リリアーナ皇太子妃様に又、助けて貰いました。あの方は最強です。
今日はコリーヌは、空色のドレスと着て、赤い髪をアップにし、白い花を飾って、
念入りにメイド達に支度を整えて貰う。
レオンフィード皇太子殿下と、リリアーナ皇太子妃からテリアスと共に皇宮の庭での食事に招待されているのだ。
姉のマーガレットやスタンシアが、支度の出来たコリーヌを見て、嬉しそうに。
「今日のコリーヌはとても素敵よ。」
「これならテリアス様も褒めて下さるわよ。」
父のマーシュリー伯爵が心配そうに、
「くれぐれも失礼のないようにな。」
母のマーシュリー伯爵夫人は笑って、
「貴方。大丈夫ですわよ。しっかりとマナーも、色々とコリーヌは学んできたんですから。」
テリアスが迎えに来たと言うので、コリーヌは皆に向かって。
「伯爵家の名に恥じぬよう頑張ってきます。それでは行ってきます。」
家族に見送られ、白の貴族服を着たテリアスにエスコートされ、馬車に乗り、皇宮に向かう。
テリアスは正面の席に座るコリーヌを見て、
「今日のコリーヌは一段と綺麗だな。思わず見とれてしまったよ。」
「いえ、テリアス様こそ素敵です。白の服、似合っています。」
「有難う。」
どことなく、元気が無いように見えるテリアス。心配してコリーヌは尋ねる。
「何かありましたか?」
「夢見が最近、良くないのだ。竜が出て来て、3匹、身体にまとわりつかれる。気味が悪くて仕方がない。」
「それは心配ですね…。何でしょう…」
「まぁ、それはともかく、今日は緊張しているのではないか?コリーヌ。」
「よくわかりますね。緊張してますっ。レオンフィード皇太子殿下とは初めてお会いするんですもの。遠くから見た事はありますが。」
テリアスはにっこり笑って。
「とても良い方だが、ちょっと変わった方だ。何があっても、動じないで、にこやかに対応してくれ。」
「何があっても…解りました。」
何だか嫌な予感がするっ…
「テリアス様は皇太子殿下の事をよくご存じなのですか?」
「まぁ…それ程、親しいと言う訳ではないが…。王立学園では皇太子殿下は私の一つ年上で、まぁ色々とあったな…。」
「色々とですか?」
「リリアーナ様が学園に入学するまでは普通の方だったんだが、
皇太子殿下がリリアーナ様に惚れ込んで、当時皇太子殿下は3年生、リリアーナ様は1年生だったな。
二人で階段の踊り場で毎朝イチャイチャするものだから、その時は階段は通行止めになったり、皇太子殿下のお誕生日を祝いたいから、食堂で踊ってくれとリリアーナ様の依頼で、
踊ったり…。その当時の学生は皆、振り回されたのではないか?その年の一年間は。
まぁそれはそれで面白かったが。」
「まぁ、二人は熱愛の末、結ばれたのですね。」
「私とコリーヌもとても愛し合っていると思うが。」
テリアスがコリーヌの隣へ席を移して、コリーヌの手を握りながら。
「本当にコリーヌはとても綺麗だ。そして可愛い。」
「あ、有難うございますっ。テリアス様もとても素敵ですっ。」
ひええっ。ドキドキするっ。
その時、馬車が止まって、皇宮に着いたようで。
テリアスはコリーヌの手を握ったまま、
「ああ、着いたようだな。それでは行くか。」
「はいっ。テリアス様。」
二人は皇宮の使用人の案内によって、皇宮の奥へ行き、庭へ案内されれば、
そこには長方形のテーブルの上に白いテーブルクロスが置かれていて、
レオンフィード皇太子殿下とリリアーナ皇太子妃が座っていたが、立ち上がって、
テリアスとコリーヌを出迎えてくれた。
レオンフィード皇太子が二人に近づいて、
「よく来てくれた。テリアス。コリーヌ。この度は婚約おめでとう。」
リリアーナ皇太子妃も微笑んで。
「ようこそ。わたくしもお二人の婚約、とても嬉しく存じます。さぁ
席について一緒にお食事を致しましょう。」
テリアスは二人に向かって礼を言う。
「有難うございます。私はようやく、愛しい人に出会えました。」
コリーヌは真っ赤になる。
「わ、私も愛しい人に出会えました。」
リリアーナ皇太子妃がコリーヌの顔を覗き込んで。
