7話 丸くなった魔人
「あっはっはっはっ! そいつは大変だったねえ!」
「「笑い事じゃないですよう。大変だったんですから~」」
「そう言えば、フウちゃんとランちゃんに自己紹介がまだでしたね~」
「「言われてみればそうですねん。はじめまして」」
「はい、はじめまして~」
…………軽いなあ。
ここは港町トライアングルのスラム街にある酒場。
フウラン姉妹とピュネちゃんとドンナさんが楽しそうに会話している。
ドンナさんと言うのは、この店のウェイトレスで、あのデリバーって海賊の彼女だ。
ドンナさんはパッと見は大学生くらいの年齢に見えるけど、実際は三十代らしい女性だ。
種族は俺と同じ人間でヒューマンらしい。
くせっ毛のあるロングヘアは濃い緑の色。
目は鋭いつり目でエメラルドグリーンの綺麗な瞳。
顔立ちが整っていて結構美人だが、少し鍛えているのか、半袖から見える腕には少しだけ筋肉がついていた。
とまあ、そんなドンナさんだが、休憩だとかで今は俺達と相席している。
みゆが一緒に話そうと誘ったのだ。
と言っても、みゆは今は食事中で、食べるのに集中している。
「しかし、あんた等も大変だね。シャーン海賊団に目を付けられちまうなんてさ」
「そんなに面倒な奴等なのか?」
「面倒も面倒で面倒臭い奴等だよ。今後は気をつけた方がいいかもね。って言っても、海にさえ出なければ平気だよ。あいつ等海賊だから、陸なら逃げきれるんじゃないかな」
「「うげえ。私達はその海に……水の都に行きたいんですよねえ」」
「まあ、船が無くてどうするかって状況だけどな」
「やっぱり他の港町に行くしかないのかな」
「あらら。そりゃ困ったね」
俺の言葉にベルが続けて話して俯くと、ドンナさんがポテトを一つ摘まんで口に入れながら他人事の様に喋る。
まあ、他人事なんだが。
「みゆちゃん、そのチョコの実ケーキ美味しいですか~?」
「美味しいよ。ぴゅねお姉ちゃんも食べる? はい、あーん」
みゆとピュネちゃんは平和だな。なんて事を二人を見て考えていると、フウラン姉妹が「そう言えば」とドンナさんに視線を向けて、左右対称に首を傾げて質問する。
「「ドンナさんは何で私達を助けてくれたんですか?」」
「悪い奴には見えないから」
「そんな理由で助けてくれたのか?」
思わず聞き返してしまった。
すると、ドンナさんは「分かりやすくて良いだろ?」と笑んでから、言葉を続ける。
「それに、この子、みゆだっけ? こんな曇ってない笑顔をする子を連れてる連中を放ってなんておけないだろ?」
「はは。みゆに感謝だな」
そう言ってみゆの頭を撫でると、みゆに「食べ辛いから今は駄目」と睨まれてしまった。
「それでこれからどうするの? 水の都に行きたいんだろ?」
「そうなんだが、船が無いからなあ」
「だったら、家の船を貸したげるよ」
「――っ! マジか!?」
「私はここで働かせてもらってる身だけど、私の家は漁師の家なんだよ」
「い、良いの?」
「もちろん。ただ、船の舵を取る人間が必要だねえ。私もそれくらいは出来るけど、水の都までは家の船だとだいたい二十日かかる。そこまでかかっちゃうと一人で水の都までなんて、そんなの出来ないからね。あんた等の中で船を操舵出来る子がいてくれると助かるんだけど?」
は、二十日!?
って事は、約三週間って事か……。
この港町に来るまで一週間もかかってないだろ?
