出入り禁止にしろ」


そう言ってその場を離れて行った。


俺はただ苦い顔をするしかなかった。


あんな人を官房長官に任命した総理にも、不信感が出始めていたのだった。


~終~

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