「まぁ、本当にコリーヌって可愛いわね。」
「リリアーナ様っ。そう言えば、この間は助けて下さり有難うございます。」
「いいのよ。当然の事をしたまでですから。」
4人は席について、まずはワインで乾杯する。
コリーヌはまだ飲めない年頃なので、葡萄ジュースで乾杯した。
どこかから、バイオリンの音が聞こえてきて、ピンクの花びらがチラチラと舞って、
とてもロマンティックである。
リリアーナ皇太子妃が不機嫌に、レオンフィード皇太子に、
「花はいらないでしょう。」
「いや、花があってこそ、雰囲気も出るというもの。」
「食事に花が入るのは嫌ですわ。」
「食べられる花を使っている。問題あるまい。」
前菜が運ばれてくる。
テリアスは言い争いをしている二人に向かって。
「花びらがワイングラスに浮かぶというのも、素敵ではありませんか。」
レオンフィード皇太子が頷いて。
「そうだろう。俺はロマンティックな雰囲気が好きなのだ。」
リリアーナ皇太子妃はワインを飲んでから、額を抑えて、
「仕方ないですわね。」
コリーヌは前菜をフォークとナイフを使って食べながら、
あれ、リリアーナ様は、花びらが好きじゃないのかな…。
私は素敵だと思うんだけど。
と思って、ちらりとリリアーナ皇太子妃の方を見る。
リリアーナ皇太子妃はコリーヌの方を見て、優しい眼差しで、
「食事は美味しいかしら?」
「はいっ。とても美味しいですっ。」
「それは良かったわ。結婚すると、まぁ、色々とあるのよ。結婚する前も色々とありましたけど。」
「熱愛だったと聞きました。」
「ええ、そうね。熱愛だったわ。とても…」
レオンフィード皇太子が、リリアーナ皇太子妃の方を見ながら、
「今も熱愛中だ。俺は全てをリリアーナに捧げている。」
その時だった。
ドシャっと音がして、花びらが大量に降って来た。
どうも花びらの籠をひっくり返したらしい。
テーブルの上の食事もワインも人間も全てピンクの花びらで埋め尽くされた。
二人の使用人がすっ飛んできて、レオンフィード皇太子の前で土下座する。
「申し訳ございませんっ。籠をひっくり返しました。」
「お許しください。」
するとリリアーナ皇太子妃が立ち上がって、花びら大量に銀の髪につけたまま、レオンフィード皇太子の肩に手を置いて、にっこり笑いながら、
「とても、素敵な演出有難う。」
「リリアーナ。怒っているのか?何だったらこの二人を簀巻きに。」
「いえ。出会った頃を思い出しましたわ。あの頃も色々とありましたけれど。」
使用人二人に向かってリリアーナ皇太子妃は、
「急いで、テーブルの上を片付けなさい。そして新しい食事の手配を。」
「「かしこまりました。」」
テーブルは片付けられて、新しいテーブルが運ばれて来る。
その間に、ここにいた4人全員は、メイド達に花びらを落として貰う事になった。
花びらを落として貰っていたその時である。
俄かに空が曇り、空に扉が現れて、3匹の白竜が扉から舞い降りて来た。
口々にその竜たちは叫び出した。
「テリアス。さぁ私達と一緒に参りましょう。」
「一緒に来ないと都を滅ぼして差し上げますわ。」
「竜の国で共に暮らしましょう。」
きっと都の人々も皇宮の上で竜が舞っている状況に何が起きているのか見ているであろう。
コリーヌはテリアスの前に出て、
「テリアス様は渡さない。」
すると空の竜達はケラケラ笑って、
「人間ごときに何が出来るというの。」
「さぁ、テリアス。こっちに来て。」
「私達と共に行きましょう。」
皇宮の庭に近衛騎士や、騎士団がなだれ込んでくる。
皆、剣を持って天を見上げるも、竜の巨大さに、なすすべもなく、ただ、見上げているしかない。
テリアスはコリーヌの肩に手を置いて。
「私が行かなければ、皇都は滅ぼされてしまうだろう。コリーヌ。すまない。私は竜の国へ帰らないといけないようだ。」
コリーヌはテリアスに抗議する。
「帰るって。テリアス様は竜であっても、育ったのはこの国でしょう?この国がテリアス様の生まれ故郷のはずです。テリアス様が行ってしまったら私は…」
