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落ちても大丈夫な魔道具があるの

 頭の中で想像したのは、球だった。

 だが、それを思い浮かべると出入り口がイメージしにくい。

 だから6面体を想像する。


「あの“魔族”を箱に入れて、向かい合う面同士を出入り口につなげる。問題は面と面の接合部分である境界だが……そこはどうなるのか?」


 そこから幾らか魔法が漏れ出すかもしれない。

 だがそれでも、


「幾らか弱められればそれでいい。少しでもまずは被害を少なくしないと」


 そう俺は決めて、周りをぐるりと見まわして、それぞれに四角い箱を生じさせるようにする。

 水色の薄い光が現れて、それらが“魔族”達の周りを覆い隠していく。

 四角い箱状の物に、“魔族”の見ている範囲で見つけたものを覆った。


 町の上空に現れたのは好都合だった。

 そう俺は思いながら地上に降りる。

 そして下で待っていたシャロやユキナ、イクスに、


「一度宿に戻る。その前にシャロには城に連絡してもらった方がいいか? 姫だから話も直に王様に伝えられるだろう。この町の人達に避難の誘導等も頼めるだろう?」

「う、うん、分かった。繋げて欲しい」


 そして俺はとりあえず、その一度行った王の間につなげる。

 運よく、そこに王様がいた。

 そこでシャロは、


「父様、城下町に“魔族”が集団で現れました」

「! 何だと!」

「現在、シンイチローの力を使って閉じ込めている最中です。その間に避難の命令などを出して下さい!」

「わ、分かった」


 といった話が終わったのでとりあえず俺達はその接続を切り、代わりに宿に転移する。

 中にはミチルとサヨがいた。


「よう、どうだった? 服を選ぶのにつき合わされた感想は」

「それどころじゃない。ここの町上空に“魔族”の集団が現れた。とりあえず俺の能力で攻撃が箱の内部で転移して循環させる無限ループにした状態だ」

「……マジか」

「マジだ。とりあえず、シャロに頼んで王様からこれから避難の話が来ると思う。ミチル達の能力だと戦うのは……難しいから援護してほしい」

「分かった。確かに俺達の能力は戦闘向きじゃないからな……ミナ?」


 そこで、突然、ここの預かっている幼女がやって来た。

 何か特別な力がありそうだなと冗談で言ってはいたが、そこで外に出ようとする。と、


「危ないから出ちゃ駄目!」


 慌てたようにサヨが止めようとするが、ミナが、


「……今、すべきこと。ミナには役目がある」

「役目?」

「うん、ミナ、思い出した。何かあった時、ミナの手助け必要。妖精の女王に言われた。そのうちの一人」

「そうなの?」

「うん、ここの城も含めた一帯に、強力な結界は張れる。地面にもなる。だから戦いやすい」


 後の方の言葉は俺に対して告げた言葉のようだった。

 さらにミナは続ける。


「もう、この世界には、後が、あまりない。女神様も妖精の女王も、それを懸念している。だから今回はみんな頑張っている。そして……お願いしたいって」


 後がないから俺達を呼んだのだと告げられる。

 予想の範囲内なのでそれは何とかなったがそれよりも、


「結界の上にのれるのか?」

「うん、足場になる程度に強固」

「その上に乗りながら、あの“魔族”と戦闘か。だが結界は魔族との戦いで壊れたりは思想家?」

「攻撃によると思う」

「なるほど」


 となると地面に俺達が落ちかける危険もある。

 そう俺がそこで考えているとユキナが手を挙げて、


「あの、落ちても大丈夫な魔道具があるの」


 そう言ったのだった。


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