第2話 初任務、スライムが多すぎる
初任務は、掲示板の一番下に貼ってあった。
【スライム駆除 報酬:小銅貨三枚】
「……安い」
ルシアンが言う。
「初心者向けです」
アロルドが言う。
「初心者が五人でやる仕事じゃない」
「数が多いんだろ」
「不安しかありません!」
場所は町の外れの牧草地だった。
到着して、全員が思った。
「……多すぎない?」
スライムが、いた。
小さいのが一匹、二匹……ではない。
ぽよん、ぽよん、ぽよん、ぽよん、ぽよん。
視界の端から端まで、全部スライムだった。
「聞いてない!」
「書いてなかった」
「書いといてほしいです!」
スライムは基本的に無害だ。
基本的には。
踏むと滑る。
滑ると転ぶ。
転ぶとスライムに埋まる。
「うわっ!」
ノアが滑った。
転んだ。
転んだ拍子に召喚した。
「だから待てって!」
現れたのは、なぜか――巨大なモップ。
「……掃除用具?」
「間違えた!」
モップは自動で動き始めた。
スライムを吸う。
吸いすぎる。
膨らむ。
「それ、爆発しません?」
「しそう!」
セレナが凍らせた。
モップごと。
バキン、と音がした。
「割れた!」
「中身出る!」
凍ったスライムが散った。
キラキラしてきれいだった。
「……きれい」
イリスが言った。
「見とれてる場合じゃない!」
ルシアンが罠を仕掛けた。
地面に穴。
スライムが落ちる。
穴が埋まる。
「意味ある!?」
「一時的には!」
アロルドは剣で斬った。
斬った。
分裂した。
「増えた!」
「それやっちゃダメなやつ!」
「誰が知るんですか!」
最終的に、イリスが言う。
「……全部回復したらどうなりますか?」
「治るだけ」
「増えない?」
「たぶん」
イリスが光を放った。
スライムが――
透明になった。
消えた。
「……?」
「……?」
全員が固まった。
「……回復で浄化された?」
「仕様外」
「なんでもありか」
牧草地は元通りだった。
きれいすぎるくらいだった。
町に戻ると、受付嬢が言った。
「成功ですね。報酬です」
小銅貨三枚。
「……割に合わない」
「でも、これが仕事」
アロルドはため息をついた。
ノアが言った。
「ねえ、次なにやるの?」
「簡単なの」
「できれば壊れないやつ」
全員がうなずいた。




