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遅すぎた気づき
遅すぎた気づき
「殿下!」
「どうしたクシェル。そんなに慌てて。」
有能で冷静な彼が慌てることなどまずない。何か余程のことがあったと察するには十分だ。
「今すぐにセラ様を呼び戻してください。」
「だから何があった。」
「グラテシア嬢が友人にこう漏らしていたそうです。『気のいい侍女がいなくなった。お父様の言うことを信じたって薬なんか貰えないのに...』と。」
「確かあの娘の母親は節の病なんだったな。」
「はい。薬をもらう約束で、セラ様を売ったとしてもおかしくはありません。」
「すぐに連れ戻せ。でなければ――――」
「殿下!」
今度は誰だ。慌てて入って来たのは確か護衛に出ていたはず....
「セラ様が、何者かに連れ去られました。周りを至急捜索していますが....」
護衛の言葉が入って来るのに聞こえない。
絶望と恐怖に、身体が蝕まれていくのを感じた。
諸事情により更新が遅くなりました。
申し訳ありません。




