プロローグ
この話は、男子生徒が女装するシーンや男の娘が出てくるシーンがあります。苦手な方はお戻りください。
高校2年生9月の始業式、僕は新しい学校へ来た。前の学校に特別な思い出も無かったし、時期的にも問題は無い。もし何かあっても親の転勤なのだからしょうがない。
2年5組のドアを開ける。当然のことだけど、知らない顔ばかりで少し緊張してしまう。
「じゃあ、自己紹介…してもらえる?」
優しい先生の声が聞こえ、僕はゆっくりと口を開いた。
「えっと…山崎晴です。…よろしくお願いします。」
僕がお辞儀をすると、拍手が聞こえた。噛まなくて良かった…とホッとする。
顔を上げると先生が後ろの席に座るよう指示をした。皆の視線が僕に集まる。
席に着くと、HRが始まった。
「俺、田村音和。これから1年…もないか、半年?よろしく。」
そう休み時間に話しかけてきたのは隣の席の…
不良みたいな奴だった。髪は明るい茶色をしていて染めているのが丸分かりだった。ピアスも開けていて、今まで友達になったことの無いようなタイプだった。
「後で校舎内案内するように頼まれてんだ~!後じゃなくてもいっかな?今行く?」
断るべきなんだろうけど、ここで断ったらどうなってしまうのか…想像が全くできなかった僕はついて行くことにした。