ツワモノのプライド
「第3戦、開始ー!」
ツクヨミは開始から、膨大な魔力を練っていた。敵大将、手塚も同様だ。
「もう良いだろうか、こちらから行くぞ。」
「良いですよ。私も準備できたので。」二人はとても冷静である。
「では、小手調べといこうかーーー。『風術援助魔法、カウンターアップ。』続けて、『風術、暴風の騒乱!』」
ツクヨミの周りには赤黒く、そして紫色に光る、雷を派生し、それを右目に全て入れた。右目は闇に浮かぶ白い月のようだ。
「特殊眼術、『夜月眼解放』!」
その試合を見ている翔太たちの度肝を抜いた瞬間だった。
「なあ翔太、あの子凄ない?」
「なんというか、怖いよ。」
「あんたもさっきの試合で『眼術』使ってただろ?素直になれば俺の不満はないのに。彼女は正直に自分と向き合っているんだよ。」
彼女はなんの罪も背負っていないのに何故、眼術を?ーーーー不思議だった。
「では砕きますよ、手塚さん。『ライトニングチェーン』!」
「眼術と覚醒魔法か、面白いな。『風術、風鳥の群衆』。」
だが、手塚の放った魔法は、Uターンして手塚本人にぶつかった。
「なんなんだ!これは!私の魔法が!」
「幻術、『夜月の舞踏』!」
その後も手塚は幻術を抜け出せることなく、プライドのあまり降参もせず、全てが手塚に集中して飛んでいく始末。
「そこまで、夜神の勝利!」
先生が大声で中断させた。
「今日の授業はここまで、解散だ。」
先生が校舎に戻っていった。それから間もなく。
「クソがァァァァァァァァ!!!」
手塚がオールバックだった髪の毛を手でぐちゃぐちゃにしながら発狂する。
「こんの、このクソアマがァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
その瞬間、手塚は先生が持っていた竹刀でツクヨミに殴りかかっていた。
「あっ、ツクヨミ!」
翔太は庇おうとしたが、間に合わなかった。ツクヨミは頭を強打され意識が朦朧としていた。
「ーーーーーおい、テメェ。」
「うるさい!うるさい!私が負けるなんて許されない。消してやる。そこを退け!」
手塚は興奮している。
「神、崎、くん、私は、大丈夫です、よ。」
「オマエ、コロス、ユルサナイ、俺は怒っている。食っちまいたい気分だよ。」
翔太の様子がおかしくなった。
「なんだ、僕に逆らうのかね!!」
手塚は焦り始める。やっと事の重大さに気づき始めたようだ。
「おい、翔太!よせ!落ち着くんだ!」
勇太郎の声など、届かない。
「オマエ、俺の大事な仲間に、何してやがるんだァァァァァァァァァァ!!」
地面が揺れる。それと同時に、翔太の頭から、赤紫色に光る二本の角が生え始めた。眼は充血し、黒目周りが赤く光っている。見るからに、恐ろしい。
彼は、鬼族である。