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王弟が愛した娘 —音に響く運命—  作者:


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甘やかな慰めに、せめてもの応えを。

甘やかな慰めに、せめてもの応えを。

「で、バレたのか?」

「はい.....」

「にしても昨日に限って見られるとは....お前も中々の強運の持ち主だな。」

「悪運の間違いではないですか。」

「まあどうせバレるところだったんだ。数日は辛いかもしれないが諦めろ。慰めてやるから。」

「結構です....」

「全く....おいで、セラ。」

いつもの命令口調じゃない言い方。ここでそう言うのはズルい。甘く跳ねる心臓は頭と違って正直だった。

抗えずレオの元へ行くと腕を引かれ、気づけば膝の上に乗せられていた。布越しに触れる体温、顔にかかる息にどうしたってあの日を思い出してしまう。

「力を抜け、セラ。」

耳元で囁かれる声はまるで魔法のようで全身の力が抜けてしまった。

「いい子だ。寄りかかっていいから。」

こんなに優しくされて、落ちない女がどこにいるんだろう。自分の理性が決して弱いはずではないと信じたかった。

「離宮で商人を呼ぶ度にこうするんだ。慣れろ。」

「それは必要なことなのですか?」

「ああ。女に溺れた愚かな王弟ーーーー

それが今回俺が被る仮面だ。」

「私は愚かな女を演じればいいと?」

「ああ。思う存分やってくれ。」

今なら十分に愚かな女かもしれない。演じる必要もないくらいに。

そんなセラの心を見透かすかのように、レオは言った。

「愚かなお前も、賢いお前も全てが愛しい....溺れてるは間違ってないな。」

「レオ様は.....変わっていますね。」

「なんだ急に。」

「私にそんな風に思うなんて、レオ様は変です。」

「お前がそう思いたいなら思えばいい。俺は変でも構わない。」

「.......」

顔を見ていられなくてつい胸に顔を埋めた。

ふと笑うレオの声が頭上で聞こえる。

「俺はお前に会えてよかった。嘘じゃないぞ。」

「私も......レオ様に会えてよかったです。」

「本当か?」

「本当です....」

精一杯の言葉は嘘で本当だった。出会った後悔を消すぐらい、レオがくれるものは大きかった。

「それは嬉しいな....セラ、こっちを見ろ。」

「出会ったことを後悔させるつもりはない。だから安心してろ。」

根拠は?そう聞きかけてやめた。ただ、この温もりに身を委ねていたい。今だけ、それが許されるのなら。

静かに、目を閉じた。

次話から離宮編に入ります。

楽師となったセラはどうなるのでしょうか。

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