テクビちゃん(再掲版)
「うん……これでいいか」
そう呟くと、あたしはソファに沈み込んだ。
天井のシャンデリアの橙色の光が妙に眩しい。一人暮らしには不釣り合いなこの応接セットも、目の前のウイスキーとタンブラーも、最新のコンポも、もうあたしには何の意味もない。
すべてあの人と暮らすために揃えたのに……あたしはもう、疲れてしまった。
三十七歳。独身。処女。七つも年下の彼とほんの数ヶ月つきあえただけで舞い上がり、もう結婚できるつもりで色んなコトをしてしまった。
盛り上げた周りも悪い、と思う。
彼にそんな気がないことくらい、少し観察すれば分かっただろうに……。
無責任な友人どもが、浮かれまくっていたあたしを止めてくれていれば、あんな恥ずかしいマネはしなかった。
彼の誕生日。クリスマス。バレンタイン。
どれを思い出しても赤面するしかない、年にも顔にも似合わない乙女チック作戦。
だけど、それらはすべて空回り。それもそのはずだよね。あたしが浮かれている時、もう彼には若くて可愛い彼女が別にいたんだから。
人生に何の希望も持てなくなった今、あたしは死ぬしかない。
これだって彼へのせめてもの当てつけ。彼の名前を遺書に書いて……どこまでも根性が腐っている。こんな女だから振られるんだよね。
そうだ。
せめて、あたしの好きな曲を掛けながら死のう。
そう思ってコンポに近づいた時。ふと棚の上に目をやった。そこには、変な形の壺がある。リサイクルショップの店頭で適当に見繕ったインテリアに混ざっていた壺。
人間の顔みたいな気持ち悪い壺だけど、妙な愛嬌があるので飾っておいたんだった。
手首を切ると血が出るんだっけ。
どうせ死ぬんだから、後のコトなんてどうでもいいって思ってたけど……ボーナスはたいて買ったこの手織りの絨毯。汚しちゃうのは悪い。作った人に悪い……よね。
あたしは壺をソファの横に置いた。
うん。こうしておいて手首を切れば、血は壺に入る。
あとは好きなお酒飲んで。睡眠薬飲んで。好きな曲を聴いているうちに死ねるわけだ。
あたしは手に持った出刃包丁で、思いっきり左手首を切った。
「痛っったーーーーーー!!」
何コレ!? 痛すぎでしょ!!
血はぴゅーぴゅー噴き出るし!!
そりゃあ壺にも入ったけど、そんなもんじゃ収まらない。周り中血だらけ。
どうしようこれ。後で掃除が大変!!
『あんたバッカねー。先にお酒と薬飲まないと、そりゃ痛いわ』
そっかなるほど。あたしってバカ。
え? バカ?
何よあんた!? どっから出てきたの!? ……ってなんかもう意識がっ……
『起きな。起きなよ。もう血は止まってるはずだよ?』
う……眩しい。
ここはどこ? 天国?
