明日の市で、何を売る
こうして俺のある種の疑惑は晴れたのはいいとして。
その日は次の日の市に何を出すかという話になった。
日本に関係するもので、手軽そうな“ニホンリョウリ”が良いのでは、といった話を俺はしてみた。
そうすれば、クラスメイトも見つけやすいのでは、と俺は考えたのだがそこでミチルは首を振り、
「いや、“ニホンリョウリ”は難しい。“ショウユ”は伝説の調味料なのが痛い。出汁に関してはこの世界の魚を代用して何とかできるが、“ショウユ”と“味噌”といったものは、超高級品だから手に入らない」
「そうだったのか。でも何で高級品なんだ?」
「作り方が隠されているのか、それともこの世界に来たクラスメイトの誰かが、それを作り出す特殊能力があって、それで量産しているから貴重品なのか」
「……その“ショウユ”なんかの販売ルートから、クラスメイトを特定できないか?」
「それが色々な場所に突如現れて販売されているから、結局、分からないんだよな。俺達もぎりぎり遭遇できなかったのも二回あったし」
「そうなのか……」
「そういえば“ニホンリョウリ”を作っている人物達は追われているとかなんとか」
「らしいな、悪の美食会との戦いがあるらしい。新たな物語があちらでは始まっていそうだが、まあ、それを探すのは無理そうだし調味料も手に入らないから、難しいだろうな。他の“ニホンリョウリ”だと印象が薄いから気づいてもらえないかもしれないし」
確かに醤油、味噌のイメージが和食の場合は強い。
他だと気付きにくいかもしれない。だが、
「ミチルの能力で醤油は作れないのか?」
「俺は食品関係はどうも無理みたいなんだ。それ以外の武器やら机やらは、大丈夫みたいだが。あ、食品系の薬も駄目みたいだ」
との事だった。
つまり物を量産する能力はミチルにあるが、それ以外は無理であるらしい。
そうなってくると、
「食品以外の日本、ってことになるか。そうなると“キモノ”とか?」
「あとは“キモノ”を改造してフリルを付けた、漫画なんかで見るあの服だな」
「なるほど。それらを、サヨやシャロ達に着る貰うのはどうだ?」
やはり着物は女の子が着る方が華やかだと思うのだ、というわけで聞いてみたのだが、ミチルが、
「サヨの着物姿か……いいな」
「……ミチル。サヨが今外に出ているからって、口から出ているぞ」
「は! い、今のは聞かなかったことにしてくれ」
「分かった。じゃあ着物を……俺達も着るか?」
「そうだな、そうしよう」
「そして着物の販売をすると。でも着方は分かるか? 俺、着たことがないぞ?」
「……あの独特の柄で、きっと感づいてくれるはず!」
どうやらミチルは知らなかったらしい。
ここしばらく日本では着物をあまり気なくなっているので仕方がないと言えば仕方がないのだが。
そして、サヨはき方を知っていたのだけれど、
「浴衣の方が、着やすいんじゃないかな?」
といった提案になり、俺達は明日の市で浴衣と、サヨの提案で髪飾りや和柄の財布といった小物を販売することとなったのだった。
評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。




