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王弟が愛した娘 —音に響く運命—  作者:


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眠りは落ちる膝の上で

眠りへ落ちる膝の上で

押収し、捕えた者たちからの事情聴取、報告に追われる日々が続き、数日間セラの元へ行けない日が続いていた。

セラとて気になっているだろう。そう思い遅くなったものの仕事を切り上げてセラの部屋に向かった。

「レオ様、仕事の方は落ち着かれたのですか?」

ほんの数日ぶりのセラの顔に気が抜けてしまう。

「いや、まだ落ち着いたとは言えないな...だが一先ず麻薬を流通させていたギルドの証拠は押さえ、壊滅はさせた。」

「それでもまだ何かあると?」

「隣国の王子、アラリックの話によると麻薬をギルドに持ち込んだのは仮面の男で、その男の情報は何もないそうだ。麻薬自体も珍しい種で解析が進められている。」

「仮面の男....賊の頭も言っていましたね。」

「ああ....どうにも嫌な予感がする。片付いたと思ったが、気は抜けそうにないな。」

「内通者の方も分からないままです。」

「それもある。全く...厄介ごとだらけだ。」

「その仮面の男の目的が分かりませんね。カルディアを滅ぼすことでしょうか。」

「それにしてはどこか杜撰というか...。ギルドにしても続けるには無理のある話だった。」

「カルディアとコアルシオンの戦争...のような気もしますが。」

「情報が足りないな。一度アラリックと話してみたいところだ。」

「そうですね。戦争の噂もありますし、レオ様がコアルシオンを訪れれば友好関係も示せます。」

「アラリックに話してみるか。しかしもう商人を呼ぶ必要はないな。お前の役者ぶりをもう一回見てみたかった気もするが...」

半分本音、半分嘘だ。あんなの何回も見たら理性がいくらあっても足りない。

「結構です。しかし少し勿体無かったですね。わざわざ宝飾品まで揃えたのに。」

「何言ってるんだ?どうせ終わっても普段使えると思ったから買ったんだ。使えばいい。」

「あまり宝飾品を付ける趣味はないのですが...」

「首飾りくらいならいいだろう?ドレスは使えばいい。お前に合わせて仕立ててあるんだ。お前が着なかったら誰も着ない。」

「ううん...そう言われると貧乏性が揺らぎますね...」

「何でもいいから使え。俺は全部見たい。」

色々理屈を付けてはみるものの本音はこれだ。愛人演技なんて都合のいい理由を付けてドレスを買いたかったなどと言えば怒られそうだが。

「もう...これでは演技か何なのか分からなくなるではないですか...」

「細かいことは気にするな。しかし....疲れたな。膝、借りてもいいか?」

「膝ですか?別に構いませんが。」

「そうか。なら借りるぞ。」

セラの足の上に頭を乗せて横になる。目を開ければ見下ろすセラの顔が見えた。

「気持ちいいのですか?これが。」

「ああ。疲れが吹き飛ぶようだ。」

「それなら良いのですけど。」

落ち着かなさそうなセラはレオの髪を梳き始めた。セラもよく髪を触られて気持ち良さそうにしているが、その気持ちがよく分かる。

「....心地いいな。」

「梳かれるのも心地よいですけど、梳くのも良いものですね。」

「.....そうか?」

段々とセラの声が遠くなる。

「お疲れのようですので眠ってくださって構いませんよ。」

「ああ.....ありがとう、セラ。」

口にした言葉は形になっていただろうか。確認することも出来ないまま、眠りに落ちた。

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