闇の暴食帝 (改訂版)
和泉勇太郎
「こいつ、もしかして『鬼の暴食帝』か」
手塚が驚きを見せた後、震え出し、嫌な笑みを浮かべた。
治療中の為、ショウタは上半身裸の状態である。というよりユウキに脱がされている状態である。もっと言えば、川島が今も、意味もなく彼の体を指先で舐めるようになぞっている。川島の興奮するような吐息がうるさい。
「、、、うぅ。、、、あっ♡。なんか懐かしいような吐き気が、、、。震えが止まらない。。。」ショウタは寝言を発しながら顔を赤くしたり、真っ青にしたり。
「懐かしい。光景だな。」自分は無意識のうちに発した言葉だ。
「ここにあいつらも来ないのかな。」
ここに来て手塚はロクでもないことを考えていたことを自分は察した為、手塚を止める。
「お前、もしそれをやるのだったら、死ぬぞ。」
手塚に一冊の本を渡した。
「なんなんだこの薄汚い本は」
「神魔の書、第1章、下だ。この本の黒の付箋がついてるところを読んでみろ。」
手塚は、一度鼻で笑った後、読み始めた。
その内容はこのようなものである。
この世界は、魔術以外にも「異能力」がある。魔術は誰でも使えて、異能力は個々でもっている、いわゆる特殊能力。大罪者には「凶器」という武器、大罪者たる器がある。その凶器が奪われた時、命を引き取る。しかし、奪った相手がその罪を継ぐ時、一般人となる。が奪った相手が凶器を持ち、「新たな大罪者」が生まれる。しかし、その引き継いだ相手と同等、もしくはそれ以上の器を持たなければ凶器が奪った相手の命を奪う。凶器が。そして凶器は元からの大罪者の体の中に戻ってくる。奪おうとした相手は地獄へ引きずり込まれ、凶器の養分となる。
手塚は固まって口も開かない。
「鬼族が生をつなぐためには精神的にもかなり辛いものがあるというのは世間の常識だ。そして大罪者である彼はこれからどのように生きるのだろうか。」
さすがの手塚でもショウタのこれからの生き様には、心が痛むものがあるようだ。今は川島が生を繋いでいると言っても過言ではないのだ。
大罪者であり、鬼族。彼は、最強にもなれる逸材。しかし、なる為の条件はとても醜く、人でなしだ。。。