表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Greifen 【グライフェン】   作者: Purcell
《カード・ロワイアル編》
5/16

CR05 『兎、宇佐見、兎、戦局は転ぶ』

(速攻で決める…!!)


「Lv.1『角兎(つのうさぎ) ルルー』とLv.3『這う影(ノムー)』を召喚(プレイ)!」


 俺は4枚あるリソースを全て支払って、手札から2体のモンスターを召喚(プレイ)した。

 さっきのターンに逆召喚(リプレイ)した『山兎 ルルー』を含めて、俺の場に3体のモンスターが並び立つ。

 【Greifen(グライフェン)】では場に同時に3体までしかカードを出すことが出来ないので、後攻1ターン目にして俺は最大攻撃(フルパン)の準備を整えたことになる。


「バトルフェイズだ。『這う影(ノムー)』で相手の『魔獣(まじゅう)ラスト』に攻撃(アタック)!」


 俺のフィールドを這って漂う黒い影が、相手フィールドのぬいぐるみのような獣にゆっくりと近づいてまとわりつく。獣は必死に暴れまわるが、実態のない影を掴むことは出来ない。



 【Greifen(グライフェン)】のカードには数値としてのステータスが3つある。


 一つ目は【レベル】だ。【レベル】とは召喚(プレイ)の際に必要になるコストの枚数で、強いカードだとレベル4のカードまで存在する。

 ちなみに『クイーン』や『キング』以外の『ルルー』は全てレベル1のカードである。つまり、『ルルー』デッキでは少ないコストで多くのモンスターを並べられるのが最大の武器ということになる。


 二つ目は【打点(だてん)】だ。【打点】とは相手の山札にアタックした時に与えるダメージ、つまり相手の山札を削れる枚数だ。レベル4のモンスターは基本的に4の【打点】を持っている。


 最後に【ライフ】である。【ライフ】はその名の通りモンスターの耐久度であり、アタックを受けたり効果を受けることによって減る。これはターンエンド時に元の数値に戻るが、0を下回るとモンスターは破壊されドロップに置かれる。



 今は俺の『這う影(ノムー)』がカズヤの『魔獣ラスト』を攻撃(アタック)したので、『魔獣ラスト』のライフである【4】から『這う影(ノムー)』の打点とレベルの合計(パワー)である【3+3=6】が引かれて『魔獣ラスト』が破壊された。


 相手の山札ではなくモンスターに攻撃(アタック)する時は打点(パワー)にレベル分の数値が加算されるので注意が必要だ。


「やってくれるねぇ!僕のモンスターを破壊して、さらに追撃かい!」


「あいにく時間(デッキ)が足りないもんでね。2体の『ルルー』で山札を攻撃(アタック)!」


 『ルルー』はどちらも打点(パワー)2のモンスターだ。

 カズヤは山札の上から2枚を確認しどちらもカウントに置き、次の2枚を確認すると片方だけセットに置いた。3枚の【カウント】が溜まったことになる。


【カズヤ LP(デッキ) 35→31】


「僕の最強デッキの力をそろそろ見せてあげるとしようか!」


(たまっているカウントは3枚。と言うことはレベル3のあのカードか……。)


 横でこの勝負を観戦している宇佐見(うさみ)も不穏な空気を感じたのか少し表情が強張っている。


「僕は3枚のカウントをコストにして『ルルー・クイーン』を逆召喚(リプレイ)!!」


 フィールド上に真っ赤なマントを纏って銀の首輪を付けた兎の女王が表れる。

俺としてはかなり嫌な逆召喚(リプレイ)だ。


「俺はこれでターンエンド」


△ ツバサ LP(デッキ) 28 △

  『這う影(ノムー)』 『山兎 ルルー』 『角兎 ルルー』

▽ カズヤ LP(デッキ) 31 ▽

  『ルルー・クイーン』


「僕のターンだ! チャージの後、1ドロー・1リチャージだ」


【カズヤ LP(デッキ) 31→30】


カズヤはついにドローをした。【Greifen(グライフェン)】ではドローが間接的なダメージになるのでありがたい。


「僕は手札からレベル4呪文(スペル)の『五色の(カラフル)ルルー・ダンス』を詠唱(プレイ)する」


呪文(スペル)】はカードの一種で、モンスターと違って効果を発揮した後に場に残らずにそのままドロップに置かれる。場に残らない分、強力な効果を持つものが多いのが特徴だ。


「『五色のルルー・ダンス』の効果、ドロップから同名のレベル1モンスターを4体までコストを支払わずに召喚(プレイ)する!」


「今リチャージしたのはそのためか」


「そうさ!リソースからドロップに置かれたのを含めてドロップの『川兎 ルルー』は3枚。これを全て復活させる!」


 カズヤのフィールドに3枚の兎が出現する。

 場におけるカードの上限枚数である3枚を越えて召喚されたモンスターは代わりにベースエリアに置かれるが、ベースエリアのモンスターは相手のモンスターにしかアタック出来ない。


「この瞬間、『ルルー・クイーン』の効果発動!自分の『ルルー』が召喚(プレイ)された時に1ターンに1度だけ、ドロップのカードを1枚デッキに戻してから1ドローする。僕はこれで手札を増やすよ!」


