夜の急襲、暴かれた密輸の巣
夜の急襲、暴かれた密輸の巣
「今から出る。何も言わずに着いて来い。」
「目的は?」
「聞くな。俺に忠誠を誓うなら。」
「御意。」
近衛隊長のマリウスはレオが軍を持った時に自ら引き抜いた。それ以来、忠誠を誓う彼を疑ったことは今までにない。
大抵のことで緊張などしないレオだが今日は足取りが重くなる。これを逃せば白紙に逆戻りだ。
「いいか。あの馬車が路地裏に入ったら取り押さえろ。周りの男は恐らく武器を持っている。」
部下たちは何も言わずに頷いた。
レオが思う限り、口が固く腕の立つものだけを選んだはずだ。
馬車が進み出し、路地裏に入るのを待つ。
合図を出した瞬間、飛び出した部下は瞬く間に馬車を取り押さえた。
「荷物を調べさせてもらう。」
香辛料に見せかけた樽の底から麻薬と思われる粉が出てきた。
「港に内通者がいるな。名は?」
御者はレオの王家の紋章を目にし、諦めたように吐いた。
「役人のアゼルというものだ。」
「倉庫に運ぶつもりだったな。この通りか?」
「この通り、端から3番目だ。」
「聞いたな。3番目だ。マリウス、2人ほど連れてこいつらを安全な場所に運べ。残りは倉庫を襲う。」
「承知しました。」
正直マリウスには倉庫の急襲に参加して欲しい。だがこの中で1番信用できるのもまた彼だ。
「行くぞ」
倉庫の中には密輸担当、護衛と思われる者が数名おり、戦闘状態となった。数でも腕でも勝るレオたちの敵ではない。短時間の後、倉庫は制圧された。
倉庫にはカモフラージュ用であろう薬草の大袋に果実酒の樽が大量に置いてある。だがその底を調べれば....
「出ました。麻薬の葉です。」
「全て押収しろ。証拠品だ。丁重に扱え。」
他にも取引記録に武器、身分証を偽装した物まで出てきた。密輸ルートの地図はアラリックから受け取ったものと概ね一致していた。
「積み終わったか。離宮に戻る。」
今頃アラリックはギルドの取り押さえに成功しているだろうか。
(これで終わるといいが...)
湿った倉庫の感触が、嫌に気持ち悪かった。




