第31話 シアとの交流(1)
《暗黒剣》の本当の使い方、かぁ……。うーん……。
「はい。では今日は歴史学の時間です。ノート開いてください」
あ、もう授業の時間だ。そろそろゲンキちゃんに来てもらわないと。
おーい、ゲンキちゃーーー
『そう言うと思って、スタンバッてました』
あ、ハイ。
「では、今回はアイリーン英雄学園創設の話をしてみましょう。今までは実戦の形で戦闘技能を鍛えてきましたが、これからは座学にも力を入れていきますよー」
えっ、今まで力を入れて無かったんですか?今までのでも私には結構意味不明だったんですが、それは……。
いや、まぁ私にはゲンキちゃんいるし、大丈夫だよね。
『それは、どうでしょう?この世界の歴史とか私知りませんし』
「マジで?致命的なんじゃね?それ」
「ーーー何が、致命的なの?」
「うわぁ!」
ゲンキちゃんのその言葉に、「今日、歴史学なんですけど」なんて危機感を覚えていると、いきなり横から声がした。
顔を横に向けると、そこにはSクラスのマスコットにして、このクラス随一の変態機動、シアさんが居た。
猫を思わせるタレ目とボサボサの銀髪に小柄な体格をしているが、これでも技量ステータスSランクという今のところ誰も到達できていない地点にいる存在だ。
ちなみにゲンキちゃん曰く、私の技量ステータスはそこまででもないらしい。まぁ、度々腕ぶっ壊してる癖に代償に反して上達しないからそこまでではないのはわかるけど。聞いた時は普通に傷ついた。
「いや、歴史学は苦手かな〜?ってね……はは」
「へぇ、意外。《傾国》が国を滅ぼせたのは、その国を知ってたからだと思ってたから」
「いや〜、そんなことはないんじゃないかな?」
ハハッ、バレテーラ。
流石に私が国を滅ぼした理由や方法までは分からなかったようだが、きっかり私が《傾国》だとわかっているようで。
ちなみに私が国を滅ぼした理由は『金がなかったから』で、方法は『即死の魔眼を連発するだけ』の単純な事です。あちらが阻止しようとしても、こちらは勇者の聖剣意外効かないし、魔眼の有効範囲は文字通り視界内全部なので、止めようとしても止められないだろう。逆に止められる奴いたら人外認定してやる。
なんか、これだけ聞いてると欲望のままに国を滅ぼしたように聞こえるし、実際その通りだけど、殺したのは比較的上位の立場に位置する人間とその親類くらいなので、あの国が商業が盛んだったり、もしくは指導者達を新しく手に入れる手段でもあるなら立て直してる可能性もある。
というか、国民を虐殺していない訳じゃないから、前者にしろ後者にしろ大損害は変わらないだろうし、国庫は残らず持っていったから、再建は絶望的だろうけど。
お金が欲しかったからね。シカタナイネ。
そんな感じで私は何も考えてないので、力があればノリで国滅ぼしちゃう事もあるのだ。多分、ここまで何も考えてない国落としは史上初なんじゃないだろうか。
こんな事で自分が魔王なんだと自覚しなくてもいいのに。
と、脱線した。今はシアさんの対応が先だ。
「……そ、それより、そろそろ授業始まるよ?」
「ん。そっちも、授業中にさっきみたいに上の空にならないようにね」
ハハッ、バレテーラ。