優しさが招く痛み
優しさが招く痛み
夜、以前よりずっと安心した顔でセラは出迎えてくれた。
素直に膝に乗り、顔を寄せてくるセラから感じていた違和感は消えている。
ベルシュタイン辺境伯に話し、コアルシオンに行けばしばらく会えないかもしれない。
そう思うと今、ただセラを感じていたかった。
以前と同じようで違う聳え立っていた壁のなくなったキスは深く、2人を繋げていく。
甘え切った目で見上げる顔。出会った頃からは想像も出来ないその顔ははレオだけの特権のようで、この先へ進めばどんな顔をするのかと何度想像したか分からない。
ふと、セラが何かを思い出した顔をした。
「あの、レオ様」
「どうした?」
「聞こうと思いながら聞けていなかったのですが、エティと海に一度出かけたいと思っていて...難しいでしょうか?」
エティの件に関しては簡易的な調査では問題がないと出ていた。結局海に行きたいと言っていたセラの願いも叶えてやれていない。一緒に行きたいところだが目下の仕事を見れば海へ行っている暇などないだろう。
ここに来てから閉じ込めてばかりだ。少しぐらい楽しませてやりたい。
「そうだな....護衛を増やせば行けなくはない。海、行きたいと言っていたのにな。」
「正直あまり迷惑はかけたくないので難しければよいのです。ただエティが行きたそうだったので、聞いてみようと思って。」
「いや、折角だ。別に俺に迷惑ではないから行って来い。ただ数日後にはここを立つから行くなら明日にでも行かないとな。」
「本当に良いのですか?」
「ああ。一応ナイフは持っておけよ。」
「それは忘れることはないので大丈夫です。」
この選択を、どれ程後悔することになるかなどその時は分からなかった。
不穏な気配がします。




