遭遇した彼女
現れたクラスメイトは山根雪名。
髪の長い黒髪の美人である。
目立たないタイプだが、クラスでは一番の美人だと言われていた。
本人は、地味で普通と思っているようだったが。
物を作ったりするのが好きだと言っていて、編み物などの女の子らしい可愛いものから、鉱石ラジオの作成といったマニアックな物まで、幅広く色々と作るのが趣味であるらしい。
また、ゲーム等も大好きという……ややイロモノっぽい少女である。
そんな彼女は、どうやら俺がこの世界で出会った一番初めのクラスメイトであるらしい。
試しにいつくらいにこの世界に来たのか聞いてみた。
「私? 私は、10日くらいかな。特殊能力があったおかげでどうにかなったけれど、本当に大変だったよ」
「そうなのか。一人旅だものな。……食べ物のとかその布とかどうしたんだ?」
「貰ったの。山賊に襲われていた村の人を助けたりしたらお礼にって」
「そ、そうか……」
どちらかというとか弱そうに見えるが、山賊相手に立ち回りをしていたらしい。
ただ今までのユキナについて考えてみると、
「その特殊能力で山賊を倒したのか?」
「うん、“魔道式火炎放射器”で、消毒してきたの。あ、殺してないからね」
慌てたように付け加えるが、ユキナの思いっきりの良さに俺は言葉を失う。
何だか分からないが、この世界に来た俺のクラスメイトははっちゃけていないか?
もっと元の世界だったら大人しかっただろう?
そう俺が思っているとそこで俺の心のうちなど知らずに、ユキナが嬉しそうに、
「途中、フードファイターな“ニホンリョウリ”を扱うツワモノがいるって聞いて追いかけたんだけれどそこに私がついた時にはもういなくて……結局人がいそうな、都市に行った方がいいんじゃないかって、途中、魔物に馬車が襲われていた時に助けたお姫様に言われたの! ここに来れば望んだ相手に出会えるだろうって」
「そうなのか」
「……そういえばそちらの女の子は誰? 助けたお姫様に似ているけれど」
不思議そうに聞いてくるユキナ。
そういえばシャロの妹が巫女だか何だかで先読みか何かができそうだった気がする。
その子に会ったのだろうかと思いながら俺は、
「途中でどこかによったか? お姫様にあった後」
「うん、お店の商品が嫌がらせで壊れていたから、お手伝いしていたかな」
おそらくはそれの影響で遅れたのだろう。
そう俺が納得しているとそこでシャロが、
「もしやあなたがあったのは私の妹かもしれないわね」
「妹さん? 名前は確かレフィスとか。大人しくて繊細そうな子でした」
「妹ね。初めまして、私はシャルロッテ。皆からシャロと呼ばれているわ。妹を助けてくれてありがとう、礼を私からも言わせてもらうわ」
「い、いえ、当然のことをしたまでです。あ、あの、それよりも一つ聞いていいですか?」
「いいわ、何?」
そこでユキナがちらりと俺の方を見てから意を決したようにシャロに、
「シンイチロー君と一緒にいるようですが、その、シャルロッテ様はどうして一緒に居るのですか?」
「妻だからよ」
ユキナの問いかけに、シャロが即答したのだった。
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