第3話 パーティ名が決まらない
ギルドの掲示板の前で、アロルドは立ち尽くしていた。
「……パーティ名、未登録?」
赤字でそう書いてある。
しかもその横に小さく「※未登録の場合、依頼の優先度が下がります」とある。
「なんでそんな重要なことを後出しするんですか……」
「じゃあ決めようぜ、名前」
ルシアンが軽く言った。
「いいですね! かっこいいのがいいです!」
ノアが乗った。
「……長すぎると書くのが面倒」
セレナは実務目線だった。
「優しい感じがいいですね〜」
イリスは平和だった。
「じゃあ……案を出してください」
アロルドは覚悟を決めた。
「【蒼き剣の騎士団】!」
ノアが言った。
「却下」
セレナが即答。
「早い!」
「剣士が主役みたい」
「いや主役でしょうが!」
「自覚があるのが問題」
「じゃあ【五人の運命】とかどう?」
イリスが言った。
「重い」
セレナが言った。
「重いですね……」
アロルドも言った。
「じゃあ【無敵の冒険者団】!」
「死亡フラグ」
「言うな!」
「【ギルド被害者の会】」
ルシアンが言った。
「それはダメだろ!」
「事実じゃん」
「公式名にするな!」
全員が黙った。
しばらくして、セレナが言った。
「【強制登録第五班】」
「嫌すぎる」
「管理しやすい」
「夢がなさすぎます!」
「じゃあ【また天井壊した人たち】」
「やめて!」
アロルドは頭を抱えた。
「……もう少し、こう……前向きなやつを……」
イリスがそっと手を挙げた。
「じゃあ……【日常の守り手】とか……?」
静かになった。
「……悪くない」
アロルドが言った。
「ふつう」
セレナが言った。
「地味だけど嫌いじゃない」
ルシアンも言った。
「え、じゃあそれでいいの?」
ノアが首を傾げる。
「……いいんじゃないか」
アロルドはうなずいた。
「じゃあ決まりですね。【日常の守り手】」
その瞬間、掲示板に自動で文字が浮かんだ。
【パーティ名:日常の守り手】
※危険度:やや高
「やや高って何ですか!」
「たぶん、私たちのせい」
セレナは淡々と言った。