『寝ぼけてんじゃないわよ。あんたが天国に行く理由がないでしょ。行くなら地獄よ』
「なんですってぇ!?」
怒りの声を発して飛び起きる。
見回すと、そこはたしかに天国でも地獄でもない、あたしの家だった。応接セットも橙色のシャンデリアも、最高級コンポも、すべて見覚えのあるモノばかり。
だが、見慣れないものがひとつだけ視界にある。いや、いる。
『そんだけ元気があれば、もう大丈夫ね』
「あんた何よ!? 何者よ!?」
それは、妙に色白の少女だった。
年の頃は十歳くらい。頭にはターバン、腰布に先の尖った靴とくれば、まるでアラブの王族のような出で立ちだが、薄布から覗く顔立ちは東洋風で、なんとなくちぐはぐだ。
そのくせ表情も言葉遣いも大人びていて、仕草に妙な色気がある。
『何者とはごあいさつね。あんたが呼んだから出てきたってのに』
「出てきた? 呼んだ? あたしが?」
『その壺に鮮血を捧げたでしょ? それが呪いなの。あたしは、あんたの願いを一つ叶えるまで、壺に帰れないのよ。さっさと願いを言って』
「待って。あんたが何者か聞いてるの。教えなさいよッ!!」
『それが願いね。簡単な願いで助かったわ』
「ハァ?」
『あたしの名はテ=クビ。あんた達の言葉で言う魔神よ。もともと神界にいたんだけど、ちょっといたずらが過ぎて、大神を怒らせちゃってね。この壺に封じられたの。人間の願いを一定数叶えないと、神界に戻れないってワケ。ドゥーユーアンダスタン?』
「魔神って……神様? 悪魔? 何でも出来るの?」
『願いは一つって言ったでしょー。でもまあ、初回大サービスで教えてあげる。エネルギー不変の法則と、質量保存の法則に逆らわない限りは、何でも出来るわ。じゃ、そゆことで』
少女は一方的に喋ると、壺の中に姿を消した。
消えたわけでも、煙になったわけでもなく、普通に壺の縁をまたいで入っていったのだ。
子供といえど入れるはずのない小さな壺。しかし、のぞき込んでみても逆さに振っても空っぽ。少女どころか埃一つ入っていない。
あたしは夢を見ていたんだろうか。
自殺するほどの精神状態だったんだから、そうなのかも知れない。
そうか、そうかも。だってその証拠に手首には傷跡一つ無い。手首を切ったなんていうのは幻覚だったんじゃ……そう思って周囲を見渡してあたしは絶句した。
床に転がる出刃包丁、壁、応接セット、コンポ、大切なギャッベもすべて血まみれ。無くなったのは傷だけで、あたしが手首を切った痕跡はしっかりと残っている。
「ちょっと待って。えーと……夢じゃないとすると、どういうことなの……」
あたしは混乱した頭で、必死で考えた。
まず、血痕がある以上あたしが手首を切ったのは事実らしい。
でも、手首には傷はない。
つまり何か超常現象が起こったってことよね。じゃあ、あの少女が魔神だって話も本当? ってコトになる。
なら……願い事がなんでも叶うなら、自殺なんかしなくてもいいじゃない。
そうだ。
それに、壺に血を捧げさえすればいいんなら、何も手首の動脈切らなくてもいいじゃないの。
あたしは指先を少しだけ切って、壺に血を数滴垂らした。
五秒……十秒……三十秒……一分……三分……十分!!
いくら待ってもあの、テクビと名乗った少女は現れない。
「これじゃ足りないのかしら……じゃあ……」
痛みを思い出すとゾッとしたが、どうせ治してもらえる。願いが叶うのなら、そのくらい我慢しよう。
なにしろ、人生をやり直すチャンスかも知れないのだ。
あたしは再び、ズバッと左手首に切れ込みを入れた。
シュワー!! と噴き出す血。
「いやああああ!! またギャッベが汚れるぅううう!!」
『また呼んでくれたの? ありがと』
「ちょちょちょちょっと!! コレ何とかしてよッ!!」
『血を止めるのね?』
「待った!! まさかそれで願い事一つとか言わないでしょうね!?」
あたしはまたも出血多量で朦朧としつつ、しっかりと確認した。
『あ……あったり前でしょお。い……一応、召還の傷を治すとこまでは契約行為の一部なんだから……』
