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「あーっ、美味しかった!」
お昼のサンドイッチを食べ終え、両手を上げてうーん、と伸びをする。
そのまま、ぱたん、と後ろに倒れる。このまま寝ちゃいたい・・・
「こらー、寝ちゃダメだよー?」
マーリンがゆさゆさと揺さぶってくる。
「だいじょーぶー、眼ぇつぶってるだけー」
「いや、絶対ぇーあっちの世界に片足突っ込んでるだろ」
マフィが確信したように言う。
「ちゃんと帰ってくるから平気ー」
「ちょっ!まさかの肯定!マジで寝るなよ!」
「お腹いっぱいで動けないー」
「お前の底なしの胃袋がいっぱいになるか!あんだけ食べて腹八分目とかどんだけだ!」
「睡眠不足は狩りの敵ー」
「さっきもう狩らないって言っただろ?つか、昨日夕飯食べてる最中に寝ただろ!」
「食休みは重要だよー」
「食ってすぐ寝ると太るぞ?」
むくり。起き上がると同時に左足で蹴りを放つ。
「うおっ!?」
殺気を感じたのか腕でガードされ、勢いを殺すように地面に倒れ、更に転がって距離を取られる。
「ちっ、逃したか」
さすがに戦士だけある。ガードされると破れない。
「い、今!殺る気だったろ!」
地面に膝をついてこちらを向いて起き上がっている。身体能力高いな。
若干青褪め、涙目だ。
「マフィく~ん?食後の戦闘訓練がしたいなんて、いい心がけだわぁ~?とことんお付き合いするからねぇ~?」
にこにこ、にっこり。
「眼、眼がマジ!マジすぎるから!怖いからヤメテ!」
「問答無用」
そのまま仕掛けようとした所で
「ねー、どうせならスライム相手にすればいいのにー?」
マーリンののんびりした声が掛かる。
「そうしたら、核も貯まるしー?」
ほにゃ、っとした笑顔で言われたら、やらない訳には!
「よし!森に戻ってスライム狩りだ!」
「おー!」
「そ、そうだよな!訓練よりは実戦だよな!」
全員賛成したところで、早速・・・全員?
「ねぇ、ウィンディは?」
「あれ?さっきまでここに・・・」
「あ、あそこにいるの違うか?」
少し離れた木陰にいるウィンディは・・・気持ちよさそうに寝ていた。
「・・・とりあえず起こそっか」
「一緒に寝てイイデスカ」
「いや、ほら!スライム!スライムが待ってるだろ!」
「泣くぞコノヤロウ」
「その怒りをスライムに!スライムにぶつけるんだ!」
「とりあえずお前にぶつけてやる」
「なんで俺ぇ!?」
「何か文句でもありまして?」
「全て俺が悪うゴザイマシタ」
「・・・うるさい」
「ウィンちゃん、もう少しスライム退治しようよ」
「・・・わかった。みんなで?」
「うん。もう一度森まで行こうって」
「・・・行く前に、あの二人、焼いていい?」
「うーん、私が直せるくらいならいいかな」
「・・・じゃあ」
「でも、どうせ焼くならスライムのほうがいいかな?」
「・・・マーリンがそういうなら」
「核がたくさん取れるといいねー」
こうしてその日は夕方まで、皆で荒ぶる魂をスライムに叩き付けたのだった。
何気にひどいマーリン。