魔法少女 BBA
クソしょうもない話です。
宇宙から地球の平和の為にやってきた謎の白猫と対峙する智子。
「僕の名前はBBQ。外宇宙から地球の危機を察知してこの星にやってきんだ。
でも僕の力はこの地球では弱くなってしまう。
お願いだ。智子ちゃん。いっしょに地球を守ろうよ。
プリ○ュアのように!」
「うん!!なる!私の夢だから!プリ○ュアになるよ!」
「なら一緒に夢を叶えようよ!魔法少女になろう!」
「うん!」
はっ!智子はガバっと起き上がった。
「はぁ・・・はぁはぁはぁ。。。すごい汗。・・・久々にあの時の夢を見たわ」
智子が呼吸を整え、布団から出た。
・・・PiPiPiPiPiPi
最近は歳のせいか目覚ましが鳴る前の起きるようになってしまった。
智子はそのまま1階に降り顔を洗い、キッチンに向かった。
キッチンに着くと朝食とお弁当の準備を行う為ケトルに水を入れスイッチを入れる。
そして流れるようにバコンと冷蔵庫を開け、食材を取り出した。
ウインナーに切り込みを入れ熱したフライパンに放り込む。
焼いてる間、手早くトマトやきゅうりを切りトレイに乗せる。
弁当箱を並べて、仕切りを入れ、野菜類をセット。
冷凍されたままの唐揚げを弁当に入れ、焼いたウインナーは適当に。。。
旦那と二人の娘の3人分のお弁当。
結婚してから主婦歴13年、すっかり手慣れたもんだった。
旦那の分はご飯多めにすれば良く、おかずの殆どは娘たちのお弁当箱に収まった。
「おはよう。智。」
「おはとう。徹。ちゅ。」
徹が起きたようだ。
智子は近づいてキスをする。
徹はキスを受け入れると、リビングの机に向いタブレットで新聞を見始めた。
毎日のローテーション。毎日の幸せ。
「朝食はもうちょっと待ってね。」
「うん。ゆっくりでいいよ。」
このやり取りもよくある会話だ。
使ったフライパンに4つの卵を投入し少量の水を入れて蓋をした。
その間にインスタント味噌汁にお湯を入れ、ご飯も装う。
とりあえず二人分だ。
それを机に運び旦那の前に置いた。
弁当用の残った野菜とウインナー、そして焼いた目玉焼き2つ分をそれぞれの皿にセットし、配膳した。
子ども達が降りる前に食べてしまうのが飯田家流だ。
子ども達が幼かった頃は一緒に食べたが上の子が中学生にあがり、
朝練などで不定期になると流石に続けるのは難しく徹と相談して止めてしまった。
でも、徹と二人で食べる朝食もとても良かった。
「今日は遅いの?」
「いや、早めに帰れると思う」
「ふふっ。そうなの。夕飯リクエストある?」
「ん~~~。そうだね。カレーが良いなぁ。智のカレーは美味しいから。」
「えぇ。良いわね。夏野菜を入れてみようかしら」
「ナスとかかい?」
「そう。今日は野菜カレーにしましょう!」
「それは美味しそうだ。楽しみだなぁ」
「えぇ、だから早めに帰ってきて・・・」
「お父さん。お母さん。おはよう」
二人が早めの団らんを楽しんでいると長女が降りてきた。
名前は千代だ。
「千代。おはよう。朝食できてるわよ」
「うん。ありがとう」
「おはよう。千代。顔は洗ったかい?」
「うん。ちゃんと洗ったわ」
「偉いね。今日は部活で遅くなるのかい?」
「うん。今日も練習するから遅くなる。お父さんは?」
「俺も今日は早めに帰れるよ」
「それでも7時過ぎよね?7時過ぎの帰宅はとっても遅いわ」
智子が配膳をしている最中に面白い会話をしているようだった。
7時過ぎは中学1年生からしたら確かに遅いだろう。
「ふふっ。そうね。千代。パパ。もっと早くならいの?」
「え!そ、そんな無茶な」
「「ふふっ」」
「ッハハハ」
「パパ、ママ、お姉ちゃんおはよう」
そんな会話をしていると下の子も起きてきた。
「あら、ゆみちゃん。今日は早いわね」
「うん。なんか起きちゃって」
「そうかそうか。顔は洗ったかい?」
「ううん。まだ洗ってない」
「じゃあ、パパと一緒に洗いに行こうか」
「うん。一緒に行く~。パパ、手つないで~」
「あぁ。勿論良いよ。」
「わーい。」
今日も幸せな一日が始まった。
娘と旦那を送り出し、午前中にサクッと掃除を終わらせると智子はPCに向かって日課の株の銘柄チェックを行った。
そして、主婦の在宅テクのブログを更新した。
智子は堅実という言葉が好きなのだ。
だが、堅実を行う為のハードルが上がった昨今、堅実に智子も働き、少額ながら稼ぐことが出来ている。
そんな在宅ワークをしていると我が家のペット、バーベキューが欠伸しながら降りてきた。
「はぁ~~~~~~。ねむ。」
見た目は赤いつぶらな瞳の白いデブ猫で背中にハートに翼の生えたマークぽいポップな模様があり、結構可愛い見た目をしている。
この家の稼ぎ頭だ。
2年前、娘がSNSでアップした所、一気に人気が上がりyoutubeにもアップするようになった。
直ぐに収益化ラインを超えて今では月40万円をこのデブ猫が稼いでいる。
