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「いっやー!!なんか出てきたー!」
「落ち着け!体液だって、それ!ギルドで習ったろ!」
「動物型ならわかるけど!なんでスライムー!?ぷるぷるゼリーの親戚じゃなかったの!?」
「いや、それはないでしょ」
「・・・うるさい」
・・・いきなり騒がしくてごめんなさい。私たちは今、村から歩いて30分くらいの森の中で戦ってる真っ最中!・・・ただしスライムと。
「やだー、気持ち悪いー!ウィンディ、『ファイアー』で焼いちゃってよー!」
「・・・『ファイアー』」
私の言葉に応えて黒魔術師のウィンディが呪文を唱えると、ジュッって音がしてスライムが一回り小さくなった。
「任せろ!」
戦士のマフィが長剣で上から叩き斬る。半ば潰れるようにして2つになったそれは、しばらくふるふるした後溶け崩れるようにして地面に染みこんでいった。
「あー、びっくりした。へんな汁触るとこだった」
「汁とか言うな。あと、スライムの生態くらい覚えとけ」
「ホントだよー?盗賊のユーリには誰も素早さでは勝てないんだから、下手に特攻かけたら怪我するよ?私の『治癒』なんて、かすり傷くらいしかまだ直せないんだからね」
私が息をつくと、マフィが突っ込んでくる。それに白魔術師のマーリンからも言われてしまった・・・
ちょっと涙目になってマーリンの方を見ると、仕方がないなぁ、って顔で笑ってくれる。あぁ、癒されるなぁ・・・
私たちが話している間に、ウィンディがスライムを倒した辺りの地面で何かを拾っている。
「ウィンディ、どうしたのー?」
「・・・スライムの核。回収しておかないと」
「わー、私初めて見るー、見せてー」
「へー、結構小っちぇもんだな?」
魔物を倒すと、体はなくなるけど核と呼ばれるものが残る。これをギルドに持って行くと換金してくれるのだ。危なかった、ただ働きするところだった。
「ねー、スライム倒したし、もう帰ろーよー」
「えっ!一匹しか倒してないだろ!?」
「だってもう疲れたしー。それに、それ早く換金してみたい」
「あー、そうだねぇ、私もギルドで見てみたいかな?」
「だ、だってよ、まだ昼にもなってないんだぜ?せめて後何匹かくらいは・・・」
「あ、そっか。じゃあ、お弁当食べてから帰ろっか」
「ユーリ、お弁当なんて持ってきたの?」
「うん、お腹空くかなーって。ちょうどよかったね」
「・・・あっちに見晴らしのいい場所がある」
「ウィンディ、そうなの?なら行こっか」
3人で話しながら、森の出口へ向かう。少し遅れて、泣きそうな顔のマフィが
「・・・俺の話も少しは聞いてくれよ・・・」
と呟いたけれど、他のメンバーの誰の耳にも届かないのだった。
マフィ 戦士
ユーリ 盗賊
マーリン 白魔術師
ウィンディ 黒魔術師
マフィ以外は女性です。女3人集まれば何とやら・・・