謎人形
どうにか魔族との戦闘を終わらした俺達。
落ちてきた結晶を回収して、俺はようやく大きく息を吐いた。
今更ながら手が震えてくる。
戦闘という物は慣れないなと思う。
それからユキナに、“魔族探知レーダー”を見てもらって、この周辺を確認してもらうと、
「0%だね。周辺にもそんなものがある様子はないね」
「そうか、今ので倒せたのか。よかった」
「そうだね。私もあんな気持ちの悪い物は初めて見たよ。あれが“魔族”でシンイチロー君が倒さないといけない敵なんだね」
「ああ、あれを全部倒さないと、元の世界に帰れないらしいしな」
「とりあえず一つづつ倒せていければいいね。でも皆、何処にいるんだろう」
ぽつりとつぶやいたユキナ。
クラスメイト全員でないと帰還できないのもあるが、心配なのは事実だ。
能力によってはサヨのように、癒しに近いようなもので戦闘に使えないものもあるかもしれない。
その場合最悪……。
「もし死亡していたらどうするんだ? 俺達のクラスメイト全員揃わないといけないんだよな」
「そうだね。どうしよう」
「……とりあえず無事を祈るしかないな。ゲームだったらセーブした所からって話になるのにな、はあ」
魔法はあるのにゲームのようには上手くいかないらしい。
その辺りは面倒というかなんというか……そこで俺は気づいた。
「シャロ、何をやっているんだ?」
「柵の中で壊れていないものを回収しておこうかと。今回の件で、“魔族”に対しての障害物になって動きを制限できることが分かったからな。この方法はまた使える」
どうやらあの柵をリサイクルする気らしい。
だが……ボキボキの粉々にされたあの柵の棒は、あまり本数がないはずだ。
しかも使った関係で故障している場合もあるかもしれないが、とりあえずはそれ以上は考えないようにした。
なんにせよ疲れた。
そこでふわふわと剣の精霊のイクスが現れて俺に、
「いや~、今回は大変そうでしたね。やっぱりご主人様一人が特に強いタイプだと、集団への攻撃が大変ですね」
「そうだな……でも、これから俺も魔法を覚えて行こうとおもう」
「……私を、私を捨てるんですかご主人様!」
「ええ、いや、そういうわけではなくて、集団になった時一体づつ削っただろう?」
「柵で分離してでしたね」
「そう、その柵に分離した状態で一斉攻撃を魔法でできないかなと」
「……その技を手に入れたら魔法を転送して、勝利してしまいそうです。私なんて用済みにされてしまいそうです」
「別に用済みじゃない。危険が減るんだから、イクスはイクスの生きたいように生きればいいのでは?」
「あの~ご主人様。私は剣の精霊なので戦う事でしか生きがいをあまり感じられないのですが」
どこかにありそうな人の生き血をすする呪われた魔剣のようにも聞こえるがそこでユキナが、
「そういえば精霊って実態があまりない感じなんだっけ」
「そうですよ。でも私は強い精霊なので人に触れたりもできるのです」
どことなくドヤ顔なイクスだがそこでユキナが、
「以前ある村によった時にその村であがめられた精霊さんがいたんだけれど、その精霊さんに、とりつきやすい人形のようなものを作ってあげたらすごく喜ばれたけれど、イクスちゃんにも作ってあげようか?」
「え?」
イクスがそこで不思議そうな声を上げたのだった。




