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鐘がために英雄はなる  作者: こんぐま
第2章 魂の帰路
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26話 地下迷路攻防戦 その4

※今回はナオ視点のお話です。



 ニャーと姉様は突然床が斬られて、いっぱい下に落っこちたのにゃ。

 そしたら、そこには、うさぎみたいな尻尾のライオンがいたにゃ。

 ついでに足は鳥っぽいにゃ。


「にゃー? マンティコアの子供にゃ?」


「グルルルル。馬鹿な猫め。俺があんな獣と同じに見えるとはな。俺はサルガタナス様に仕える魔従まじゅうマレファルだ!」


「魔従マレファル!? ナオ、上に戻る前に、ここでこの魔従を倒すわよ!」


「わかったにゃ!」


 ニャーと姉様は武器を構えたにゃ。

 すると、ライオンが不敵に笑ったにゃ。


「どうやら、俺の恐ろしさを理解出来ていない様だな? グルルルル。俺の牙と爪の餌食にしてく――っあいた!」


 ライオンが喋っている途中で、姉様のバレットウォーターがライオンの額に当たったにゃ。

 ライオンは器用に前足で額を押さえて、少し涙目にゃ。

 そして、ニャーは気づいたにゃ。


「姉様、この魔族アホにゃ。隙だらけにゃ」


「そのようね」


 姉様も同じ意見だにゃ。

 世の中にはこんな魔族もいるんにゃね~。


 と、ニャーは気を緩めてしまったにゃ。


「アホじゃねえし! もう許さないぞ!」


 そう言った次の瞬間だったにゃ。

 ライオンが一瞬でニャーの左横に移動して、ニャーは左腕をライオンに噛まれてしまったにゃ。


「――っ!?」


「ブレイドウォーター!」


 姉様が水の剣でライオンに斬りかかって、ライオンは避ける為にニャーから離れて距離をとったにゃ。


 ちょっと危なかったにゃ。

 あと少しでも姉様の攻撃が遅れていたら、今頃ニャーの左腕は食いちぎられていたにゃ。


「グルルルル。アホめ。隙だらけなのはお前だったな」


「ナオ、気を緩めすぎよ」


「にゃー。気をつけるにゃ」


 悔しいけど言い返せないにゃ。

 ライオンがアホだからって、魔族相手に気を抜いたらダメだったにゃ。


 ライオンのせいで調子が狂ってしまったけど、もう大丈夫にゃ。

 ニャーは魔爪まそうに炎を纏わせて、ライオンに向かって跳躍したにゃ。


「クロウズファイア! 斬り裂くにゃ!」


 ライオンに向かって右手の魔爪を振るうと、ライオンは爪で弾いてきたにゃ。

 でも、ニャーは直ぐに左手の魔爪で追撃したにゃ。

 そしたら、ライオンが後ろに下がって追撃を避けて、頭を低くして体当たりしてきたにゃ。


 ニャーは攻撃が空ぶった後に、直ぐに体当たりに備えたにゃ。

 でも、そんな必要は無かったにゃ。


「バレットウォーター」


 次の瞬間、姉様の水の銃弾がライオンの胴体に当たったにゃ。

 さっきの額に当たったのとは違って、詠唱ありの魔法だから威力は十分にゃ。

 ライオンは魔法が当たると、体当たりをしようとしていた勢いのまま転がって倒れたにゃ。


「くそっ。聞いた通りの実力はあるって事か」


 ライオンが転がった先で立ち上がって、ニャーと姉様を睨んだにゃ。


「なら、手加減は無しだ」


 ライオンの目つきが変わったにゃ。

 今までは全く殺気も感じられなかったけど、とんでもない殺気がライオンの全身から出てきたにゃ。


「ここからが本番のようね」


「にゃー。姉様は援護をよろしくにゃ」


「任せなさい」


 姉様が頷いてニャーが走り出すと、ライオンも同時に走り出したにゃ。


 さっきよりも全然早いにゃ!?


