「精霊術者」
魔術の練習試合開始まであと3分。
この実技には強者が揃って戦う。来月に控えた王国魔法大会の出場者が戦うのである。大会ルールは団体戦でスリーマンセル。暗殺術などの相手が即死する可能性がある術の禁止。そして、勝ち抜きで3人全員をダウンさせた方の勝ちという簡単なルール。また、練習試合では術名を言わなくてはならない。
翔太はクラスで3人ペアを作れないため、勇太郎の推しによって強制的に登録させられたに他ならない。
「翔太、大将は手塚くんだ。風魔法系統だな。魔力が高いで有名だ。他はあまり有名ではないものの油断はするなよ。」勇太郎が相手の説明をする。
「そのようですね。というか彼は木属性の魔法も隠し持ってるみたいですよ。」
ツクヨミが補足する。ここで翔太と勇太郎は疑問を投げかける。
「なぁ、あんたなんでそんなことが分かるんだ?」
「さっき、感知魔法を放ったら引っかかりました。」
彼女は危ない。翔太は思った。もし自分のことがバレたら?そして今までに誰も感知できなかった、いや、元団員の川島でさえ感知できていないであろうものをなぜこんな短時間で?
(こいつ、なんなんだ?)
なるべく関わりたくない気がしてきた。
校舎裏にある、バトルフィールドで自分たちの試合が始まる。今回は全員戦うルールで、大将まで決めて勝ち星の多いチームの勝ちという練習試合。最初は和泉、次に神崎、大将ツクヨミだ。
「まぁ、最初は俺な訳だけど、すぐ終わらせるよ。」
「試合開始ー!」
先に魔法を放ったのは敵だった。
「木魔術、呪縛の根!」
勇太郎は1つ咳払いをしてから
「早まるなって、寿命縮まるっつーの。」と言って指をパチンと鳴らして、
「火精霊、イザナミ大魔法、業火の龍炎!」
相手の木の根を一瞬で焼き尽くした。
「殺してはいけないからね、もう火は使いたくないね。」
相手は怯えて口を開くことも出来ず。
「火精霊、イザナミの陣。永炎の牢獄!」
炎が相手を囲い、外に出ることすら出来ない高い、壁を作り上げた。
「、、、負けました。」
相手は降参した。
勇太郎が笑顔で戻ってくる。
「やったー。勝ったよー。、、、あれ、みんな?」
ツクヨミは口をパクパクさせて、唖然。翔太は頭を抱えてめをつぶって一言。
「大人気ない。」