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王弟が愛した娘 —音に響く運命—  作者:


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仮面の男が残した毒

仮面の男が残した毒

「連合商会を身分偽装の疑いにより、拘束する!」

制圧したギルド内にアラリックの声が響き渡った。

レオポルトから連絡を受け取ったのは昨日。港で船を特定したため麻薬の証拠を取り押さえるとのことだ。

互いの国身分を偽装する証拠は既に得ていた。だが麻薬の証拠が欲しかったため、泳がせていたところを今回捕えたのだ。

数日後、麻薬の証拠は無事に届き、麻薬の密輸網はひとまず壊滅した。

これ自体は喜ばしい。捕えた幹部たちの話はこうだ。

元々このギルドは外国商人を偽装し、両国で取引をしていた。そこへある日、仮面の男が現れ、今回の元凶である麻薬を持ち込んだ。

これをカルディアとコアルシオンの両国で売ればいい儲けになる。両国間で戦争が始まれば外国商人偽装もうやむやにされ、武器を売れば更に儲かると言う口車に乗せられたギルドの長はその話を受けた。

「その仮面の男の名は?」

「ライベルトと奴は名乗っていた。だがそれ以降は麻薬と指示が送られてくるのみで俺たちは顔すら見ていない。」

これでは話にならない。ギルドを潰してもその男が捕まらなければまた別の場所から麻薬が流通されるとも限らない。

考え事をしながら廊下を歩いていると、向かいから宰相アンツェルーシュが見えた。

「難しいお顔をされておられますな。」

「お前も聞いたのだろう。仮面の男とやらが捕まらん限り終わりではない。」

「ですが麻薬の流通は一旦収まったのです。今回の功績は殿下の物だ。喜ばれてはいかがかな?」

「お気遣い痛みいる。その男が捕まったら喜ぶとしよう。」

「やはり真面目な方ですな。王弟殿の招待はどうなりました?」

それどころではない。と言いたいところなのだが。

「カルディアではコアルシオンが王弟殿下を狙ったとの歌が流れているそうで今にも戦争を始めそうな勢いのようです。王弟殿がコアルシオンを訪れればその噂も払拭されるのでは?」

その話はアラリックの耳にも入っている。一度今回の件で顔を合わせて話したいのも事実だ。

「....そうかもしれないな。彼には俺の方から招待をしておこう。」

「そうしなされ。積もる話もおありでしょう。お互いいいお歳なのに妻も持たぬ身だ。」

「...その話はやめてくれ。頭が痛い。」

国内外から縁談の話は来ている。父王と兄の状況から王になる可能性すらあるアラリックの縁談は慎重にならざるを得なかった。

同じような境遇のレオとはそう言った点でも気が合った。

「そうでしょうな。これは失礼。では私は所用がありますので。」

「ああ。」

押収した薬物の解析が進められている。どうやら珍しい種のものらしい。仮面の男に食えない宰相、役に立たない父王と兄。

頭痛は止みそうになかった。

 

誰かアラリックにイヴをあげてください。

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