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王弟が愛した娘 —音に響く運命—  作者:


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探し人は、思わぬ場所に

セラの素性は分かった。残るは弟だ。

王都圏の治療院、村にも人をやったがこれといった成果は得られなかった。

殴られ、放り出されたのなら二つに一つだ。誰かに助けられたか、それともそのまま死んでいったか。後者でないことを信じたかった。セラの泣き顔は見たくない。

セラと言えば――――

あの日から、必死で理性を押さえつけていた。潤んだ目も、赤くなった頬も、全てレオを意識してした顔なのだと思うともっと乱したくなった。

このままではよくない。

「クシェル、少し医者のところへ行ってくる。」

「体調でも悪いのですか?」

「.....そんなところだ。すぐ戻る。」

医務室に着くとコーリフは薬草の仕分けをしているところのようだった。

「おや、殿下。どうされました。」

「コーリフ、相談なんだが。」

「ふむ。なんでしょう。」

「身体の熱を抑える薬なんかはないか?」

「発熱はしていない.....夜に誘惑でもおありですかな?」

「.......簡単に言えばそういうことだ。」

「では薬酒をお出ししましょう。少しは落ち着くはずです。」

「ああ。あと医師の繋がりで道端で殴られていた少年がどこかの屋敷に運び込まれたりしてないか聞いてみてくれないか?」

「.....聞いてみましょう。他の治療院などは試されましたか?」

「大体な。残るは中央ぐらいだが...あそこは行くのに理由がいる。」

「私に作らせた薬が役に立たぬとでも言えばよろしいでしょう。」

「お前の名誉に関わるぞ。」

「そのようなことを気にする年ではありませぬ。私には最近の殿下の変化を見ている方が面白い。」

「....お前、楽しんでるな?」

「いやいやまさか。擦り傷だらけで帰ってこられていた日が懐かしゅうございます。」

「......お前やグレータと話していると突然子供に戻った気分になる。世話になったな。」

「効き目に関して問題があればまた来てくだされ。色々と試してみましょう。」

そうは言ったものの、貰った薬酒はそれなりに良い仕事をしてくれた。お陰でセラとの時間をまた楽しめるようになった。コーリフには感謝せねばならない。

中央の治療院へは数日後に訪れた。突然の王弟の訪問に慌てた様子の医者が出てきた。

「レオポルト王弟殿下、一体どのようなご用件で?」

「我が屋敷の医師が作った薬がどうも効かなくてな....他を試そうと思ったまでだ。そう慌てなくていい。」

「それは...症状はどういったものでしょう?」

「夜どうしても眠れなくてな。何を試してもダメだ。」

完全な嘘だ。夜はセラのお陰で快適な睡眠を取れている。

「なるほど。さぞかしお辛いことでしょう。直ぐに薬を処方します。」

「ああ、頼む.....」

「先生、奥の患者が目を覚ましました。」

男が後ろから顔を出した。その男の顔をレオは見たことがあるような気がした。ブロンドの髪にブラウンの瞳。歳は16歳前後――――

まさか。

「ああ、すぐに行く。殿下、少々お待ちいただいても....」

「構わない。早く行ってやれ。」

聞いていた見た目と合致する。それに確かに面影があるような....

「お待たせいたしました。こちらが薬です。」

「ああ。ところでさっきの少年だが。」

「少年?」

「呼びにきていた少年がいただろう?」

「ああ、ライのことですか。」

ライ。名前も同じだ。

「その少年はいつからここにいるんだ?」

「半年ほど前でしょうか。」

「一体何故ここに?」

一介の少年を気にする理由が分からない医者は困惑しながら答える。

「道端で倒れていたという少年をある商隊が運び込んできたのです。酷く殴られ一時は危ない状態だったのですが、なんとか回復し、行くあてもないと言うのでここで助手をやっています。」

当たりだ。兄王に続きここでもこんなにあっさり見つかるなんて。

「そのライという少年を呼んでくれ。話がしたい。」


 

灯台下暗しとはよく言ったものですね。

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