それでメレカさんの処刑が一ヶ月後だったから……ギリギリだな。
「「船を操舵出来る人なんてこの中にはいませんよう。残念ながら、私達姉妹も海は専門外です」」
「ま、そうだろうねえ」
ドンナさんはそう呟くと、ポテトを一つ摘まんで口に放り込む。
すると丁度その時、さっき俺達を見て騒ぎ出した男がやって来た。
「どう言うつもりだ、ドンナちゃん!? こいつは汚れの――――」
「丁度良い所に来たね、トビオさん。頼みがあるんだけど」
「――は? 何言って――」
「皆、紹介するよ。この人はトビオさんて言って、こんなでも船の舵が上手いんだよ。この人がいれば、船旅も安心だよ」
「――本当に何言ってるんだ!? 船旅って何の事だよ!?」
「一々煩い男だね。私の船で水の都に行くんだよ」
「はあ!? ふざけるな! 何で俺が汚――ごはっ」
トビオと呼ばれた男が顔をグーで殴られ倒れる。
殴ったのは勿論ドンナさんだ。
「ごめんね、みんな。トビオさん馬鹿だけど、悪い人じゃないんだよ」
「だ、大丈夫ですか?」
殴られて床に倒れたトビオに、ベルが心配そうに近寄って屈む。
「あら優しい。いい子だね、ベル」
「べるお姉ちゃん、そんなの放っておこうよ。わたしその人嫌い。タバコ臭いし嫌」
タバコ臭いで嫌は酷いだろ。と思いながらも、俺もこの男が嫌いなので注意はしない。
それにみゆはタバコの臭いが本当に嫌いなので仕方が無い。
と、そこでベルが眉根を下げてみゆに視線を向ける。
「でも、放っておけないよ」
「「みゆちゃんって何気に口悪いですよね」」
「うふふ。可愛いですよね~」
「タバコ臭いってさ、トビオさん」
ドンナさんがベルに回復してもらってるトビオに……って、回復?
「ベル、そこまでしなくても良いんじゃないか? 顔を殴られただけだろ」
「一応回復しておこうと思って……駄目かな?」
「……いや。駄目じゃない。ベルがそうしたいならすれば良いよ」
「ええー。お兄ちゃんまでそんな事言って。わたしその人嫌い」
みゆが文句を言って俺を睨む。
睨む相手が違うだろと言いたいが、まあ、放っておこう。
本当は俺だって、こんな奴の傷なんて治さなくて良いと思ってるんだ。
みゆの気持ちは分かる。
それよりもこの男、トビオって奴だ。
ベルに回復してもらうと流石に騒ぐ気が無くなったのか、すっかりと黙り込んでしまった。
と言っても、未だに納得していないのか、気に入らないとでも言いたそうな顔だ。
ベルは回復を終えると立ち上がり、俺に視線を向けた。
その顔は真剣な表情だった。
「ヒロくん、あのね、私この町を襲う魔族を倒したい」
「は?」
「あの港町で聞いたの。この町の町長が海賊に魔族から護ってもらってるって。多分それって、魔人サルガタナスだよね? だから――」
「なんのつもりだ!?」
ベルの言葉を遮って、トビオが大声を上げてベルに指をさす。
「どうせ俺達を騙して、利用するつもりだろう!? 俺の息子はお前のせいで死んだんだ! 俺は騙されないぞ! 回復したのだって、俺を油断させるつもりだからだろ!?」
流石に本気でイラッときて殴りたくなったが我慢する。
そして、マジで正確歪んでるとしか思えないトビオの発言に怒りを覚えたのは、俺だけではなかった。
みゆとフウラン姉妹がトビオを睨み、腰を上げて身を乗り出す。
「死んだのは魔族のせいでしょー! べるお姉ちゃんのせいにするな!」
「「そうだそうだー! おっさんはひっこんでろー!」」
