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王弟が愛した娘 —音に響く運命—  作者:


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沈む陽の下、あなたを想い歩く

沈む陽の下、あなたを想い歩く

ふわり。

身が浮いたと同時に下の枝の位置を見た。身体を捻り肩からぶつかる枝が速度を落とす。

叩きつけられた背中の衝撃に呼吸が止まったのを感じた。

「っはぁっ.....!」

起き上がろうとした身体に走る痛み。恐らく肋骨にヒビが入っている。

(死にはしない、背中と腕は切り傷だらけ。想定内だけど...)

レオが見たらどうなるんだろうか。また怒り出してしまいそうだ。

(心配、してくれてるのかな....)

今頃騒ぎになっているだろう。海に行きたいなど、言い出さなければよかった。

痛む身体を引き摺りながら森を歩いて行く。歩き続けていれば上の崖と繋がる道が出てくるはずだ。そこに敵がいないことを祈るしかない。

身体が重い。嫌な汗が背を伝い、傷に染みる。

倒れるわけにはいかないのだ。こんな森の中で倒れてしまえば見つけてもらえる確率は格段に低くなる。

陽が、落ちて来ていた。陽が沈み切る前にこの森を抜けなければならない。

重く吐く息と共に想うのは1人の人。

冷静な顔、焦った顔、怒った顔、笑った顔、照れた顔、優しくて甘い顔。

次々と浮かぶ表情に、また会えるんだろうか。

沈み続ける陽と共に、歩み続けた。

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