そう言いつつも、魔神の少女・テクビちゃんの目は左右に泳いでいる。
『アラビン シビン キャップシールツキホゾンビン~』
彼女の手がヒラヒラと空を撫でると、あたしの傷は見る見る治っていった。
なんか胡散臭い呪文だったけど、この子の魔力は本物っぽい。
でも、そうかさっきの反応。これまでも、このテで願い事を叶える回数、手っ取り早く稼いでいたに違いない。だからリサイクルショップなんかにあったんだ。
なんか悪徳商法っぽいけど、このチャンス、逃してたまるか。
「……早速、願い事を言うわね」
『いいわよ。でもちょっと待って。この部屋、ひどくない?』
「こんなの、片付けらんないの? それに変じゃない? エネルギー不変とか質量保存の法則とか言ってたけど、あたしの血がこんなに飛び散ってて、何であたし平気なのよ?」
『それは、足りなくなった血はあんたの筋肉とかから作ったからよ。エネルギーはあんたの寿命』
「ハァ!? 聞いてないわよ!?」
『言ってないモン。じゃあ、ここを片付けるわね。アラビン シビン イッショウビン~』
「へえ。血が消えた。どこへやったの?」
『あんたの体ん中』
「う。何かイヤね。まあいいわ。あたしの願いはねえ……」
『あら。願い事はもう叶えたわよ。ここ綺麗にするんだったでしょ? じゃ、そゆことで』
テクビちゃんはまたも、ひょいっと壺の中へ消えた。
「あ……あのガキぃいいいい!!」
こんなことなら、変な会話に対応せずに、間髪入れず願い事言っときゃよかった。
あたしの願い? もちろん、彼氏とヨリを戻して結婚するのよ!!
「も……もう一度ッ!!」
シュワー!!
またも手首から噴き出る血。
さすがに三回目ともなると慣れてくる。切るたびに寿命が減るっぽいけど、そんなの構わない。どうせ死ぬ気だったんだし。
『あら。また呼んでくれたの? そんなに何回も切って、体大丈夫?』
「余計なお世話よ!! さぁあ、今度こそちゃんと願いを叶えて貰うわよ!! あたしを振った元彼と!! もう一度つきあえるようにして!!」
『そんなんでいいの? けど……あんた達、年の差すっごいあるわよねえ? また振られちゃうかもよ? それを縮めるのを先にしとかないの?』
むう。そっか。
もともと、あたしの方が七歳も年上だから、あのちっちゃくて可愛い系の泥棒猫に彼氏を奪われたんだった。
「そ……それいいわね……そんなこと出来んの?」
『もちろん。じゃあ、やるわね。アラビン シビン アジツケノリノビン~』
「?……あたし、全然若返った気、しないんだけど?」
『大丈夫よ。その代わり、元彼に七歳ぶん年とってもらったから』
「ハァアアア!? 何よソレ!? そんなん意味ないッ!!」
そもそも、あたしの年齢が問題なのだ。三十七歳のただのオバサンは、イケメンのハートを射止められなくても、三十七歳のイケメンは、若い女にそれなりの需要があるに違いない。
『じゃ、そゆことで』
またもテクビちゃんは姿を消した。
なんてこと。
こうなったら、完璧に理論武装して立ち向かうしかない。
あたしはメモ帳を取り出した。
まず、あたしの願いから整理しないとダメよね。
たしかにアイツの言う通り、今のまま彼とヨリを戻してもダメだ。彼があたしを愛してくれなかったら、また振られるだけ。
もし万が一、結婚できたとしても、結婚生活が冷めていたら意味がない。年がどうとかじゃなくて、あたしの容姿とセンスが問題なのよ。
そうか。年なんかどうでもいいんだ。誰もがうらやむ美貌にしてもらえば、万事解決じゃない。
それと頭。この回転不足の頭を少しは良くしてもらわなくちゃ。
収入も大事。質量保存の法則とかって言ってたから、何もないところに大金を出して貰うのは無理っぽい。今みたいに残業まみれの不法労働状態でなく、優雅に自分の才能を生かした仕事で余裕のある生活を送れるだけの収入が欲しい。
でも待って。そんな女になれるなら、元彼よりもっとランクの高い男だって狙えるんじゃない?
