ボランティア部ってこんなんだっけ?
「この学校ではさ、絶対部活動に入らきゃいけないんだよ。」
先生にいつ見つかるかとキョロキョロしている僕に田村くんが話しかける。
「え、そうなの?」
前の学校で何も部活動に入っていなかった僕は、この学校でも何も入らないつもりでいた。そもそもどんな部活動があるのかすら分からない。
「もし入る部活無かったらさ、俺と同じ部活入ってくれよ。人足りてなくてさ」
田村くんも部活やってたんだ…と失礼なことを考えた。
「…もともと部活に入る予定も無かったし…どんな部活動かによるけど…僕でよければ入るよ」
僕がそう言うと田村くんは、じゃあ放課後案内するわ、と言った。
______放課後
田村くんに連れてこられたのは、体育館の近くにある古い倉庫のようなところだった。もしかしてボコボコにされたりして…と考えたりしたが、ここまで来たら覚悟を決めるしかない。
「うーっす」
田村くんは少し錆びているドアを開け、挨拶をして中に入っていく。僕もその後に続いた。
「あれ?誰も来てないな~。…ちょっと汚い部室だけど先輩来るまで適当にしてて」
中には6個の机と椅子が給食の班みたいにされていて小さなホワイトボードとサッカーボール、バスケットボールがあった。僕が椅子を引いて静かに座ると、向かい側に田村くんが座った。
「今更なんだけどさ…ここって何部なの?」
僕がそう聞くと、田村くんは一瞬キョトンとした顔をして「あぁ、そういえば言ってなかった」と呟いた。
「ボランティア部」
「…え?ボランティア?」
田村くんの口からそんな言葉が出てくるとは思っていなくて聞き返してしまった。ボランティアの言葉の意味を彼はちゃんと分かっているのだろうか…
活動内容を聞こうとした時、ドアが開いて先輩であろう人達が入ってきた。
「あれ?珍し~!お客さん?依頼者さんかな?」
最初に声を発したのは、歳下に見える低身長童顔の男子生徒だった。ネクタイの色からして先輩なんだけど…
「入部希望ッスよ、アユムさん」
アユムさん、と呼ばれた彼は「なーんだ」と言って僕とは少し離れたところに座り、スマホをいじり始めた。
「入部希望者だって大切なお客様でしょ?しっかりしてくださいよ、ホントに。」
そうため息混じりで言ったのは…見覚えのある顔だった。ふと彼と目が合うと彼は少し驚いた顔をして僕に話しかけてきた。
「晴…?晴だよね…?覚えてる?俺だよ、稲森万喜だよ」
あぁ、そうだ。小学校の頃に一緒だった万喜だ…。でもどうしてこんなところにいるんだろう?そう考えていると田村くんが話しかけてきた。
「山崎、お前万喜と知り合いなの?」
僕が「うん」と言うと今度は万喜が話しかけてきた。
「どうして晴が5組の音和なんかと一緒にこの部活に来たの…?」
「音和なんか」と憎まれ口を叩いてはいるけれどお互い名前で呼びあっているし、仲が悪いわけではないのだろう。僕は転校してきたこと、そしてこの部活動に誘われたことを説明した。