美味しさ×重さ=チョコレートの愛の量
重めのお話です。人によっては不快に感じる表現が含まれているため注意してご視聴ください。
チョコレートの愛は多ければいいっていうものではないと私は痛感させられるのだった....
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今日は待ちに待ったバレンタインデー、街には甘いチョコレートの匂いが漂い、手を繋いで歩くカップルの姿が多く見られる。街をゆく人はみな浮ついている。私はもうそんな時期なのかと感じる。まあ、年齢=彼女いない歴である私はそんな状況とは無縁なんだがな。トホホ......
そんな事を考えながら駅へと向かっていると、制服のポケットに入れたスマホからメッセージアプリの通知音が鳴り響く。
「こんな時間に誰だろう?お姉ちゃんかな?」と思いつつ、制服のポケットからスマホを取り出す。スマホの画面をつけると部活動の後輩である萌絵さんからメッセージが届いていた。
『センパイ!今どこにいるんですか~?』
『ちょっと渡したい物がありまして~』
唐突な後輩からのメッセージに思わず動揺してしまう。だが既読をつけてしまったためもう後には戻れない。当たり障りのない返事を返す。
「もうすぐ駅だよ~」
「渡したい物ってなに?」
年齢=彼女いない歴の私が、すっからかんの脳みそから捻りだした言葉である。この後輩は強引に連絡先を交換させられたり、普段から距離が近かったりするため、正直苦手である。しかし萌絵さんは大切な後輩のひとりだ。そんな後輩の気持ちを無駄にする訳にはいかないので返信にはすごく悩んだ。それと同時にバレンタインデーだからチョコが貰えるのではないかと淡い期待を抱いている私がいた。萌絵さんからの返事は30秒ぐらいで帰ってきた。
『じゃあセンパイ駅で待っててください!』
『中身は秘密です!』
このたった2行の後輩からのメッセージが私の胸の鼓動をはやくする。2月14日は暦の上では春だが、まだまだ寒い時期である。そんな時期なのにも関わらず私は少し暑さ、さえ感じていた。駅に着き、ベンチで鼓動を整えようとする。ちょっぴり顔が赤いような気もする。私はこれから一体どうなってしまうのか、心配と期待でドキドキが止まらない。そんな状況で待っていると遠くの方から呼ぶ声が聞こえる。
『センパイ~どこですか~?』
『センパイ~?どこにいるんですか~?』
「ここだよ!」と言うと萌絵さんはすぐに気づき駆け寄ってきた。
『センパイ!これ!家に帰るまで開けちゃダメですからね』と言い紙袋を差し出してきた。非常に中身が気になる。今すぐにでも開けてしまいたいぐらいだ。
「ありがとうね!」と言い、家に帰り中身を確認するためにすぐに別れ、素早く退散する。その日の帰り道はすごく足取りが軽く感じた。
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家に帰り、すぐに紙袋を開ける。紙袋の中には綺麗にラッピングされた箱と、1枚のお手紙が入っていた。手紙を読み上げると、
センパイへ
私センパイのためにチョコレート作りました!美味しく作れたと思うのでぜひ食べてください!感想は後で教えてくださいね。
萌絵より
ps 美味しさ×重さ=チョコレートの愛の量ですからね!
psに書いてある重さ?というものが気になったが、後輩が私のために作ってくれたという事実で頭がいっぱいになりそんな事なんか気にする余裕はなかった。綺麗に包まれたラッピングを剥がし箱を開ける。中にはチョコレートが6個入っており、どれも美味しそうなビターチョコレートのように見えた。1粒手に取り口に入れる。口に入れた瞬間少し生臭さのようなものを感じたが味は至って普通のチョコレートである。後輩がせっかく作ってくれたものを残す訳にはいかないのですぐに全て食べてしまった。味の感想を伝えるためにメッセージアプリを開き後輩にメッセージを送る。
「チョコレート美味しかったよ!」
「私のために作ってくれてありがとうね!」
そう送るとすぐに後輩から返信が帰ってきた。
『センパイの味覚も私が握っちゃいましたねw』
『センパイがどんどん私に染まっていきますね!』
と2時間後に返信が帰ってきたが、そんな事を考えている暇はなかった。吐き気と腹痛に襲われ、寝込んでいた。少し熱もあるようで頭がぼーっとする。そんな曖昧な意識の中で私は眠りに落ちた。
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翌朝私の熱は下がらず、体調は悪化していた。原因を考えているとふとひとつの事を思い出した。美味しさ×重さ=チョコレートの愛の量...嫌な予感がし後輩にメッセージを送る。
「あのチョコレートって普通のチョコレートだよね?」
返信が帰ってくるまではそう長くなかった。
『センパイ私言いましたよ?美味しさ×重さ=チョコレートの愛の量だって』
『萌絵の愛(血)がたくさん詰まってたんですから!』




