怖い、それでも知りたい
怖い、それでも知りたい
護衛が来たことと賊が1人になったことに気が緩んだ。ナイフで間合いが短かったのも分が悪かった。
頬から血が流れているのに気づいた。
倒れた賊の向こうに、レオの姿が見えた。
「申し訳ありません。油断しました。」
戦いが終わったのに、レオは先程よりも強い殺気を発している。
(怒ってる.....?)
その目は怒っているようにも、恐怖にも見えた。
「謝るのはお前じゃない........お前たち。」
レオが護衛の男たちの方を見た。
「一体何をしていた?」
見下ろすレオの顔に場が凍った。
(優しい顔ばかり見ていたから忘れていた...)
彼は軍を持つ王弟だ。セラが知らない男の顔。
それは一瞬あの日を思い出させた。辺境伯邸に入ったあの日――――
本当は怖かった。震える手足を悟られぬよう必死だった。家族を守らなければならなかったから。
「賊は捕らえ損ねた。その上セラの身まで危険に晒し、怪我をさせた......その首で償うか?」
護衛の男たちは自身の失態に青ざめ、誰1人言葉を発することはできなかった。
聞こえた声に我に帰る。本当にやりかねない勢いに、慌てて止めに入った。
「レオ様、私は大丈夫です。ただ少し掠っただけで。レオ様こそ――――」
腕を怪我している。それを言おうとしたのだがレオによって遮られた。
「だけ?それがどれ程のことか分かっているのか?」
怖い。優しいレオが違う人になってしまったみたいだ。後ろに避けたセラにレオがはっとした。
「違う。悪かった。何もしないから。セラ、帰ろう。」
「.....はい。」
帰り道、レオは口を開かなかった。レオが何を感じて、考えているのか。
(心が、読めたらいいのに。)
人一倍敏感なセラが感じたことのない気持ち。
恐怖を感じたのに知りたいと思う――――
その感情が何なのか、もう嘘を吐くのは難しかった。
遂にセラが認めました。
さてそろそろ動くでしょうか




