お決まりの…
ふと目が覚めた時、俺は何もない空間に浮かんでいた。
地面もなければ空もない、浮かんでいるという表現が正しいかもわからない。
ただ一つ、俺の目の前にが大きな光の玉があるのみである。
それは、大きな優しく俺を包み込み、たとえるならすべての生みの親、戻るべきところのような感覚であった。
因果など関係なく、俺死んだんだなと思わせるのに充分であった。
ー申し訳ありません。存在を消すしか無かったのです。ー
急に中性的な声が俺の脳内に響く。
死んだことは何も思ってないが、説明もなしに急に謝られても何もわからない。
報連相は大事だと何度上司に言われたことか。
これでは会社で怒られてしまうだろう。まあ、俺が言えた義理ではないのだが…トホホ
ーそうですね。説明がまだでした。あなたは前世の地球において異物と認定されているスキルを習得してしまったため、地球の管理者の異物自動処理システムによって、地球から魂の乖離の処理を受けました。結果行き場を失ったあなたの魂は始原第一空間、いわば精神世界のような場所に転送されたのです。―
どうやら俺の考えはすべて相手に筒抜けみたいだ。
まあそんなことはどうでもよいが、俺は今魂の状態のようだ。
どうりで地に足つけている感覚がない。
正直ほとんど前世に執着はないし、やり直せるのならやり直したいと何度思ったことだろうか。
こんな感じで全く俺の理解を超えた死に方をしたらしいが、重要なのはこれからの事。
”スキルを消した後にも一度地球に戻されます”なんて事は正直いやである。
そのあたりどうなっているのだろうか。
ー考えを読んでいることを事前に言うべきでした。申し訳ありません。あなたの来世は安心してください…と言っていいのかは分かりませんが、地球に戻ることはありません。あなたに行ってもらう予定の世界は、地球でいうファンタジーに近いような世界で魔法が使える世界です。生後一年間の生存率は95%と比較的危険度が高い世界となっています。ー
え?危険なの?それってやばいのでは??
95%という数字に騙されそうになるが、そうするに1歳未満で20人に1人死ぬということになる。
日本を基準に考えたら非常に高い。
でも、魔法が使えるというのは非常にそそられる条件である。
俺も今では読まなくなったが、学生の頃はラノベを読んで魔法に憧れたものである。
やっぱり男なら冒険!
社会の荒波に取り残された男心が引き戻されていくような気がする。
ーちなみに申し遅れましたが、転生までにあと数十秒しかありません。心の準備をお願いします。ー
驚きである。
まず、相手が下手に出てきたため、拒否権があるものなのだと思っていた。
加えて、てっきりこのパターンは、”危険な世界ですので、特別なスキルを…”とか、”特別な武器を…”とか、”貴族に転生します…”とか何かあるのではないかと思っていた。
ーそれでは行ってらっしゃいませ。ー
瞬間、世界は光に満たされ、俺の意識は反比例するように暗転した。




