第3話 魔王召喚
そういえば、俺が転生した身体について説明してなかったな。
俺が転生した身体【魔神リュミエル】は『惨殺女神』や『鬼畜女神』といった数々の二つ名を持ち愛されているキャラで、あるゲームのレイドボスだ。
ゲームクリア後に登場する所謂『無限ダンジョン』というヤツの1000階層に登場する裏ボスで、HP900000000を誇る高耐久ボスである。
しかも、この高HPに加え、三段階の形態変化をするというまさに鬼畜仕様で、形態変化するごとにHPが二倍になっていく心折設計であり、その見目麗しいキャラグラフィックと溢れんばかりの強さから、討伐に参加したプレイヤーからは鬼畜仕様への涙と、外見的可愛さからの愛など、色々な感情を込めて『魔神ちゃん』と呼ばれ親しまれていた。
その高耐久は今現在の低レベル状態でも十分分かる。なんせレベル3の状態でHP60000後半だ。三形態変化も健在だし、ゲームのHP900000000のあの鬼畜仕様の時がレベル100の最大状態だったと仮定しても焦る必要はない。なにせ低レベル状態でも俺の耐久力は素晴らしい。まともな奴には倒されないだろう。それに頼もしい事に魔族達が頑張っているのかレベルも最近5になった。
だから、俺がもうかれこれ1年位転生場所から動かなくても不思議ではない。だって死なないし。急ぐ理由もないし。
俺は〜今日も〜ベッドで惰眠を貪る〜♪
『魔族の統一を急がねば……。とか言ってた人、弁明をどうぞ』
人違いじゃないですかね。
…………いや、だって自分から動きたくないし。急がねばとか言ってないし。そもそもゲンキちゃんもあまり動いてないし。
『ふふーん、私は秘策があるのですよ!正確には思い出したのですが』
ふーん、で?秘策って何よ。
俺は興味無さげに漫画を読み耽る。おっ、主人公のパンチいいの決まった。これはライバルも負けられないな。個人的にライバルキャラがどれほど素晴らしいかで主人公の魅力も180度変わると思ってる私です。
『魔族だってこのままでは絶滅するのは分かっているはず!ならば!こちらが何もしなくてもいずれ『魔王召喚』してくれると思ったのですよ!!』
………ちょっと待て、『魔王召喚』ってそんなピンポイントな召喚術があるのか。
漫画なんて読んでる場合じゃぬぇ!!俺は思わずゲンキちゃんに詰め寄った。
『ふっふーん、これがあるんですよねー。多分魔王にされた人が長い時間魔族とコンタクトを取らなかった時の保険なんでしょうけど、魔族の秘伝として伝わっているんですよ!』
待て待て待て待て待て………!そんなもの使われたら俺が働かなければいけなくなるだろう。流石の俺も魔族全体なんて大多数の人に担がれて無視するとかできないぞ。
『おっ、言ってたら魔王召喚の反応が』
えっ、マジで?
『マジです』
いやいやいやいやいやいや!!今はダメ!絶対!!
『なんでですか?あっ、そろそろ召喚されますよ〜』
ちょっと待ってぇえええ!!どうせ、魔王になるんだったら威厳ある登場をしたんだよ!
『そんなすぐ消える威厳なんて持つだけ邪魔です』
そうだけど!!……そうだ!お前『運命操作』とかできるんだから少し召喚を遅らせるぐらいーーー
『召喚、開始〜』
話を聞けぇ!!!
「「「………………」」」
____魔王城、召喚の間にて。
そこには、魔王召喚の為に集まった凡そ三十名もの召喚者達と____
パーティでもしてたのか、三角帽子に鼻眼鏡という出で立ちで、漫画を構えた魔王(?)の姿があった____。