あたしはブツブツ言いながら、願い事を箇条書きにして、余計なものを削り、統合できる願いをまとめていく。一時間後、願い事は五つにまでしぼられた。
よし、あと五回。たったそれだけ手首を切れば、あたしは世界一幸せな女になれるっ。
「出てきなさい!! テクビちゃんっ!!」
シュビドゥワー!! 噴き出す血の音さえ、美しく聞こえるわ。
『今度は少し間が空いたわね』
「余計な会話をする気はないわ。まず、あたしに作家としての才能をちょうだい」
それは、自分勝手に、優雅に暮らすための第一条件。
『へええ。なんかずいぶん願いの傾向が変わったじゃない。まあいいわ。アラビン シビン マヨネーズビン~』
「相変わらず、何も変化無いように見えるけど……」
『ちゃんと才能は付いてるわよ。芥川賞級のね。あとは努力次第』
「へ? 努力?」
『当たり前じゃない。才能だけ持ってるヤツなんかゴマンといるわ。その才能を磨く時間と努力を費やして、数少ないチャンスをモノにして、周囲に認められて、初めて職業になりうるのよ。どんな職業でも同じじゃない?』
そりゃそうだけど……その辺を何とかしてくれるのが魔法なんじゃないのお?
『作家として売れたいなら、もう一回呼んでね。じゃ、そゆことで』
テクビちゃんは消えた。
あたしはがっくりと膝をつく。再び飛び散った血で、またギャッベは血まみれ。
だが、こんなコトでくじけていられるものか。
あたしはまた手首をバッサリやった。
三時間後。
ほとんどの願い事を叶え終わった時には、あたしは二十三回も手首を切っていた。
良すぎないスタイル。
周囲から浮かない程度の、そこそこのファッションセンス。
ほどほどの才能。しかし、食いっぱぐれない程度のチャンスはつかめる運勢。
実年齢より、三歳ほど若く見られる容姿。
死ぬまでは、とりあえず健康な体。
どれもかなりビミョーだが、エネルギー不変の法則と質量保存の法則に逆らわず、トラブルに巻き込まれたりせず安定した生活を得ようとすると、この辺に落ち着くしかなかったのだ。
っていうか、全然見た目変わった気がしねえ。
そうそう。とばっちりで老けさせちゃった元彼も元に戻して。そして…………
「さ……最後の願いよ。元彼とヨリを戻させて!!」
『やっぱそれ望むの? 仕方ないわねえ。えーと。アラビン シビン ミスタービ~ン!!』
「こ……これで。あの人と結婚できるのね……って何コレ。サボんないでよッ!! 今回、血ィ止まってないじゃんッ!?」
『アレ? 本当ね。どうしたのかしら??? アラビン シビン……』
『もうよい。テ=クビよ』
突然、壺の中から男の人の声が聞こえて、あたしはもちろん、テクビちゃんまで飛び上がった。
『ひ……ひええええ!? 大神様ッ!?』
『先程までの願いで、お前の叶えた人間の願いは、ちょうど四万回。晴れてお前を神界に復帰させよう……』
『大神様!! ほ……本当でございますかっ!? 』
テクビちゃんは、壺にひれ伏したまま顔を上げようとしない。
当たり前かも知れないが、クライアントであるはずのあたしに対する態度とはえらい違いだ。
『うむ。テ=クビ、上から見ておったが、何度も鮮血を捧げてくれたその人間にも、感謝せねばな』
そうよ。あたしは通算……ええと、二十七回も手首切ったんだから。
っていうか、この傷治してよ。あ、だめ……もう意識が…………
『……それなのじゃが、たぶん、その傷は治さん方が良い』
「ど……どうしてですか!? あたしが……たくさん願いを言いすぎたから? し……死ねってこと……?」
『そうではない。治さん方が、良い未来が来るということでな……ありゃ、もう意識がないのか』
大神様のその声は聞こえていたけれど、もう返事をする気力は残っていない。
あたしの意識は、そのまま闇の淵に飲まれていった。
目を覚ますと、そこは何もかも白い部屋だった。
あれ? あの世ってこんな場所だっけ?