旦那もそこそこ稼いでいるが先月超えてしまったよ。ハハハッと笑っていた。
手のかからない稼げるペット。
魔法少女になってよかった事の一つである。
智子とBBQはもう30年の付き合いだ。
当時、魔法少女として皆の気が付かない所で魔法の自主練もしていたが肝心の魔物が来なかった。
さすがに5年も過ぎると魔法少女にも飽き、自主練も止めてしまった。
10年過ぎる頃にはこのBBQも腑抜け、ペットとして自宅でぐーたらな自堕落生活を送っていた。
そして30年。もうすっかりデブ猫化した。
昔はかなりスッキリしており、もっと可愛かったのだが30年は宇宙人猫の体型すらも変えてしまうようだった。
本人曰く、地球の食事が美味しすぎるとの事らしいが知っている。
ウイスキーやビール等のアルコールにハマったのが一番の原因だと。
一時期は止めさせていたが、最近自分で稼げるようになり歯止めが効かない。
月5,6万はお酒に費やしている。
そして、魔法の力かこの見た目で旦那とも15年ぐらいの付き合いがあるのだが一切ツッコミがない。
普通に当たり前のように受け入れられている。
そんな不思議な猫だ。
BBQは降りてきてペロッと朝ごはん?を食べるとPCを立ち上げオンラインゲーム、ウィッチキーパーズを始めた。
小さな手で器用にコントローラーを動かしている。
オンライン名「魔法の使者」として今日も無職のお友達と遊んでいるようだ。
そんな平和なある日、智子が掃除機をかけているとバーベキューが急いだ様子で降りてきた。
「智子大変だ!!!魔物だ!!!!とうとう来たんだ!!」
「え?なになに?そんな急いでどうしたの?私ゲームの話はついていけないわよ。」
「ちがう!智子!魔物だ!魔物が来てるよ!」
「そうなの。イベントだからってウィッチキーパーズにあんまり課金しちゃ駄目よ。」
「そうじゃないよ。智子の魔法少女としての敵!地球を壊す為に派遣された魔物だよ。」
「・・・・・・・・・!! 今更!!えっ!ちょっと。うそ。」
「本当だ。やっと智子の出番が来たんだ!!」
「もう令和よ!私36歳よ!すべての面で魔法少女って年じゃないわ。」
「それはそうだけど、宇宙規模で言えば30年のズレなんて誤差だよ。36歳もまだまだ少女さ!!」
「それは無理があるんじゃないかしら。。。それに変身のステッキもどこいっちゃんのかしら。最近見てないわ。」
「うっ!それは確かに。。。でも、3年前まではこの家にあったしどこかにあるはずだ。探そう!!!」
「BookOFFに持っていったとかじゃなければいいけど。」
「そうなってたら絶望的だね。」
「ステッキは探すとして、魔物はもう来てるの?どこに来るの?」
「地球から100万キロの地点を通過したよ。」
「ひゃ、100万キロですって!!!・・・・・・ってかなり遠くない?」
「そんな事ないよ。時速3000キロでこっちに向かってる。距離的に後2週間後には着くと思う。」
「はっや!!!それでも2週間ってかなり遠いわね。100万キロ。でも、ステッキを見つける時間はあるわね。今日から探しましょう。」
「うん。そうした方が良いよ。変身できない魔法少女はもうただの一般人だよ。」
それから3日後の夜、大捜索の末に妹のおもちゃ箱に入っているのを見つけた。
「家が狭くて良かったね。」
「バーベキュー。それ、絶対に徹に言っては駄目よ。気にしてるんだから。」
「分かってるよ。それじゃ変身してみたら。宇宙規模では誤差の30年も人間からしたら大きいでしょ。
ちゃんと練習しないと本番で力出せないよ。」
「分かってるわよ。寝室に行くわよ。」
そうして2人?は2階に上がった。
智子は寝室に入りステッキを見た。
流石の宇宙技術で劣化の後は見られない。
つるりとした持ち手に立体的なハート、その中に大きな星を付けたどこに出しても恥ずかしくないTHE・魔法少女ステッキである。
「んっ!ゴホゴホ!それじゃ、久しぶりの変身、やってみますか。」
「25年ぶり?」
「そんぐらいかしら?小学校卒業間近でやめちゃったし。」
「ピリララピリカ、変身!!」
さすが三つ子の魂、百までというか小学校の頃に繰り返した言葉は忘れてなかったようだ。
服が帯状に緩み光とともに弾けると、そこには昔着た魔法少女の服が当時のままの寸法で現れ、
智子の体を包み込む。
だが、腹部や胸部に締め付けはなく、かなりフィット感だ。
当時小柄な智子の膝上まであったフレアスカートも今の身長には合っておらず、股下3センチのミニスカートになってしまい、
胸を隠す布もかなり盛り上がり、乳首は隠せているがかなり不安だ。
きっと下の方から見たらパンツが丸見えになるだろう。
「劣化した変身前のキューティーハニーみたいだ。」
「失礼すぎよ!・・・・はぁ。でも、これで街に出たらただの痴女ね。」
「いや~~たまにいるよ。フリフリミニスカートのおばさ・・・」
と、その時!