涙がこぼれる。
こんなに愛しているのに、テリアスが行ってしまったら、もう悲しくて悲しくて。
その時である。リリアーナ皇太子妃が、3匹の竜に向かって叫んだ。
「お前達はお前達の父である竜王の許可をもらってここへ来ているのか?」
竜達はケラケラ笑って。
「そんなはずないじゃない。」
「父に言ったら許可してくれないもの。」
「でもなぜ、人間ごときが父の事を知っているの?」
リリアーナ皇太子妃は叫んだ。
「たかが竜の癖して、生意気な。わたくしは、竜神族の姫の生まれ変わりよ。
お前達がテリアスを連れて行くというのなら、この皇都に手を出すと言うのなら、どうしてくれようか。我が力見るがいい。」
皆があっけにとられる中、リリアーナ皇太子妃は白竜に変化して、空を駆けのぼった。
三匹の竜に向かって口を開け、衝撃波を放つ。
三匹の竜は衝撃波を食らって、吹っ飛ばされクルクルと空を回りながら、遠くへ飛んでいった。
リリアーナ皇太子妃は、地に降り立ち人間の姿に戻る。
勿論しっかりとドレスを着て。
レオンフィード皇太子が慌てて駆け寄って、
「リリアーナ…。凄かったな。」
「前世では、力に目覚めなくて、好き勝手出来ませんでしたから、本当に爆発したのですわ。」
近衛騎士や騎士団員達はしばらくあっけに取られていたが、下がってヨシとレオンフィード皇太子に言われて、その場から退出した。
コリーヌは安心したように、テリアスに抱き着いて。
「良かった。連れて行かれないで良かった。」
「ああ、本当に。行かないですんでよかった。リリアーナ様のお陰だな。本当に有難うございます。」
リリアーナ皇太子妃は優雅に微笑みながら、
「いいえ。生意気な竜の娘達を懲らしめただけですから。」
その時、空から巨大な白銀の鱗を持つ竜が降りて来て、人の姿に変わり、地に降り立つ。
長い銀髪、そして切れ長な瞳。何よりも美しい青年で。
リリアーナ皇太子妃の顔を見るなり、その青年は手を地について、見事に土下座した。
「竜神族の姫様。まことに娘達が無礼を働き、申し訳ない。」
「貴方があの生意気な小娘達の親、竜王なのね。しっかりと教育をしてもらわないと困りますわ。」
「本当に教育が行き届かず、娘達にはしっかりとバツを与えておきますので。」
「それならば、許して差し上げます。」
コリーヌは思った。
リリアーナ皇太子妃様って強い。レオンフィード皇太子が霞んでしまっている?
竜王は、ここにいる4人に向かって。
「お詫びに、ここは私が御馳走しますので。どうかお許しを。」
竜王が魔法を使っているのか、脇に丸テーブルを用意し、出現させる料理はそれはもう美味しくて。
配下の竜を2匹呼び寄せて、人間の姿にさせ、料理を4人の元に運ばせる。
酒も透き通った7色に輝く酒で、コリーヌには、7色に輝くジュースを飲ませてくれた。
レオンフィード皇太子が、酒を飲みながら、
「凄く美味い。酒も料理も。さすが竜王だな。」
竜王は料理を出現させながら、焦ったような表情をして、
「せめてものお詫びですから。」
リリアーナ皇太子妃が、テリアスとコリーヌに向かって。
「何かあったらわたくしにすぐに言って欲しいわ。テリアスは美男だから、コリーヌも大変でしょう。わたくしは応援していますから。」
コリーヌは頭を下げて。
「本当にリリアーナ様には助けて貰ってばかりで。とてもありがたいです。」
竜王はリリアーナ皇太子妃に向かって。
「二度と、テリアスを誘惑するような真似はさせないようにしますので。」
「約束して下さって嬉しいですわ。」
その後、和やかに食事をして、帰りには竜王様からお土産の菓子までもらってしまったコリーヌである。
帰りの馬車は、テリアスの隣に座って、疲れのあまりうつらうつら眠ってしまった。
テリアスの温もりを感じて、本当に幸せで…
テリアスの声が耳に聞こえてきた。
「愛しているよ。コリーヌ。」
その声に目が覚めて。愛し気にテリアスを見つめる。
「私も愛しています。ずっとずっとお傍に居させて下さいね。」
そんな二人を夕日が優しく照らしているのであった。