 ライオンの速度はさっきと全然違っていたにゃ。

 手加減無しなんて強がりだと思ったけど、本当だったにゃ。


 一瞬でニャーとライオンの距離は縮まって、ニャーの魔爪とライオンの爪がぶつかり合ったにゃ。

 そして次の瞬間には、姉様の水の銃弾がライオンの頭に当た――ってないにゃ。

 当たると思ったけど、少しだけ横にずれて避けたにゃ。


「――にゃ!?」


 このライオン滅茶苦茶にゃ。

 姉様の魔法を避けたと思ったら、凄い速さでニャーにお尻を向けて、直ぐに後ろ脚でニャーを蹴飛ばしたにゃ。

 しかも威力がとんでもなくて、ニャーは思いっきり壁に向かって吹っ飛ばされてしまったにゃ。


「バルーンウォーター」


 蹴り飛ばされたニャーに、姉様が咄嗟に魔法を使ってくれたおかげで、ニャーは壁にぶつかる時の衝撃が抑えられたにゃ。

 でも、とんでもない威力だったから、壁にぶつかる時に魔法が弾けてしまって、少しだけ痛かったにゃ。


「にゃー……。ちょっと痛いにゃ」


「ナオ! 行ったわよ!」


「――にゃ!」


 次の瞬間、目の前まで近づいて来ていたライオンが大きく口を開けて、ニャーの頭に噛みつこうとしてたにゃ。

 でも、姉様のおかげで、ニャーは直ぐに魔爪に炎を纏わせて反撃したにゃ。

 だけど、とんでもない事が起きてしまったにゃ。


「にゃー!? 噛み砕かれたにゃあああああ!?」


 ニャーが反撃の為に右手の魔爪をライオンに向けて振るったら、ライオンが魔爪を噛んで、その鋭い牙で噛み砕いてしまったのにゃ。

 左手の魔爪はまだ無事だったけど、流石にニャーも慌てて、急いでライオンから離れたにゃ。


 ライオンは魔爪をボリボリと口の中で噛み砕いて、ペッて吐き出したにゃ。


「不味い」


「不味い。じゃないにゃー! 魔爪を食べるなんて非常識にゃ!」


「やはり安物は駄目ね」


「姉様!? これ安物だったにゃ!?」


「仕方が無いでしょう? 旅はまだまだ続くのよ。儀式の後に城に一度も帰ってないのだから、所持しているお金も少ないのよ。貴女は武器を持たなくても十分強いのだから、食費などの生活必需品を優先するべきでしょう?」


