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コリーヌが愛しくてたまらない(テリアス視点)

テリアス・アシュッツベルクが、最初、コリーヌ・マーシュリー伯爵令嬢を見た時は、薄い色の赤毛の冴えない女の子、そんな印象だった。二人の綺麗な令嬢の後ろに隠れていた女の子がいきなり、自分の正体を当てたのだ。


「きゃっーー。白い竜っーー。近づかないでっ。」


慌てて逃げ出すその女の子を追いかけた。

しかし、何故か見つからなかった。

わざわざ帰って行く令嬢達に握手をし、見送りまでして、探した。


それでも見つからない。

仕方が無いので、招待した屋敷一軒一軒、訪問して、少女を探すことにした。


見つけたコリーヌ・マーシュリー伯爵令嬢。


不思議な力を持つ令嬢だった。


人が持つオーラが見えるらしい。又、竜や幽霊まで見えるとの事。


いつか本来の姿に戻って空を飛べたら…


だから、彼女と仮婚約を結び、領地に来てもらって、竜に戻る手助けをしてもらうことにした。


ああ…それにしても、コリーヌといると、楽しくて楽しくて。


クルクルと表情が変わる明るい女の子で。

いつの間にかこの小さな女の子が愛しくて愛しくてたまらなくなっていた。


一緒に食べた冷えた瓜。共に楽しんだ釣り。一人で今までやっていたことが、コリーヌがいると凄く楽しい。


竜になった後、素っ裸の自分に驚いたコリーヌも可愛くて可愛くて。


もう、コリーヌを自分の本当の婚約者になって貰って、いずれは結婚したい。


でも、コリーヌは竜の嫁は嫌なようだ。

それはとても辛かった。


「コリーヌ…。」


小川で釣りをしたり、一日中、遊んだ夕方。

屋敷のテラスで沈み行く夕日を眺めながら、コリーヌに話しかける。


隣に立つコリーヌは、テリアスの顔を見て、


「なんですか?テリアス様。」


「どうしても駄目か?私は、君と結婚したい…」


「ううううん。いいですよ。」


「え??」


「だって、背後から、結婚しろ結婚しろってさっきから煩くて。」


「例の幽霊か?」


「そうです。テリアス様は悪い人じゃないし、怖くもないし、優しい人だから、結婚しろって、幽霊のテリアス様と、ご先祖の主様が。うちの家族も、テリアス様の家族も応援してくれる。これって、とても幸せな事じゃないでしょうか。」


「ああ、コリーヌ。なんて嬉しい。」


コリーヌを抱き締める。小さくてとても温かくて愛しさが増す。


「私も嬉しいです。テリアス様。御迷惑かもしれませんが、よろしくお願いしますね。」


ああ、なんて可愛い事を。コリーヌ…。


愛しさが増して増して…


だから、翌日、コリーヌが姿を消すなんて思いもしなかった。



翌日、コリーヌは姿を消してしまった。

どうも、皇都へ帰ってしまったらしい。

使いの者が来て、何やらまずい事が起きたとの事。


馬を引いて来て、飛び乗り、早馬で後を追いかけようとする。

しかし、雨が降って来た。


この酷い雨だ。コリーヌの馬車も、泥濘にはまって立ち往生しているかもしれない。


服を脱いで、巨大な白竜になる。

空を駆けて、コリーヌを追いかけることにした。


ああ…コリーヌ…。コリーヌ…。どこにいるんだ。

その時。空の彼方から呼ぶ声がする。


- もっともっと…高く上がっておいで。お前の行くべき所は、空の彼方にある -


そうだ…私は… きっとそこへ行ったら、人間の器を投げ捨てて、本能のままに自由に生きられるに違いない。


ああ、高く高く…もっと高く…


雨雲を突き抜けて、もっと高く…


その時、コリーヌが叫んだ気がした。


- テリアス様っ。行っては駄目ですっーーー。ご両親が悲しみますっ。勿論、私もっーー。

だから戻って来てっーーー。 ― 


ああ…なんてことを…。そうだ。コリーヌを…両親を残して私は天の国へ行くわけにはいかない。


急降下して、地上、スレスレに飛べば、雨の中、止まっているコリーヌの馬車を発見した。


人の姿になり、馬車の扉を開けて、中に入れば、コリーヌが悲鳴をあげた。


「テリアス様っ。また、素っ裸でっーー。」


「すまない。君を追いかけて来たんだ。危うく竜の国へ行くところだった。

引き止めてくれたんだな。有難う。」


「ええ、なんかそんな気がしたんで、思いっきり叫んでみたんですけど、ああ、ちょっと待って下さい。タオルなら持っています。」


タオルをコリーヌは荷物から出してくれて、それを身体に巻く。


他にもコリーヌの寝間着やら、服やら色々と身体に巻いたらとんでもない格好になった。


雨で立ち往生しているのだから、今は仕方ない。


コリーヌに聞いてみる。


「どうして、急に帰ろうとした?」


「急いで帰って来てくれって、家から迎えが。どこかから妨害が入って、今年の領地の麦の納品が商会に出来なくなったからと…。他にも収穫物の納品が全て商会から断られていると。これって、私がテリアス様の仮婚約者になったから、妨害受けていますよね。」


「申し訳ない。恐らく、マリー皇女様か、エリーヌ・カティリシアス公爵令嬢あたりの妨害だろう。二人とも私と結婚したくて仕方がないようで、しつこく言い寄られているんだ。勿論、私の正体には気が付いていないがね。」


「ああ、どうにかして下さい。このままだと、うちの伯爵家は潰れてしまいますっ。」


「勿論、解っている。雨が止んだら伯爵家に向かって、君は一旦家に帰りなさい。

私は公爵家に戻って、とりあえず、服を着ないと。そうしたら皇太子殿下にお会いして、

伯爵家への圧力をかけた者を調べて、それを辞めさせる。だから、安心してくれ。」


「有難うございます。」


この国の皇太子殿下は、レオンフィード皇太子という男で、影の者を使い、迅速な対応をするやり手で有名であった。


やっと両想いになったのだ。だから、何としても、妨害を辞めさせて、

コリーヌと共に幸せになって見せる。


雨が外は降りしきる馬車の中、愛しいコリーヌを抱き締めて、決意を新たにするテリアスであった。


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