肉体が出来たようです
女の子の服を買いに行くイベントが発生した。
だがこのイベント、俺はこれまでに経験がない。
漫画や小説ゲームなどでは目撃したことのあるリア充イベントだが、これまでの経験はゼロだ。
これが“勇者”という特別な地位を与えられた“主人公”の定めなのか!
と、現実逃避してみたがどうしようかと思う。
ここで本音を言おう。
女の子の服なんてよく分からない。
一応見れば可愛いなとかそういったものは分かるが、どんな服がいいかともなると、よく分からない。
二次元であれば、ちょっとえっちな……ではなく露出度の多い……ではなく肌色……でもない、布面積の少なめの服を選んでも構わないが、ここはそう、目の前にクラスメイトやらなにやらの女の子ががががが。
そんな相手にそんな服なんて選べない。
普通の服と言われてもそんな普通っぽいものを俺は選べるのだろうか。
そこでミチルが、
「どうしたシンイチロー、女の子複数人と一緒に服を買いに行くとか、羨ましい限りだな」
「……女の子の服って、そこまで俺、三次元にこだわりがないんだがどうしよう。いいか悪いかも分からないし。大丈夫だろうか」
「あー、確かにサヨと一緒に服を探しに行ったことがあったが……服はあまり見ていなかったな」
「だったら誰を見ていたんだ」
「サヨを……あ、いや、なんかこう、嬉しそうなサヨも可愛いなと……」
「……」
俺はミチルの顔を無言で見てから、こいつらから話を聞いても仕方がないという結論に達した。
何しろ、両方が好感度マックス状態である。
恋愛で言うなら最終場面に近い。
寝取られ展開があるなら今後の話に大きな波がありそうだが、多分なさそうだ。
いや、あっても困るが。
状況が違いすぎて参考にならない。
俺は一体どうすれば、そう考えていた所で何やら機械音に様なものが鳴り、ユキナがその装置の周りにかけた布の中に入っていく。
「うんうん、いい感じ。イクスちゃんはどう?」
イクスの名前を呼ぶとイクスが俺の剣からにゅっと出てきて布を透き通り更に中に入っていく。それから、
「い、いい感じです、わぁ、私の顔を見事に再現していますね」
「気に入ってもらえて嬉しいよ。よし、後は髪を結ってリボンをつけよう。丁度かわいいのがあるんだ、何色が好き?」
「そうですね……赤かな」
「模様やデザインが違うものがあるから後で選ぼうね。まずは服を着よう。新しい下着も持ってきたから大丈夫よ」
といった話をしているのが聞こえる。
何か聞いてはいけないものを聞いているようなというかここに俺がいるのを忘れてないかあの人たち、という思いを抱えているとシャロもやってきて布の中に。
そしてイクスを見てだろう、
「わ、私よりスタイルがいい、特にこのお尻のラインとか」
「確かに綺麗に作ってくれています」
「これは服を着せ替えがえがあるわね。今日は、イクスには覚悟をしてもらおうかしら」
「そんなぁ~()」
といった声が聞こえてとても楽しそうではあるのだが。
「長くなりそうだな、服選びが」
俺があえて言わなかったその言葉を、ミチルが呟いたのだった。