「べるお姉ちゃんに謝れ! この恩知らずーっ!」
「こ、このクソガキ! 下手に出てれば調子に乗りやがって! 俺は女子供相手だからって優しくしたりはしないぞ!」
トビオが立ち上がり、身を乗り出していたみゆを掴もうと手を伸ばす。
だが、そんな事を俺が許すわけがない。
直ぐにトビオの腕を掴み、そのまま床に押さえ付けた。
「いだだだだだだだっ! はなっ離せ!」
「罵倒するのは構わないが、俺の妹に手を上げるってんなら話は別だ。覚悟は出来てんだろうな?」
「ぎゃああああああ! 折れる! 折れちまう!」
「ひ、ヒロくん落ち着いて!」
「お兄ちゃん、そう言うところ相変わらずだね。その人嫌いだけど、やり過ぎは良くないよ」
「は? お前なあ。こんな奴に同情するのか?」
「みゆちゃんの言う通りだよ。ヒロくん、もっと穏便にしようよ」
何で俺が悪者みたいな感じになってんだよ。と、文句を言いたいが、それは我慢してトビオを離してやった。
すると、ベルが「ごめんね」と俺にだけ聞こえるような小さな声で話した。
それを聞いて、ベルに気を使わせてしまったと感じて少し落ち着いた。
しかし、あくまでも少しだ。
トビオは反省の色が見えずベルを睨みつけていて、この恩知らずのクズ野郎のおかげで、俺の苛立ちは未だに治まる気配が無い。
「なあ、ドンナさん。俺、こいつに船を任すの嫌なんだが?」
「好き嫌いじゃ船は動かせないよ。我が儘言ってないで、仲良くする努力でもしなよ」
「ええっ? 俺が努力すんのかよ?」
「こっちだってお断りだ! なんでこんな得体の知れない黒髪のガキと仲良くしなきゃならないんだ!?」
「まったく。どうして男ってのは、こうも感情で動くんだろうね? そこは割り切れば良いじゃないの」
「「割りきれるか!」」
「なんだ。仲良いじゃないか」
「お兄ちゃん息ぴったりだよ?」
「うん、意外と良いコンビニなるかも」
「ならねえよ! 誰がこんな糞みたいなおっさんと仲良くなるか!」
「それを言いたいのはこっちだ!」
俺とトビオが睨み合う。
本当にいい迷惑だ。
こんな奴と仲良しだなんてやってられない。
「話はズレちゃいましたけど~、結局町を襲う魔族はどうするんですか~?」
不意にピュネちゃんが話の本題を戻し、俺達はピュネちゃんに視線を向けた。
すると、フウラン姉妹が「あの~」と声を上げて、二人で目を合わせてから言葉を続ける。
「「ベル様は魔人サルガタナスが犯人だと考えていらっしゃるようですけど、多分別の魔族かと~」」
「何でそう思ったの?」
「「魔人サルガタナスは私達とメレカさんで追っていた。と言うのはご存知だと思いますが、詳しい内容までをお話した事はありませんでしたよね?」」
「そうだな。改心したから心配ないってしか聞いてない」
「「実はですね。改心した魔人サルガタナスに聞いたんですけど、邪神に命を狙われてるみたいなんですよね~」」
「え!? 何で!?」
「邪神に命を? って、どう言う事だ?」
「「敵前逃亡は死に値するって言う、よく分からない決まりだそうです」」
……敵前逃亡は死って、完全に俺とみゆの世界の感覚だな。
っつうか、この世界にはそう言うのが無いのか。
「でも、そうなると、確かに納得だな。邪神に命を狙われてるってのに、人間まで敵に回して挟み撃ちにされるなんて、馬鹿な奴しかしないだろ」
「うん。流石にそんな状態で私達まで敵に回すなんて考えられないかも」
しかし、命狙われてるのに、よくサーカスなんて出来るな。
アホなのか?
