ボッチのツクヨミさん
「 今日は魔術の実技か、、、」
神崎翔太は呟く。
「おい、団長ー!ペア組もうぜ!」
「嫌だ。」
即答だ。翔太ははっきりと言った。
「そうやって、放置されるの、嫌いじゃないゾ♡はぁ、、、♡」
ロクでもないことを口走る元団員、和泉勇太郎の姿がそこにあった。
「ただよ、団長。お前は、自分が許せないのかもしれないが、俺ら団員はいつも一緒にいろんなもの背負いあいたいんだぜ。それだけは忘れないでほしいよ。」
分かっている。分かっているのだ。しかし、、、
「俺はこの実習で魔法は使わない。やばくなったら、剣で応戦するぐらいにしとくよ。」
暗い気持ちで、少し誇らしい気持ちで答えた。
「やる気になってくれたか。」
「お前の出来によっちゃあ、戦わねぇよ。」
まぁ、成績が下がるのは嫌だし、、、
ここで翔太は疑問をぶつける。
「そういえば、この実技、3人組でやることになってるんだけど、、、あと1人はどうすんだ?」
「、、、。」
沈黙。
「他の団員らは最近学校来てねぇしなぁ、、、。ーーーーあ!あの子はどうだ?」
勇太郎の指をさした先には、人見知りのボッチで有名な、、、なんて言ったか、名前が思い出せない。紫色がかった腰の上ぐらいある髪に、スタイルも悪くないし、童顔の日本美人といった感じの可愛らしい女の子がオロオロしながら立っていた。何故、彼女がこれだけの見てくれを持っていながらボッチであるのかは学校の七不思議レベルで疑問を持たれている。
「誘ってくる。団長は待っててくれや。」
と言って勇太郎は深緑色の髪を整え、鋭いツリ目を光らせて走っていった。
自分もその動きにつられて黒髪を整えてしまう。
「あのー、余っていたら僕たちとペアになりませんか?」
彼女は目をキラキラさせながら
「ほ、ほほほほ本当ですか!!!。わ、私は夜神月詠と言います!!ど、どうぞ、これからもよろしくお願いします!!」
、、、あー、分かった。ツクヨミさん。この人めんどくさい感じの人だ。なるほどー。
「ねえねえ、夜神さん。夜神さんはS?M?」
翔太は今日だけで何回この友人に失望しただろう。
「もう3人組は作れたかー?一回戦の準備してくれー。」
先生の声が響いた。翔太は自分への意志固めの為にも月詠に忠告をした。
「俺は君と仲良くするつもりはないからね。ツクヨミさん。」
「えっ、、、えとえと、、、う、、うるっ、、、ふぇ、、、」
月詠が今にも泣きそうである。
((こいつ、めんどくせぇぇぇぇぇぇ))
勇太郎と翔太の思いは見事にシンクロした。