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杖の魔法(可愛い)

 こうして俺達は、“マゼ森”に瞬時に辿り着いた。

 しかも人気のない場所である。

 意識することで大まかな広い範囲の中から、ある程度“自動的”に人のいない場所といった条件の場所に繋がるようだ。


 だが、そこまで何度もこの魔法を使った事があるわけではないので、今後ゆっくり様子を見ていこうと思った。

 それからシャロとともに目的の魔物がいる場所を探す。

 その間に依頼内容を確認する。


「討伐個体数が、50体ほどか。結構多いな」

「でもそれほど強い魔物ではないしね。ゴブリンよりも弱いけれど、不意打ちも危険……というのもあるけれど、一番は作物への影響かな。魔物の影響で特に大変なのが作物なのよね」

「……それは普通の害獣退治と何が違うんだ?」

「弱いけれど魔物は魔法を使うのよ。その分危険度が段違いに上がる」

「それが50体か」


 数が少し多いなと俺が考えているとそこでシャロが、


「でも今回倒す“ゾウライオン”は、群れで行動するから、その群れさえ見つけてしまえば魔法で一網打尽に出来るの」

「なるほど……という事はシャロの魔法を使う光景が見れると」

「そうなるわね……杖を使った魔法がいいんだっけ」

「はい!」

「よし、折り畳み式の杖があったからそれを使って今日は、私の魔法の実力を見せたげるわ! 杖を使った魔法の使い方も、“私が”シンイチローに教えるわね!」

「はい! シャロ師匠!」


 なんとなくシャロが、私が、の部分を強調していたような気がしたが、魔法を教えて貰えるならそれでいいかと俺は思う。

 そして取り出されたのはご右隻のようなものが幾つもついた杖だ。

 美少女のシャロがそれを持っているのを見ると、ゲームの世界みたいだ、さすが異世界と思った。


「な、なんだか嬉しそうね」

「はい、可愛いですから!」

「か、可愛い……そうなんだ……」


 そう俺が言うと、シャロは嬉しそうだ。

 そして笑顔の女の子はやはり可愛いなと思いつつ、魔物を探しに向かったのだった。








「“火炎球の連鎖”」


 シャロが魔法を使い一網打尽にする。

 魔物が一瞬にして倒される光景は、画面越しに見るゲームとは違い迫力がある。

 今の攻撃で50匹以上は倒されている。


 シャロの言う通り集団行動をしていてその個体数が多すぎて俺はどうしようかと思ったが、結果は、シャロの圧倒的勝利だった。

 これがこの世界の現実であり、魔法なんだと思って俺は見ていた。

 そこでシャロが俺に振り替えり、


「どう?」

「良かったです」

「そ、そう……じゃなくて見ていたんだから、魔法、使い方が分かったわね。試してみなさいよ」

「でも俺は、杖を持っていないぞ?」


 そうシャロに返すとシャロが少し黙ってから、


「この杖を使う?」

「このかわいい杖を? いや、それはちょっと。俺も男だし」

「練習ぐらいならいいんじゃない? これでも」


 そう言われてしまった俺は凍り付いた。

 この高校生にもなって小学生幼女が振っていたりしても違和感のない杖を振らねばならないのだそうだ。

 今更ながらに俺は、杖の魔法を選択したのを後悔しているとそこで、何か音がした。


 ぱち、ぱちと断続的な音。

 次に聞こえたのは敗れるような音。

 引き裂かれるような鼓膜が破けるような奇妙な音。


 そして、俺達の前に“それ”は現れたのだった。


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