なんか病院みたい……ってコレ、明らかに病院じゃん。もしかして、あたし助かったの?
そう思ってベッドの脇を見ると、腕組みして眠り込んでいる男が一人。
元彼の姿を期待したが、そうじゃない。見覚えのあるその姿は、学生時代からの腐れ縁の悪ガキ。
あたしを焚き付け、盛り上げた悪友の一人、っていうかその首謀者だ。
「なんで、あんたがそこにいるのよ?」
あたしの声に気付いた彼は、椅子の上で飛び上がった。
「うお!? お前。意識が戻ったのか?」
「戻っちゃ悪いの? どうせ死んじまえばよかったなんて思って……何泣いてんのよ?」
悪友の目からは、大粒の涙があとからあとからこぼれてくる。
「バカ野郎。電話に出ねえから心配して部屋に行ってみりゃ、返事がない。大家さんに言って鍵を開けてもらったら、一面血だらけじゃねえか。手間掛けさせやがって。お前が重傷でなけりゃ、ぶん殴ってるところだ。死のうなんて気を起こす前に、何で俺に相談しなかった?」
「あんたたちに相談なんか、出来るわけないじゃない。振られたから自殺するなんて、バカにされるに決まってるのに」
ふう……と彼はため息をついた。
「たしかにお前はバカだな。これだけ長いこと、お前を見ていた俺の気持ちにも気付かないんだからな」
何? 何? 何よ?
いったい何が言いたいの?
「なんで俺達が……いや、俺が、お前ら二人をあんなに盛り上げようとしたか分かってるのか?」
「心の中でバカにしてたんでしょ? いい年して舞い上がってるあたしを」
「違う。本気で幸せになって欲しかった。でも、必要以上に盛り上げちまったのは、悔しかったからだ。ずっと好きだったお前を、あんな若僧にさらわれたのが」
はあ。なるほど、そういうこと。
それなら説明つくわ…………って、ハァアアアアア!? 何ソレ!? 何言ってんのこの人?
ぽかんと口を開けたままのあたしを、悪友は優しい目で見つめている。二十年近くの付き合いになるけど、こんな表情、見たことない。
「そ……そうか。ドッキリだ。あんたらタチ悪いもんね。きっとその辺のカーテンの裏にヨッコやイガリンが隠れてるんだ。そうでしょ?」
悪友は哀しげな目で首を振った。
「おまえ意識不明だったんだぞ? ここは、集中治療室。余計な人間が冗談のために入れる場所じゃ、ない」
「い……いつから? な、なんでよ?」
「出会った日から。お前を思わなかった日はない。でも、気楽な友達関係だと信じ込んでいるお前に、そんなこと言えなかった」
「ご……ごめん」
「え!? 俺じゃダメか?」
「そ! そうじゃなくて!! あんたの気持ちに気付かなくて……ごめん。でも、今はホラ、こんな状態だしさ……」
「う……まあ、そうだな。退院してから……な」
「うん」
あたしは恥ずかしくなって毛布を被った。
そっか。治さない方がいい……ってこういうことか……
あの人とヨリは戻せなかったけど……いい女にもなり損なったけど……たぶん、これがテクビちゃんの魔法……
「明日、また来る。早く元気になれよ」
悪友の……ううん、たぶんあたしの新しい彼になる人の優しい声が聞こえる。
真っ赤になった顔を見られたくなくて、あたしは毛布を被ったまま何度も頷いた。
あの壺はたぶんもう、ただの壺になっちゃったんだろう。
だけど、あたしにとっては幸運の壺だ。ちゃんとしておかなくちゃ、バチが当たる。
見るからにアラブ系の魔神由来の品を、日本のお寺でも預かってもらえるのか考えながら、あたしは眠りに落ちていった。