戻ってきたのだが
帰ってきたミチル達の手には、沢山の野菜や小麦粉などがあった。
ミチルは俺達に気づくと、
「やあ、帰ってきたのか。どうだった?」
「魔族、というものに遭遇した」
そう俺が答えると、ミチルはおろか、サヨまで沈黙してしまう。
しかもぎょっとしたような顔でここの料理人もシャロの存在に怯える事なく顔を出していた。
どうしたんだと思っているとそこでミチルが、
「倒したのか? シンイチロー」
「それはまあ、出来たてでもあったらしいし」
「俺の時も運良く、サヨと一緒にいた時にできたての魔族と遭遇してな。能力“小さな世界”で以前に見た大量の魔剣を量産して攻撃したりしてな。大変だった。しかも俺が作り上げられるものは平均的で付加効果なんてあまりなかったりだしな。あの時は大変だったな、サヨ」
そこでミチルがサヨに話を振ると、サヨは頷いて、
「私の能力は物体の修理にしか使えないから戦うのには向いていなくて……このまま死んじゃうのかな、と思ったけれど、私の前に出て戦うミチルが、『諦めるな!』って言ってくれて……どうにか勝てた時はホッとしたよ。あの時のミチルはすっごく格好良かったんだ~……っ、い、今のはなしで。ミチルも!」
「あ、ああ」
といったように顔を赤くしながら、反対方向を向く二人。
こんな時、どんな顔をすればいいのだろうか……そう思いつつ、さりげにリア充となっている彼らに俺は……俺は……。
などと考えているとそこでミチルが、
「そ、そうだ。やはり勇者と呼ばれるだけあって、魔族なんか簡単に倒せたのか?」
「簡単ではなかったな。俺自身の特殊能力を使ったりしつつ、拳で攻撃といった形だった。改良点はまだまだありそうだった」
「なるほど。それにシンイチローは変な所で能力が高いからな、うってつけかもしれない」
「変な所ってなんだ」
「雑用部の武勇伝は皆知っているんだぞ、ということで、そうだな……」
武勇伝て何の話だ、俺は知らないぞと思っているとミチルが、
「魔族の戦いでは、色々と入用のものがあるだろう。もし何か必要になったら遠慮なく言ってくれ、すぐに生成して、その転移能力を通して送るから」
「それは便利だな……となると転送範囲に色付けする魔法について、考えないといけないな。似たような場所の場合、別の空間に繋がっているのか見えなくなると困るし、この範囲がつながっていますよというのが見えたらなと思ったんだ」
「なるほど、だが俺達は専門外だな。この世界の人に聞くしか無いな」
「この世界の人、か」
そう呟き俺はシャロを見た。
シャロは嬉しそうに、
「その空間に色付けする魔法について、お手伝いする?」
「そうしてもらえると助かる」
「わかったわ、早速……と言いたいけれどその前に、ギルドにいかないと。先に用事を済ませてからのほうが魔法の方に時間を割けるんじゃないのかしら。慌てて時間ギリギリに行くのもよくないし」
「確かに、じゃあ先にギルドに行こうか」
といった話になり、俺達はギルドにむかったのだった。