そう思い、地下で会ったサルガタナスを思い出し……なんか妙に納得してしまった。
確かに、アホと言うか、他の魔族とは雰囲気が違っていた。
雰囲気で印象的なのは、見た目のピエロ具合……なんだが、言いたいのはそう言うのではない。
何だかんだ自分の部下は大事にしていたし、何と言うかこう……そこ等辺にいそうな人間っぽい感じだった。
「おっちゃーん。今日も来たよ。いつもの頂戴ー」
「あ、サルちゃんいらっしゃい」
「ドンナ、そんな所でサボってるのか? ちゃんと働かないと、オイラみたいに痛い目に合うよ」
「サボってないよ。休憩中なだけ」
「休憩ちゅ――――げえええ!? 一緒にいるのは英雄じゃないか!!」
そうそうこう言う感じの、そこ等辺にいそうな感じの奴。
「って、本人かよ!?」
「ひ、ヒロくん? この人と知り合――――っ!? 凄い魔力! それにこの魔力は魔族の!?」
サルガタナスと会った事の無いベルも、その魔力を感じ取って驚愕した。
しかし、驚く俺とベルと違って、フウラン姉妹は落ち着いた様子でピュネちゃんに話しかける。
「「ねえねえ奥さん、聞きました? サルちゃんですって。お猿さんみたいですねえ」」
「あら~。可愛くて良いんじゃないかしら~」
「ピエロのお猿さん?」
「そんな可愛いもんじゃねえよ。みゆは下がってろ!」
「や、やるのか? いいよ! 相手になってやるよ! お前のせいでオイラの人生は最悪な事になったからね!」
「はいはい、騒がない! 争うってんなら、黙らすよ!」
俺とサルガタナスが睨み合って構えたが、直ぐにドンナさんが俺とサルガタナスの間に立って、腕を伸ばして両方に手のひらを向ける。
そして、ドンナさんが平等に俺とサルガタナスを睨んだので、俺は構えを解き、サルガタナスも同じように解いた。
しかし、口を出さずにはいられない。
「サーカスなんて開いて何を企んでんだよ? 邪神に命を狙われてるんだろ?」
「お前には関係無いだろ。オイラにだって生活がかかってんの。お金がなきゃ生きていけないんだよ!」
「お、お金……? は? 何だよ、お前。生活する為に働いてんのか?」
「当たり前だろ!? それ以外何があるってのさ! オイラは部下を養っていく為に必死なんだよ! 英雄なんかに構ってられないんだ!」
「――っぷ。あははははははっっ! 何だよそれ!? お前も大変なんだな?」
「笑うな! 失礼な奴だね!」
笑うなと言われても無理だ。
こんな可笑しな魔族もいるのかと、どうしても笑ってしまう。
俺達に負けて敗走して、邪神に命を狙われたからまた逃げて、そして最後には真面目に働くなんて、こっちの戦う気が失せるには十分だ。
サルガタナスがこれまでにやってきた悪事がどんなものかを俺は知らない。
だけど、本当に改心して、まっとうに生きてこうって奴を俺は憎んだりなんて出来なかった。
他人から見たら、そんなの甘すぎると言われるかもしれないが、こればかりは俺の気持ちの問題なので仕方が無い。
もし、サルガタナスに恨みを持つ奴がいて、そいつがサルガタナスを殺そうとしたら、俺は止めないだろう。
だけど、それを俺がやる必要は無いし、許すわけでは無いからこそ、他人がやる分には止めたりしない。
とりあえずはだが、俺はサルガタナスを認める事にした。
「休憩終わりっと。それじゃあ、船の件は後で話すよ。そうだね、夜十時過ぎくらいに会いに来てよ。その時間ならゆっくり話せるからさ」
「うん、どんなお姉ちゃんお仕事頑張ってね」
「ありがとう、ドンナ」
「どういたしまして。それじゃあ……って、トビオさんもいつまでもつっ立ってないで、さっさといつもの席に座りなよ」
「あ、ああ」
俺が笑いまくってる横で、ドンナさんがベルとみゆと言葉を交わして、トビオを連れて離れていった。
と言っても、今から仕事に戻るだけなので、酒場からいなくなるわけでは無い。
ただ、それからは仕事モードなので、フレンドリーなのは変わりないが、きっちりと店員と客の線引きをしていた。
