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決闘を申し込まれました

 どうやら俺が不注意で目撃してしまったのは、王族の姫であったらしい。

 何というかこう、この展開はどこかで見たことがあるような気がするが、それが自分の身に降りかかってくるのはいただけないというか、ぜひよけてくださいレベルの展開である。

 しかも現在ナイフ? らしきものを突き付けられている状況だ。


 そこで俺をとらえている彼女の吐息が耳元に触れて、彼女が優しい口調で、


「もう一度言うわ、それで私の裸を見て、ただで済むと思っているの?」

「そ、それは、えっとあの、そ、そうだ。俺、呼ばれたんですよねこの世界に!」

「今の話ではそうなるわね」

「だ、だからですね、あまりこう、傷つけたりそういったものは良くないのではないかと思われます」


 そう俺は精一杯の抵抗を口にすると彼女はクスリと笑い、


「何を言っているの? 確かに本当に異世界から召喚された“勇者”様なら、殺せないわね」

「で、ですよね」

「でも、貴方がその異世界の“勇者”様だって証明できるの?」

「そ、それは……」


 そう言われてしまえば俺の答えはノーだ。

 異世界から来た証明、そんなものをどうやれと?

 服装なんて幾らでもごまかしがきくし、こうやって言葉で意思の疎通もできる。


 しかも同じ姿をしているあたり、『俺は異世界人だ!』なんて言っても、俺だったなら頭がおかしいんじゃないか? で終わりである。

 どうしよう、どうすればいいんだ?

 そう俺が思っているとそこで彼女が、


「そしてここに呼ばれる人物は魔力が呼ばれた中で一番強い人物のはず。戦うには魔力が高いのが、重要ではあるから」

「え、えっと魔力の測定などをしてみては」

「測定して少なかったら、処刑になるけれどいいかしら」


 さらっと彼女の口から、処刑という言葉が出てくる。

 ちょっと待て、と俺は思いながら、


「なんで女性の裸を見たから処刑何ですか!? その法律は絶対におかしい!」

「あら、おかしくないわよ。高貴な姫であるこの私の裸を見た異性。その異性は家族か将来夫となる男性しか許されないわ」

「え、そんな、時代錯誤な……」

「……どうして時代錯誤だって思うの?」

「俺の世界ではそれで処刑にはならない……と思う」


 そう答えた俺の回答は間違っていたのか?

 後ろにいる彼女は沈黙してしまう。

 次に口を開いた彼女が俺に、


「どうしてそう思ったの?」

「いや、俺の世界の法律だとそんな感じだから」

「なるほど。……ますます怪しいわね」


 どうやら今の答えは彼女に疑念を抱かせるものであったらしい。

 だが、どうにかして彼女を納得させないと俺は、この世界でいきなり処刑である。

 何とかしなければ、そう俺が焦っていると、彼女が……嗤った。


「そうね、“決闘”を申し込むわ。それであなたの実力もわかるしね。勇者なら私くらい倒せて当然だわ」

「で、でも」

「そして、倒せたら無事貴方は私を娶る事が出来て、そして負けたなら……私の裸を見た罪で、処刑よ」

「そんな!」

「それとも処刑の代わりに奴隷にしてあげてもよくてよ? たっぷり可愛がってやるわ」


 そう彼女が言う。

 この人もしかして、ドSな女王様なんじゃ、という疑惑が俺の中に浮かぶけれど、断れる権利が俺にはなかったのだった。

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