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王弟が愛した娘 —音に響く運命—  作者:


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滾る血と冷え切った絶望

滾る血と冷え切った絶望

ドンッ!

拳を振り上げたテーブルの音が部屋に響き渡る。

「まだ見つからないのか!」

「向かった先は恐らくアイルデール家です。今東の方を総勢で探させています。」

「あの侍女はどうなった。」

「マリウスが捜索に向かった隙にいなくなりました。やはり彼女が手引きしていたようです。」

「アイルデール.....焼き殺されたいか。」

「落ち着いてください。証拠も何もないのです。」

「俺も出る。こんなところで待っていたら気が狂う。」

「なりません。それが敵の狙いかもしれないのですよ。」

怒りで血が沸騰するのを感じる。関わった人間全てを殺しても収まる気がしない。

「どこがアイルデールと手を組んでるか分からん以上、捜索の要請も出来ん。」

「敵はセラ様の戦闘力を知りません。自力で脱出して来ることも考えられます。」

「それを信じたいが....クソッこんなことなら海になんか行かせるんじゃなかった。」

押し寄せる後悔に、沸騰していた血が冷えていく。そもそも自分の油断が招いたのだ。守りたい彼女を、何度危険に晒せば気が済むのだろう。

「過ぎたことを言っても仕方ありません。アイルデール家の方にも人をやっています。怪しげな動きがあれば報告が入るはずです。」

「セラは....後悔しているだろうな。俺に会ったことを。」

「貴方様まで弱気になってどうするのですか。さっきまであんなに殺気立っていたのに。」

「セラがいなくなれば、俺はどうすればいいんだ?」

クシェルは何も答えない。自分が問われているわけではないことを、クシェルは知っている。

「ダメだ....クシェル。1人にしてくれ。」

「....くれぐれもここから離れないようにしてください。」

「.....分かってる。」

 

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