「魔族に殺されたらそんなの関係無いにゃ!」


 まさかの姉様の意外な一面にニャーもびっくりだにゃ。

 言ってる事は分かるけど、魔族と戦うのに、そんな事を気にするなんて思わなかったにゃ。

 普段きっちりしていてニャーにも厳しいのに、変な所でボケボケにゃ。


「グルルルル。仲間割れか? やはり魚人は他種族とは相容れぬ存在みたいだな」


「ライオンは黙ってろにゃ!」


「ナオ、冷静になりなさい。魔爪ならフロアタムを取り戻した後に、良いのを買ってあげるから」


「にゃー! やったにゃー!」


 そうと決まれば、こんなライオンはさっさとやっつけるにゃ。

 魔爪を噛み砕かれて焦ったけど、所詮はライオン。

 マンティコアの猛毒針と比べたら、全然大した事ないにゃ。

 見た所、ライオンは魔法を全く使ってこないにゃ。

 それに能力スキルを使っている様にも見えないにゃ。


 それなら、一気に決めるにゃ。


 魔力を残った左手の魔爪に集中して、ニャーは全身を炎で包んだにゃ。

 それから身を低くして構えて、ライオンを目で捉えて、一気に全速力で駆けだしたにゃ。


 一瞬で近づいたニャーは、ライオンに向かって魔爪を振るうフリをしたにゃ。

 そのフリにライオンが引っ掛かって直ぐに前足の爪を振るってきたから、ニャーはそれを軽々と避けてやったにゃ。

 そして、その場で直ぐにライオンの真上に跳んで、ライオンの背中に手をかざしたのにゃ。


「ピラーファイア! 焼き尽くすにゃ!」


 瞬間――炎の柱が飛び出して、ライオンの背中だけに止まらず、ライオンの全身を覆ったにゃ。


「グオオオオオオオオオ!!」


 ライオンが悲鳴を上げて、ニャーは勝ったと確信したにゃ。

 でも、その時にゃ。


「ナオ! 後ろ!」


「にゃ――――っぁぐ……!」


 姉様の声が聞こえた次の瞬間に、ニャーは誰かに背中を殴打されたにゃ。

 しかもそれはとんでもない威力で、ニャーは気づいた時には吹っ飛ばされて壁に激突していたにゃ。

 壁に激突したニャーはその場で倒れてしまって、血を吐き出したにゃ。


「ナオ!」


 姉様の声がした方に視線を向けると、姉様が緑の服を着た魔族の男と交戦していたにゃ。

 ニャーは壁を支えにして立ち上がって、口元についた血を腕で拭ったにゃ。


 さっきまでいなかった魔族にゃ。

 いつの間にいたんだにゃ……?


 状況は良くないかもしれないにゃ。

 背中を攻撃されただけでも、ニャーを攻撃したのがとんでもなく強い相手だって直ぐに分かったにゃ。

 その証拠に、ニャーの背中の骨は多分折れてるにゃ。

 もしかしたら内臓も損傷してるかもしれないにゃ。

 そのせいで、酷く苦しい激痛で意識を失いそうにゃ。

 今ニャーが立っていられるのだって、壁を支えにしてるからってだけにゃ。

 さっきまで戦っていたライオンなんかとは全然次元の違う強さの魔族が、やって来たんだにゃ。


 ニャーは背中を攻撃した魔族に視線を向けたにゃ。

 視線を向けて目に映ったのは、変な格好をした魔族だったにゃ。

 顔に変な化粧をしていて、明るい服を着ているにゃ。

 でも、見た目が変な魔族からは、尻尾の毛がよだつ程のとんでもない量の魔力を感じたにゃ。

 この魔族は、どう考えてもネビロスと同じ格上の魔族だったにゃ。


「げげっ! やり過ぎちゃったよ! 死んでないから大丈夫だよね!?」


「サルガタナス様! マレファルは無事ですか!?」


「こんがり焼けてるけど死んではいないね。さっさとずらかるよ!」


「承知しました!」


 ……にゃ?


 何が起きているのか、全然分からないにゃ。

 姉様が戦っていた魔族と、変な格好の格上の魔族が、ライオンを抱えて凄い速さで逃げて行ったにゃ。


「な、なんだったのにゃ……?」


「さあ。分からないけれど、それより、背中を見せなさい」


 思わず呟くと、姉様が答えながら側に近づいて来て、壁にもたれていたニャーをクルリと回転させて背中を向けさせられたにゃ。

 もの凄い激痛を感じたけど、直ぐに姉様がニャーの背中に手を当てて回復を始めてくれて、その痛みも徐々に治まっていったにゃ。


「助かった……と、言わざるを得ないわね」


「さっきの変な魔族、滅茶苦茶強い魔力だったにゃ」


「そうね。こんな事は言いたくないけれど、見逃してくれなければ、私達はここで死んでいたわ」


「にゃー。でも、何で戦わずに逃げるみたいにどっかに行ったのにゃ?」


「分からないけれど、あの様子から考えると、そうしなければならない何かが向こうにあったと言う事でしょうね」


「にゃー」


 姉様にも分からないみたいにゃ。

 でも、そうしなければならない何かって、なんなのかにゃー?

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