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王弟が愛した娘 —音に響く運命—  作者:


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見えていないのは誰の心か

見えていないのは、誰の心か


「セラ様、今日はどうなさいますか?」

「そうね...外に出たい気もするけどあんなことがあったばかりだから気が引けるわね。」

全てが終わったわけではない。そんな中で呑気に出かける気にはならないが。

「私も、セラ様と海に行けると思っていたので残念です。」

「それも気になっていたのよ。護衛付きでいけないか聞いてみるわ。」

エティとのことは気になっていた。彼女が内通者の可能性があるなら探れるだろうし、そうでなければ純粋に楽しめばいい。

「よいのですか?」

「折角だもの。エティも行きたいんでしょう?」

「はい!セラ様と行けるのなら私はとても嬉しいです。」

「私もよ。だから聞いておくわね。今日は仕方ないから付近の薬草採集でもしようかしら。」

「薬草採集ですか?」

「ええ、元々薬師をしていた時もあったのよ。」

「そうなのですか?私の母は節の病でいつも薬師や治療院に世話になっているのです。」

「節の病....寒い時ほど辛いのよね。住んでる場所は寒冷地なの?」

「冬はそれなりに冷え込みます。なのでこれからの季節はかなり痛むことになるのです。」

以前家族の話をした時顔が硬かった理由はこれだろうか。

「ハーブを煎じて温めたりマッサージなんかは多少効果はあっても気休め程度にしかならないものね。」

「そうなのです。アンバーグリスはあの病に効くと聞きます。ですがとても高価で....」

それを聞くと、胸が痛くなる。レオはその高価な薬を香として使っている。セラだって、レオに言われて使っていたのだから同じだ。

これで、いいのだろうか。

「....王家にはアンバーグリスがあるわ。もしかしたら....」

「いけません。一介の侍女にそのような高価な薬を渡せばたちまち騒ぎになってしまいます。」

その通りだ。エティは何も分かっていないようでよく分かっている。

「ええ。でも....エティはよくしてくれてるわ。私が直接行って何かしてあげられるわけでもないし....」

「お気持ちだけで十分です。....セラ様はお優しい方ですね。」

「....そんなことはないのよ。私には、見えていないことが沢山ある。」

エティはその言葉に、何も答えなかった。

メリークリスマス!

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