攻撃
檻を開けたとたん“魔族”が俺達に向かって攻撃を開始した。
この魔族は“炎”の系統であるらしい。
今回は後ろの方に攻撃を受け流すのではなく、上空に少し離れた場所で噴出していくようにする。
結界への影響が少ない方が大切だからだ。
そしてシャロとユキナの援護により俺は、敵の目前へと転移して、一気に権を横に幾度となく薙ぐ。
脳天から一気に切り付けてもいいが、その場合地面の代わりに結界をぶった切ることになってしまう。
その危険性を避けるために倒していく。
一匹仕留めたら二匹目だ。
“魔族”の結晶をとりあえず回収し次の敵に向かう。
“魔族”は時間が経過するにつれて強くなっていくという。
だから少しでも早く倒さないといけないものであるそうだ。
ただ被害が大きい事もあるが、“魔族”に関する情報はこの世界ではあまりにも少ないものであるらしい。
しかも先ほどから閉じ込めたその内部で“魔族”が攻撃の魔法を使っている。
外には今の所でる様子はないが、そこで俺は奇妙なことに気付く。
“魔族”の攻撃は、“魔族”に効果がない様だ。
その攻撃としてのエネルギーが保存されているのか?
もしかしたならこの魔族はこの世界の構成物ではあるものの、自然発生的な“災厄”野ようんものなのかもしれない。
それを“魔族”や“魔王”としてよんでいるのか?
随分と“不安定”な世界だと思いながら俺は二匹目を倒す。
ユキナ達の援護でとりあえず今の所は上手くいっている。
「ユキナもシャロも俺に合わせてくれて助かる」
「そ、それはもう、妻ですから!」
「わ、私もシンイチローの事よく知っているし」
「? そ、そうか、ありがとう」
よく分からないが、照れ隠しのようなものがあるのかもしれない。
だから俺は頷いておいたがそこで、
「ご主人様~、真の相棒であるこの私にねぎらいの言葉はないのですか、よこすのです~」
「イクスにも助かってる。敵の攻撃を見てすぐに変形しているからな」
「ふふふふ、それでよいのです。そしてこのお礼は後でど……」
「さて、次の敵に向かうぞ。イクス」
「ご主人様ぁ~」
イクスが悲しそうな声を出しているが、この剣の精霊はいつだって見かけが可愛い女の子なだけの中身が“エロ親父”なので、放置するに限る。
そもそも今はそれどころではないのだ。
そしてさらに敵を倒していく頃には、結界の下からは人影が一つも見当たらなくなっていた。
さながら“魔王軍”ともいうべき“魔族”達の手下を倒した状態だ。
後は一番危険な相手をと思った所で異変に俺は気づいた。
人型のマネキンを捕らえていたはずの箱。
俺の能力では、その状態であったはずなのだが、その箱は光で色付けされて透過されている。
だからその中に何がいるのかが見える。
つまりいちばん危険だと思っていたそれの形が変化していたのだ。
ちゃぷちゃぷちゃぷ
粘性のある水が揺らされるようなそんな音がする。
俺の作り上げたあの箱の中にいる魔王であるマネキンが、黒々とした液体となって揺れている。
不気味なその黒い液体はただ静かに音を鳴らせ続けて、そして、金と耳障りな音がして、
「! まさか……やっぱり接合部か」
箱状にした空間転移の境目。
出ると戻るの境界はこの世界に一番“近い”。
だからこちら側に出るためにその“魔王”はその場所を狙い攻撃したようだった。
そして、俺の作り上げた箱からどろどろと零れだしてそのまま依然と同じように黒いマネキンを形作り……。
それは無意識だった。
気づけば俺は、俺達の全面に自身の能力“合わせ鏡”を使っていた。
それがおこったと気付いたのは、その攻撃をされたすぐ後だったのだった。




