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魔王になっても  作者: 暴虐の納豆菌
第1部序章 入学まで
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第1話 娯楽が足りない



ここはどこかの国のどこかの廃墟のどこかの廃屋。周りには瓦礫くらいしか無く、とても人が住める場所ではない。


そこで俺は暇を潰していた。



「そろそろこの小説も読み終わるな。 はぁ……この世界にもっと娯楽があれば………」


『だったら、勇者を探しに行きましょうよ!そうしましょう!』


「却下〜」


『えええええ!! だって貴女ってば、もう一ヶ月は転生場所(・・・・・・・・・・)から出てない(・・・・・・)んですよ!?一応、貴女はこの世界のラスボスなんですから、もっとしっかりしないと!』



しらんがな。


俺はそっと読み終わった小説を石の上に置くと、他の娯楽を探して廃墟を漁りだした。

昔人が住んでいたのか知らないが、この廃墟はそれなりに物が溢れている。たまに、何だったのか最早わからないガラクタも出てくるが。


ついでに言っておくと、さっきからこの頭に響いてくる謎の声の言ってる事は本当だ。

なんでも、この世界で俺は、勇者の扱う聖剣でしか傷を付けられないテンプレ的なラスボスらしい。

ボスとして当たり前とでも言うかのように、超高HPと全状態異常無効も持っている。


だがそれでも、俺はまだレベル1の雑魚にすぎず、本来なら他の魔族達を束ねながら人間を殺してレベルアップしなければならないとか。


まぁ、勇者の聖剣しか効果ない以上、レベルアップとかワンサイドゲームでしかないのだが。だって聖剣以外の攻撃効かないもん。どんな相手もがんばれば無傷で倒せるんだからやる気も起きない。


まぁ、俺にやる気を期待するとか馬鹿な事なのだが。



『がんばれば無傷で倒せるって、そんなわけないでしょーが!!ステータスが低ければダメージも与えられないんだから、それなりに高いステータスの相手には千日手にしかなりませんよ!!』



それもそうか。でも、自分から動くのはなんかヤダ。そもそもラスボスとか他を当たれって話である。



『こいつゥ!!』



因みに紹介が遅れたが、頭の中に響いてるこの声の名前はゲンキちゃんだ。いつも元気だからそう名付けた。結構うるさいんだ、コレが。


言っとくが、転生の時に俺に話しかけてたヤツではない。あいつは老若男女まったく判別つかない声だったが、ゲンキちゃんはちゃんと幼女の声してるし、本人も別人だと言っていたので確かだ。


何より自分がアイツとゲンキちゃんを重ねられない。

これは大事だ。自分の認識とは強く持つべきだ。だから俺が違うと思ったら違うのである。


尚、最初はただの幻聴だと思って三日くらい放置してたのは内緒。本人曰く俺が魔王としてちゃんとやってるか監視する役割を持ってるらしい。



『ふ、ふふ、まさかこんなに手の掛かる魔王だなんて思わなかったのデスヨ。イイです。あくまで自分で動かないというのなら!

【運命操作】発動!

____来たれ!『なんか都合よく盗賊に襲われてる行商人』!!』



「ヒャッハー、荷を寄越せー!!」

「きゃー、助けてー!」



ゲンキちゃん(他称)が何かすると、世紀末ヒャッハーな盗賊さんと、それに襲われている行商人がどこからともなく、いつのまにか、何の脈絡もなく、偶然、俺のいる廃墟の前の街道を通った。



なるほど、数ある創作の中で起きるテンプレ『転生主人公の前に何故か現れる都合のいい行商人』はお前らの仕業だったのか。



…………ん?あれ、荷の中から娯楽の匂いが……。



説明しよう!『娯楽の匂い』とは!

主人公があまりにも娯楽がない事に絶望した末に強く願った想いが(中略)した、所謂娯楽のある場所を特定する擬似的第六感である!!


………主に瓦礫の山から本などを見つける際に使われる。



そして、この主人公、何もしない癖に何も無いのは耐えられない、典型的なニートである!


つまり………____










ヒャッハー、荷を寄越せー!!




『まさか盗賊の方に味方を!?』



こういう事である。




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