ガチャっとドアが開き徹が寝室に入ってきた。
「あ、・・・・・す、すまん。」
徹は逆回しのようにがちゃりとドアを締めた。
「・・・・・・・・・・・・・・//////
・・・・・魔物許すまじっ!」
「魔物関係ないから!」
「大人の力って奴を思い知らせてやる。」
それから智子はバーベキューと作戦会議を行った。
魔物は魔法少女の例に漏れず魔法少女の近くに現れ、街を破壊するなどの暴虐を尽くすらしい。
決戦予定日当日、智子は中○人民共和国の天○門広場にいた。
ここは観光名所なだけあり、結構な人だかりだ。
中の一部に入れるということだが、まだ入らない方が良いだろう。
バーベキュー曰く5000キロ地点を超えたとの事で1時間程でここにやってくる。
そろそろかと思い、智子は天安門をくぐり、太和○前広場に入った。
見上げると空からこちらにやってくる強い光が。
それはすぐにドォーーーン!!!という爆音と共に太和○前広場のど真ん中に落ちた。
きゃーーーーーーー!
誰の悲鳴か?
そこかしこで悲鳴が起こり、人々が逃げまとう。
落ちた所は地面が陥没しており、石畳が盛り上がっている。
その中央にはプリ○ュアの敵役、ゴー○ーンのような見事なマッチョが全裸で立っていた。
「ぐぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
マッチョが言葉にならない雄叫びを上げる。
まさに敵って感じの登場だが、○国の治安部隊がすぐに取り囲んだ。
「なんだ・・・貴様らは!!魔法少女はどこだーーーーー!!!」
「恐怖分子!!|跪下并举起你的手《膝を地面に付けて手を上げろ》!!!」
「何言ってかわからん!!!ふん!!!」
マッチョが腕を一振りすると一陣の風が吹き、治安部隊の数人が飛ばされた。
「射击!!!!」
ドドドドドドドドドドドド
治安部隊は飛ばされ向かいに人がいない事を確認し発砲した。
「ぐっ!」
一方智子はタクシーで北京首都国際空港に向かっていた。
光の落下地点を確認をし踵を返すと混乱に乗じて事前に待たせていたタクシーに飛び乗り空港に向かうよう伝えたのだ。
智子はSNSやニュースを見たがまだ報道はされていない。
40分程で空港に着くとすぐに搭乗手続きを行う。
それでも離陸までは安心できない。
改めてSNSをチェックするとテロ報道がされており、死傷者も多数出ているようだ。
そりゃあれだけの衝撃で落ちたのだ。
周りに人もいたし、死傷者が出てもしょうがない。
離陸まで後40分もどかしさを感じた。
日本では対処が遅れると思いこちらに着て正解だった。
すぐに重火器を持ち出してくれたのだ。
旦那には友達と旅行という体にしている。
お土産も事前に買ってある。
智子が離陸する頃にはヘリコプターによる上空からの撮影もされているようで、
敵の姿がはっきり写った。
めっちゃ強そうであるがライフルによる連射射撃で結構ダメージがありそうだ。
人間なら死んでいる攻撃を食らってもまだ立っていられるのは驚いたが。
バカ正直に正面から戦わなくて良かったと心底思った。
バーベキューはこの作戦に関して最初は及び腰だった。
魔物に地球の兵器が効くかより、魔法少女が戦うのが当たり前で常識だからだ。
だが、冷静に今に智子を見た上で「私を殺す気なの!!!」と数日縛り上げて迫ると観念した。
地球産の兵器の威力も広○の核兵器の映像を見て「これで駄目なら地球は終わりだね」と零した。
智子が羽田につくと旦那から連絡が来た。
速報は当たり前のように日本にも届いたようで心配していたらしい。
「大丈夫よ。」
「そっか。安心したよ。」
「お土産楽しみにしててね。」
「あぁ。でも○国は大変そうだ。」
「そうね。。。。。。」
こうして智子の魔法少女としての初の活動は終わった。
戦闘はまだ終わらず、戦車が投入されるようだ。
おわり!!