 これが『女王(クイーン)』の能力だ。たった1枚のドローだがその前にドロップを1枚戻すため、山札(LP)を消費せずにドローすることが出来る。

 3枚以下の差で勝敗が入れ替わることも多い【Greifen(グライフェン)】では、この1枚のアドバンテージが恐ろしく大きい。


(しかも、これはLP(デッキ)差5枚のハンデ戦……厳しいな)


「まだ終わりじゃない!僕は手札からもう1枚呪文(スペル)詠唱(プレイ)する!レベル0(・・・・)、『五色の(カラフル)ルルー・パンチ』!!」


 カズヤが手札からカードをプレイすると、フィールド上の兎一体が青い光に包まれる。


「このターン僕の『ルルー』1体は相手の山札をアタック出来ない代わりにレベルと打点(パワー)が2倍になる!」


(出やがったか。『ルルー』デッキ専用の疑似除去スペル。)


五色の(カラフル)ルルー・パンチ』は山札にアタック出来なくなること以外に弱点らしい弱点がない。『ダンス』と並んで『ルルー』デッキを支える強力な呪文(スペル)だ。


「このルルーで君の『這う影(ノムー)』に攻撃(アタック)し破壊する!続いて『ルルー・クイーン』で君の『山兎 ルルー』も破壊だ!」


 俺のモンスターが2体破壊される。これで相手のモンスター4体に対して俺の場には『角兎 ルルー』だけだ。


「そして『ルルー』2体でプレイヤーの君に攻撃(アタック)だ!」


【ツバサ LP(デッキ) 28→24】


 俺は合計で4ダメージを受ける。これでカズヤとの山札(LP)差は6枚だ。受けたダメージを確認して1枚をセットエリアに置く。


逆召喚(リプレイ)、レベル3『藁人形シルフィド』」


「ずいぶん寂しいフィールドだね。ターンエンドだ!」


 ここまで常に優勢でゲームを進めてきているカズヤは笑いながら宣言した。


△ カズヤ LP(デッキ) 30 △

  『ルルー・クイーン』 『川兎 ルルー』×3

▽ ツバサ LP(デッキ) 24 ▽

  『角兎 ルルー』


(ルルーの展開力が想像以上だな。このままだと押し切られる。)


 相手の場に並んでいる『ルルー』の軍団、これを破壊するべきか普通ならば悩むところだが、俺の選択肢は決まっていた。

 たしかに『ルルー』を倒せば一時的に受けるダメージは減らせるかも知れない。だが、それは死なないための選択肢であって生きるための選択肢ではない。


 【Greifen(グライフェン)】での強さとは、どれだけ自分自身(みらい)をカードに預けられるかだと俺は思っている。俺はこのターンは相手の山札を削ることに専念すると決めていた。


(次の俺のターンが来るまで耐えてくれ……!)


「俺はチャージ、このターンもドロー・リチャージ無しだ」


 俺は自分の手札のカードを1枚場に置く。【Flugel(フリューゲル)】の登場にはまだ早い。


「俺はレベル3『超過爆殺(オーバーキル)サラム』を召喚(プレイ)し、効果発動!相手の『ルルー』を1体破壊し、さらに3ダメージを与える!」


 相手フィールドの水色の兎が炎に包まれて灰になる。

 たしかに綺麗だが目を輝かせるのをやめてくれ、宇佐見。


 『超過爆殺(オーバーキル)サラム』はモンスター破壊とダメージを同時に行う効果が強力だが、破壊された時に自分も山札を3枚失うクセの強いカードだ。

 そして灰になったのを見て悲しそうな顔するのもやめてくれ、宇佐見。



【カズヤ LP(デッキ) 30→27】


「僕はこのダメージで『白兎 ルルー』を逆召喚(リプレイ)する」


「俺は場の『ルルー』『シルフィド』『サラム』の3体でアタック!」


 ダメージを与えたことでカズヤのフィールドにまた新たな『ルルー』が現れる。もともと相手の『ルルー』を減らすことが目的ではなかったので、俺は気にせず総攻撃を仕掛ける。3体の打点はそれぞれ2なので合計で6ダメージだ。

 あと宇佐見は兎の再登場で少し喜ぶのをやめてくれ。


【カズヤ LP(デッキ) 27→21】


 俺のデッキ枚数(LP)が24なので初めてカズヤのデッキ枚数(LP)が俺を下回ったが、その代償は大きかった。


「セットからレベル4『ルルー・キング』を逆召喚(リプレイ)!!」


 レベル4

 打点4

 ライフ8


  巨大な兎に黄金の冠と真紅のマント。

  相手のフィールドに『(キング)』と『女王(クイーン)』が3匹の兎を従えて並び立つ。



 決着はもう近くまで来ていた。








■所持カード[ツバサ]■

枚数:35枚(うち20枚は茜のカード)


○???【Flugel(フリューゲル)

○『終世の重機(モトール)

○『半直の鬼(ナ ハンド)フォルン』

○『ルルー・キング』

○『ルルー・クイーン』

○『山兎 ルルー』

○『角兎 ルルー』

○『超過爆殺(オーバーキル)サラム』

○『這う影(ノムー)

○『藁人形シルフィド』




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