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『山のサラダ弁当』

掲載日:2026/06/07

山登りが趣味のマサトは、今日も休日を利用して山に登ってきた。今日は、山の麓に移動お弁当屋さんが来ていた。

山の上で食べるお弁当も美味しそうだなと思い、マサトはひとつ買うことにした。


不思議と眼力が強いおばあちゃんが、一人でお弁当屋を開いていた。

何種類かのお弁当があったが、少しだけおにぎりを持ってきていたマサトは、お野菜たっぷりのサラダ弁当を買うことにした。健康にも良さそうだ。


今日の空は薄く雲がかかっている。別段雨が降りそうではないので、マサトは普段と同じ感覚で頂上を目指して登っていく。


山はやっぱり気持ちがいい。特に一人で山に登っていると、聞こえるのは自分の呼吸の音だけ。

そして周りの風の音。……あれ、今日は風がないみたいだ。


マサトは二時間ぐらい、いいえ三時間ぐらい歩いたでしょうか。

見晴らしの良い頂上に着いた。でも空には薄い雲がかかっている。すっきりした天気だったらもっと気持ちが良かったんだろうな、とマサトは思った。


マサトはリュックから水筒を取り出し、そしてあのおばあちゃんから買ったお弁当箱を出した。

お弁当箱の蓋には、半透明のプラスチックの蓋がかかっている。マサトはどんなお弁当か楽しみで、半透明の蓋を開けてみた。


するとどうでしょう。それと同時に、空に薄くかかっていた白い雲も晴れて、急に日差しが差し込んできた。いい天気になってきた。

日差しがとっても気持ちがいいな、とマサトは思った。


マサトが買ったのはサラダ弁当。お野菜たっぷりのお弁当だ。

いろんなベビーリーフが入っている。それに大きなブロッコリー。

それから蒸したじゃがいもに、そしてプラスチック製のフォークが一本添えられてあった。

なかなか本格的なサラダお弁当だ。うっすら塩味で美味しそうだ。


マサトは日が強く差し込んできたので、お弁当を抱えて、頂上にある木の陰に入った。

葉がとっても生い茂っていて大きな緑の塊に見えました。ここでゆっくりしながらご飯を食べようと、マサトは思った。


マサトはいろんな葉っぱのベビーリーフから食べることにした。


フォークにさすと、ザクッという音がした。

いえ、お弁当の中からではない。マサトの背後の方からだった。

あれ、勘違いかな。そう思ってそのままベビーリーフをフォークで口に運んだ。とっても美味しい。


次にはじゃがいもにフォークをさした。

グサッと音がしたのは、お弁当箱の中からではない。マサトの後ろの方からだった。

マサトは驚いて後ろを振り向く。何の音かな。しばらく耳を澄ましていたが、何も聞こえない。

もう一度、じゃがいもにフォークを差し込んでみる。

グッサ。

やっぱり、後ろの方から音がしたような気がする。

なんだろう、不思議だな。風で草がすれ合う音なのかな。

マサトはそのままじゃがいもを口に運ぶ。じゃがいもなのに甘くて、とっても美味しい。


今度は大きなブロッコリーを食べようと、マサトは思った。フォークをブロッコリーにさす。

グサッと。

マサトの頭の上から音がした。マサトは驚いて頭の上を見上げる。何にもない。


さっきからとっても不思議だなあ、と思いながら、ブロッコリーを大きなお口にかぶりついた。

とっても美味しい。むしゃむしゃと、マサトは食べてしまう。


そうすると、頭の上の木も、ざわざわとぐしゃぐしゃと音を立てる。

マサトが慌てて上を見上げたら、


パクッと。

大きな赤い空洞に飲み込まれてしまった。


おしまい。

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― 新着の感想 ―
弁当屋が人食い山姥だったのか、山の神に供物を用意する料理()人だったのか…。 まあ、食らった命を糧に、何かの「命」が生き続くのなら、それもまた世の理か…。頂き、ます…。 (今回の誤字報告、なかなか…
マサトは、結局どうなったのですか?気になります。
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