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“魔族”との二回戦

 現れたその強めの柵を手に取り俺は、ユキナに、


「これはどれくらいの間隔で起動する?」

「3メートルは確実だったと思う」

「分かった!」


 そう俺は告げてからすぐに広がりつつあったその小型“魔族”に俺は目を向ける。

 そして、頭の中で“イメージ”をして設定範囲と構造を思い浮かべてから、能力を使う。

 特殊能力“合わせ鏡(チェンジ)”!


 次の瞬間、黒い小型の“魔族”の頭上に、四角い水色の光の板が、綺麗に縦横に並ぶ。

 “魔族”の動きが止まった。

 好都合だ。


「“行け”」


 俺は先ほど作ってもらった柵を転送し、彼らの頭上にある場所から柵を投下する。

 縦横の線上に結界が張られて、1~3匹程度に“魔族”は分断される。

 その策に向かって初めはきょろきょろと首の部分を一回転させて様子を見ていた“魔族”だがすぐに体当たりや、魔法攻撃で柵を壊そうとする。


 それを見ながら俺は新たにこちらに放り込まれた柵を投下する。

 魔法攻撃では二枚くらいの結界は一度に破られてしまうようだが、三枚目からは一度の攻撃では壊されない。

 そしてこの黒い“魔族”は魔力も有限だろう。


 つまり理屈上ではこうやって柵を投入していくだけで倒せる。

 ただそれがどれくらい時間がかかるのかは別として、と条件が付くが。

 それも考えると、


「俺がとりあえずは柵を入れて、人数の制限をするから、一匹ずつシャロとユキナでこの“魔族”を倒して欲しい」

「「分かった!」」


 柵から逃げ出してくる方向を俺達の方に限定するようにして、柵を投入する。

 パズルゲームのようだ、そう思いながら俺は更に特殊能力チートを使う。

 シャロとユキナ、どちらもこの程度であるなら何とかなるようだった。


 戦いに参戦できないのは心苦しいが、今はこれができるのは俺しかいない。

 周りに“魔族”を散らばらせるわけにはいかないし、集団で襲われるわけには行かない。

 だから分断して少しずつ倒していくしかない。


 やがて“魔族”の半分以上倒した所で、小さい魔族が悲鳴のような声を上げた。

 同時に、柵が一気に消失する。


「共鳴による増幅を使って、柵を壊したみたい!」

「そんなことが出来るのか」


 悲鳴のようなシャロの声を聞きながら俺は、そこで目の前の残った小さな魔族が一つに集まっていくのを目にする。

 ミチルにはもう必要なさそうだと告げておき、“魔族”に目を移す。

 以前よりも小さな人型になっていくそれを見て俺は、


「小さな単体での攻撃では倒せないと踏んで一つに戻ったか。だが、逆に考えればそれぐらいまで相手が弱っている証拠だ。後は……イクス、一気に叩き伏せられる魔法系の属性で頼む」

「そうですね……氷系で行きますか」


 俺の問いかけに勇者の剣の精霊イクスが答えて、剣を変形させていく。

 青白い光を纏い、文様が浮かび上がる。

 魔力の威力を強くした分、本来であれば回数制限がなされるらしい。


 だが俺には巨大な魔力があるので深く考えなくてもいいだろうとの事だった。

 そして俺はその“魔族”の頭上近くに転移して、一気にその“魔族”が何かの魔法を使う前に攻撃する。

 小さな悲鳴のようなものが聞こえた。


 けれど、それだけだった。

 剣を振り下ろして地面に落ちた頃には黒い砂粒のようなって空気中に掻き消えていく。

 後には少し大きめの魔族を倒した時の結晶が転がった。

 

 こうして、“魔族”との戦い二回目は終了したのだった。

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