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未然に防がれたら記録も残らない

 “魔族探知レーダー”を作ってもらえないか。

 俺が提案したのはそれだった。

 魔物が探知できるのならば、魔族も探知できないかと思ったのだ。


 俺が呼ばれた役目は勇者であり、魔王を倒す必要があるらしい。

 見た瞬間本能的にこれは倒さないといけない、邪悪を通り越した何かだと感じたあの魔族。

 そしてそれが何処に現れるのか、を俺は知りたかったのだ。


 そうすれば効率的に魔族、魔王を倒して、クラスメイトの捜索に力を入れられる。

 だからもしそういったものが作れるのだったら、俺の戦いは楽になるのだが……。

 そこでユキナは困ったような顔をする。


「話は聞いた事があるけれど、“魔族”ってどんなものなのかな? “破壊の使途”等と呼ばれているのは知っているけれど、ちょっとイメージがわかない……魔族なら人間以外の魔力の探知になるけれど……。制限を幾つか入れないと余分なものも映ってしまうから何か制限を課せられないかな?」

「制限、制限ね……“魔族”じゃ駄目なのか?」

「“魔族”がどんなものなのかによるかな。あまりに曖昧すぎると、違うものが出来たりするみたいだから。一応は作れるんだけれどね」


 そうユキナは困ったように答える。

 曖昧すぎてもダメ。

 もう少し、“魔族”と呼べるような要因が何かあればいいのだろうか?


「シャロ、“魔族”らしい特徴って何かないか?」

「魔族は破壊の象徴である、危険な存在というくらいかな。勇者の剣のイクスはどう? あなたの方が長く関わっているでしょう?」

「でも私の場合は力でごり押しして倒している形ですからね。女神様が私を作ったとはいえ、そこまでの説明は聞いていません。ただ叩きのめしてぶっ潰すだけでしたから、あまり考えたことも無いし余裕もありませんでしたしね。むしろ今が余裕ありすぎな感じで逆に怖いです」


 イクスがそう答える。

 それくらいに本来なら“魔族”の脅威は切羽詰まったものであったらしいのだけれど、そうなってくるとと俺は思って、


「なんでこんなに余裕があるんだ? いつも大変なことになっているんだろう?」

「そういえばそうですね……でもそういえばいつもは異世界人、同時に何人もが主流だったような。その人達全員が勇者ではなくて、私たちの世界の人がご主人様の時もありましたしね……。今回呼び出されたのは、30人でしたっけ?」

「そうだな」

「多すぎますね。しかも、シンイチローは今まで私が出会ったご主人様の中で魔力が一番ありそうですし」

「そうなのか?」

「はい……呼び出せる人数がなんでこんなに変えたんでしょうね? 特殊能力チートもあった気もしますが、そういえば特殊能力チートは本人の才覚に依存するとかなんとか……だめです。昔すぎて思い出せません」


 話し出したイクスが呻く。

 そこでシャロがふと、呟いた。


「まさか、シンイチローのクラスメイトが実は陰ながら“魔族”を倒して回っているから被害が少ない、とか?」

「まさか……いや、あり得るのか?」

「初めてなのに、シンイチローはあそこまで被害を出さずに魔族を倒しているからな。同じようなことが出来る人物たちが何人もいれば……ありうるか? 事前に、未然に防がれたら記録も残らないだろうし」


 新たな可能性について、俺達は気づいたのだった。

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