俺達はその後直ぐに、みゆとピュネちゃんの食事も終わったので酒場を出た。
時間は十五時を回った所で、まだまだ約束の時間まで長い。
とりあえず今日泊まる所を探すかと言う話になり、そして、何故かついて来たサルガタナスに視線を向ける。
「なんでついて来るんだよ?」
「身を護る為に決まってるだろ。お前等がいるって事は、近くに噂の魔族が本当にいるかもしれないからね。オイラだって命を狙われてるんだ。いざとなったらお前等を盾にして逃げるんだよ」
「最低だな、お前」
「うん。お猿のピエロさん最低」
「「最低なピエロですなあ」」
「サルガタナスちゃん最低ね~」
「お前達まとめて煩いね! 魔族だから最低で良いんだよ!」
「あはは」
辛辣な俺達にサルガタナスがキレると、ベルが冷や汗を流して苦笑した。
するとそこで、フウラン姉妹が左右対称にサルガタナスに指をさして、「それより旦那~」と話しかける。
「「何しに酒場に行ってたんですかい?」」
確かに。と、サルガタナスに皆が注目すると、サルガタナスがそっぽを向いて答える。
「買い出しに町に来てたんだよ。それに、オイラだって昼間から飲みたい時があるんだよ。オイラは知っての通りの魔族だからね。あそこ以外の店に行けば、大騒ぎになって大変なんだ」
「……お前、意外とそこ等辺しっかり考えてんのな?」
「当たり前だろ。オイラはもうあいつ等とは縁を切ったんだ。生活していく上で、必要なら他種族のルールは守るんだよ。それより……」
サルガタナスがピュネちゃんに視線を向けて、ピュネちゃんと目を合わすと顔を青ざめさせる。
真っ白な化粧で青くなってるかなんて分からないが、多分なってる。
表情が完全にそんな感じだ。
「なんでお前等と龍族の……それもこの女が一緒にいるんだよ? こんな情報は、魔族で元幹部だったオイラだって聞いた事ないよ」
「あれ? お前ピュネちゃんのこと知ってんの?」
「そんなの当たりま――――っ!?」
瞬間――サルガタナスの首元を何かが通り過ぎて、サルガタナスの首元に一本の切り傷が現れる。
そして、そこから血が少量流れて、サルガタナスは体を震えあがらせた。
今、何が起きた?
あまりにも一瞬の出来事で、俺には何も見えなかった。
分かるのは、ピュネちゃんのいる方向から、何かが飛んできてサルガタナスの首が少しだけ斬られたと言う事だけ。
「あらあら。駄目ですよ~、サルガタナスちゃん。ちゃんと前を向いて歩かないと危ないですよ~」
「そ、そうだね。気をつけるよ……」
どうやら、サルガタナスは触れたら駄目な話題に触れようとしたらしい。
まあ、ピュネちゃんは五千年前の英雄と邪神の戦いの時から生きてるようだから、サルガタナスもピュネちゃんの存在を知ってるって事だろう。
それで、まだ俺達が知ってはならない事を、サルガタナスが言おうとしたのだ。
「お前等といる方が命が危険だね。オイラはここで別れさせてもらうよ」
「なんだよ? 俺達を盾にするんじゃなかったのか?」
「その前に殺されかねないからね。オイラは引く時は引くんだよ」
「それは何となく分かる。お前逃げ足は速いもんな」
「うるさいね! そのくらいが丁度良いんだよ!」
まあ、それには同意だ。
実際にそのおかげで、サルガタナスは生き延びてるわけだしな。
「お猿のピエロさん、もう行っちゃうの? サーカスのお話聞きたかったなぁ」
「嬉しい事を言ってくれるね。オイラに会いたくなったらサーカスに来ればいいよ。サービスで特等席で見せてあげるよ。そうすれば、話じゃなくて楽しいサーカスが見られるからね」
「本当? やったー♪」
「良かったね、みゆちゃん」
「うん!」
「じゃあ、もうオイラは行くよ。じゃあね」
「うん。お猿のピエロさん、またねー!」
サルガタナスが重力の魔法で宙に浮かんでこの場を去り、去り行くサルガタナスの背中に向かってみゆが大きく手を振った。
フロアタム奪還の時は色々とあったけど、これはこれで良かったなと思いながら、俺もサルガタナスを見送った。




