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~その20・縁側の祖父~

自分の家には広い縁側がある。


小さな日本庭園を眺めるこの縁側は、家族の中でもとても好評な場所である。


自分も眺めていると、嫌なことや辛いことが一気に吹き飛ぶほど、眺めがいいため、毎日のように座っていたいが、ここには一人の先客者がいる。


それは自分の祖父であり、毎日縁側に座っては好きな緑茶をゆっくりと飲んでいる。


祖父はこの日本庭園を気に入っているのか、二年前から一日も欠かさずにこの縁側に腰を掛けては、緑茶を飲んでいる。


自分はその光景を見ながら、昔の祖父を思い出していた。


祖父はとても威厳が強く。全く笑顔を見せない人であり、自分はよく料理作法なのできつく叱られた記憶がある。


あまり祖父の良い思い出はなく、逆に嫌いだったかもしれない。


だが、自分が子供の時、祖父が唯一笑顔を見せた時があった。


その時は自分が小学校の運動会に参加しているときのこと、選手宣誓を任されることになり、自分は緊張ながら壇上に上がることにした。


しかし、緊張しすぎたのか少し気持ち的に上がってしまい、当時流行っていたお笑い芸人のギャグを披露してしまった。


その際に、偶然にも祖父の方を見た時、腹を抱えて笑っていた。それを見た時に、少し嬉しさもあり、あの祖父を笑わせたということで、家族では一時期評判者になった。あの後、担任教師からは当然叱られたが・・・


そこからは一回も笑っているところは見たことないが、今では良い思い出である。他人のギャグだが・・・


そして自分が大学生となり、東京に上京してからはあまり帰ることもなくなり、忙しい日々を過ごしていたが、二年前に東京で働いていた会社を辞めて、地元の小さな不動産会社を経営している。


それが毎日忙しく、当然社長という席に座っている以上、忙しいという言葉は当たり前かもしれないが、それでも毎日猫の手も借りたい日々を過ごしている。


今日もいつも通り、家に帰ってくると縁側に座っている祖父がいる。


毎日変わらぬ表情で、同じ緑茶を飲みながら何も変わらない眺めを見ている祖父を見ると、自分もこのような時間が欲しいなと思いながら、祖父の隣に座り、この言葉を投げかけることにした。


「おじいちゃん。早く成仏してくれないかな」


そう、祖父は二年前に既に他界していた。


見えているのは僕だけだ・・・


~終~

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