第14話 クラス分け面接
「動機は?」
「経験値」
「直球だね、君」
現在面接中。
ん?なんの面接かって?そんなもん、アイリーン英雄学園の面接に決まってんだろ。
あの後、魔剣登録証を手に入れ、ヒムちゃんと二人、意気揚々と学園に繰り出したのだ。そんな私にまた新たな壁が現れた!
…………そう、この面接です。
実はアイリーン英雄学園のクラス分けは特殊だ。
特殊といっても、数ある学園ファンタジーに良くある設定だろうけども。
とにかく、その特殊なクラス分けの所為で面接が必要になるのだ。入学自体は面接必要無く確定してる。
クラス分けとはS〜Eまでのアルファベットでできていて、実力で入れるクラスが決まる。
その選定基準は、強い順にS、A、B、C、D、Eとなっている。
その中で面接を利用して生徒を入れるクラスを選ぶのだ。
自己申告された能力とその傾向を調べて、ね。
当然、生徒が嘘を吐く可能性があるので、事前に鑑定が行われ、ある程度の強さを測定されている。
つまり嘘を吐くのは得策ではない。と、ゲンキちゃんから言われていたので、俺は出来る限り正直に履歴書を書いた。
「備考に書かれていた『とにかく硬い』というのは?」
「その名の通り、とにかく硬いです。並みの攻撃じゃ傷一つ付きません」
「そ、そう。……でも、君の魔力量はそこまで……」
「教頭、この娘の言ってる事は本当です。この娘、戦略級魔術食らってもケロっとしていて……」
「」
勿論魔王ということは伏せている。だから勇者の聖剣でしかダメージを受けない不死性をこう表記した。どうせ、学園に通ってる間に不死性はバレる。なら、少なからず隠れ蓑になる設定を作ろうとした結果だ。
魔王というだけなら良かったんだが、俺の場合この世界のラスボスだからな。それ関連の事を吹聴する必要は極力減らす方針で行く。
なんでも、魔王自体は俺の他にもいるんだが、勇者の聖剣でしかダメージを受けないこの性質はこの世界のラスボスたる俺だけの固有スキルらしい。だから隠した。
ちなみに履歴書に書いた備考はこんな感じだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
備考:
魔眼が使える。
とにかく硬い。
強くなりに来ました。
◇◆◇◆◇◆◇◆
こんなかんじだ。こんな感じと言ったらこんな感じなんだ。
というか簡潔に、と言われたから「今北産業」みたく三行で答えたのだが、それのおかげで面接官さんが頭抱えてる気がする。
だったら最初から簡潔に、じゃなくてアピールしてくれと言えばいいのにね。
「魔眼が使えるのはこの際珍しくないんだが、この、『強くなりに来ました』というのは……」
へー、魔眼が使えるのは珍しくないのか。いいこと聞いた。___おっと、質問に答えないと。
「さっきも言った、『経験値』です」
「___ん?僕の聞き間違いかな?さっき変なルビ振られたような……」
「教頭、事実です。この人、国際指名手配犯です」
「」
そろそろ教頭の頭が心配だ。さっきから報告を聞くたびに絶望の顔と共に頭の毛が寂しく吹き飛んで行く。
「ここまで、残虐性のある備考を書かれたのは学園創設以来そこまでないよーーー……なんか、『魔眼が使える』の項目だけ浮いてる気がする……」
「因みにどんな魔眼が使えるのですか?」
あっ、これは言っても大丈夫かな。珍しくないって言ってたし。
「即死の魔眼です」
「」
「………カモン!!Sクラァアーース!!!」
面接官の絶叫が学園中に響いたという。俺知らねーから。
「受理しました♪」
こうして、俺の面接は魔剣登録証の時と同じ受付の人が履歴書を持ち帰り、俺はSクラスの『厳重監視対象』ということで入学を受理された。